第3話
魔王の選抜のルールは単純だ。
相手を戦闘不能にするか、戦意喪失させる。そのためにはどんな手段を取っても良い。
トーナメント形式で勝者は次へと駒を進め、他の勝者と再び戦い、最後の一人になったその時、次期魔王が決定する。
ちなみに、俺だけに適用されるルールとして、例え俺が生き残っても負けた場合は殺される。
ハハハ!ふざけんなチクショウが!何が殺しても良い、だあのくそ生首め!俺が魔王になった暁には、アイツの漬かってる液体を酢に変えてやる!
おっと、脱線しちまった。会場は魔王が作ったという巨大な空間で、場外などは無く天井にぶつかりさえしなければ飛びながらの参戦も許可されている。
ちなみに、壁際は高い壁がそびえたち、そこは出場者以外の奴が見学できる造りになっている。
「では、これより第四試合を始めます!」
巨大な試合会場の中心で狼型のモンスターが声を張り上げる。彼は試合の審判と進行役を一手に担う、この選抜の重要人物だ。
「ゴーレム族、ガスター選手!」
片手に持った紙に視線を落とし、選手の名前を確認したのち顔を上げて名前を読み上げる。俺とは反対の方向に向けられた手の指し示す先、大きく開いた穴は選手控室へと続いている。
そしてその穴から姿を現したその巨体を見て俺はというと――
「死にゃあしない。うん、たぶん……」
早くも戦意を削がれ始めていた。
「対するは……え~、人間族、ゲド選手!」
ゴーレムの時と同じように視線を落とし、おそらく俺の名前を見たであろう審判はいかにも言いづらそうに俺の名前を呼んだ。
まあそうだろうな。開会式の時であの状態だもん。正直、今からでも辞退して帰りたいわ。
と、今更逃げるわけにもいかないので――というか逃げようとしたらスラ公に全力で邪魔された――、俺は武器として持ち込んだ壺を小脇に抱えて歩み出た。
「くたばれ!人間!」
「ガスター!やっちまえ!」
観客席からの罵声と殺気交じりの熱い視線を背中に感じる。四面楚歌とはこういう状況を言うのだろうか。
会場の中心へと赴くと、そこには巨大な岩の塊が立っていた。
「ニンゲン!コロス!」
「これは……手加減してくれって言っても無理だろうなぁ。あぁ、めんどくせぇ」
なんでこんなに殺(や)る気まんまんなんですかねぇ。もうちょっとさ、リラックスして挑もうよ?アレだよ?力が入りすぎると実力が出し切れないって言うよ?
なあ審判?――あれ?なんで頷いた?違うよ?準備万端って意味じゃなくて――
「第四試合、始め!」
「ウオオオオォォォォォォォォ!」
「違うっつったじゃぁぁぁぁぁん!」
雄叫びと共にゴーレムの右腕が振り下ろされる。
俺は全力で後ろに飛び退き、自分が元いた場所に穴が穿たれたのを見て急激に体温が下がるのを感じた。もしあと数秒遅れていれば、自分はぺしゃんこ、命はなかっただろう。
「ウソだろ?」
なんだこれ!?目の前に本物の死が迫ってきてる!
本で読んだり、人伝いに聞いたりするやつじゃない。さっきまで実感が湧かなかったけど、今目の前で開いた穴を見て嫌でも現実だって突きつけられる。
一発でも食らえば、俺は……死ぬ?
「あああああああああ!」
俺の頭の中は真っ白になった。このままここにいたら死ぬ?一発でも攻撃を受ければ死ぬ?もしこの試合に勝っても次の試合で死ぬ?
死が俺を追いかけてくる!逃げても逃げても!
俺は全力で走った。そんなことをしても逃げられないのは分かってるんだ。だけど走らずにはいられなかった。
再び背後で振り下ろされる拳、響く轟音、肌をかすめる追い風が死が迫っていることを伝えてくる。
くそっ、なんでここまでしなきゃいけないんだ!?
俺はただ楽をして生きたいと思っていただけなのに。なんで生き死に懸けて逃げ回ってんだ。
「逃げてばっかじゃ勝負になんねぇぞ!」
「そうだ!戦え!」
観客席の外野がヤジを飛ばす。
「オオオオォォォォォ!ニンゲン!コロスゥゥゥゥ!」
背後から死の咆哮が近づいてくる。
俺は必死になって逃げた。逃げて逃げて逃げ――
「見ろよ!?アイツ転んでやがる!」
「だっせぇ!」
観客席の奴等がまた俺を馬鹿にしている。
くそっ、人の気も知らないで!
「ざまぁねぇな!そのままやられちまえ!」
よく飽きもせずに……ん?聞き覚えのある声が?
「ちゃんと戦えやぁ!そんで、ぺしゃんこにされちまえぇ!」
その声の方へ顔を向けると、そこで見覚えのある青色の半透明が一際大きな声で叫んでいた。
…………。
……あれ?なんかムカついてきたぞ?
俺が死ぬ気で頑張ってんのに、なんであいつ等に文句言われなきゃいけないわけ?あいつらに俺を馬鹿にする権利とかなくね?
そう考えるとどんどん怒りが溜まってきた。
そもそもなんで俺がこんな頑張んなきゃいけないんだよ。
本当だったら、今日だって朝から晩まで日がな一日ゴロゴロしてる予定だったのに。
つ~か、あの軟体生物はなんで俺を応援してないわけ?俺頑張ってんじゃん?応援するのが普通じゃね?
「ニンゲンンンン!コロ――」
「うるせぇデカブツ!静かにしてろ!」
「――ッ!」
いや、どう考えてもおかしいだろ。なんで俺が頑張ってんのよ?俺と同い年ぐらいの奴は家業継ぐとか何とか言って家で楽してんのに、なんで俺だけが命懸けてんのよ?おかしくね?
「ふ~」
なんだろう。ムカついてきたら死ぬのとかどうでもよくなってきたわ。いや、死ぬのは怖いけど、ここで死ねないっていうか、やられるまんまじゃ納得いかないっていうか。
まあ端的に言うと、絶対生き残ってあの軟体生物の息の根を止めよう。
ふ~、少し落ち着いたら思い出したわ。
「ンンンンンン!ニンゲェェェェェン!」
「……うわ~」
さっきまで一時停止してたゴーレムが再び動き出した。しかもなんか怒ってる。
なんだよ、さっきうるさいって言われたのがそんなに癇に障ったのかよ。
とりあえず、走って逃げるか。
「はぁ、はぁ」
ったく、こんなに走ったのはいつ振りだろ?俺、虚弱体質だから長時間走るのとか苦手なのにさぁ。
「はぁ、はぁ、アレ?」
足音が聞こえなくなった?
てか、姿がない!?どこ行ったアイツ!?
「いいぞぉ!そのまま潰しちまえぇ!」
「へ?」
観客の一人が叫んだ声。不意に暗くなる視界、巨大な影が自分の足から広がっていく?
まさか――
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅぅ!」
巨大な山の様だった。山が上から降ってくる。
しかも、俺の体を覆い尽くしてなお余りあるその巨体は明確な殺意を持ってこちらに降り注いでくる。
俺は走った。
さっきまでの走りがウソだったかのように、もっと早く。
足の筋肉が引きちぎれそうになっても全力を注ぎ続けた。
――そして背後で巨大な物体が落下する音を聞いた。俺は逃げ切ったのだ。
視界を覆う土煙が背後から押し寄せ、それが段々と引いていくのを認め、俺は恐る恐る後ろを振り返った。
「お、おぉ……」
見上げるようだったゴーレムの巨体は、その姿を半分ほど残し地面に埋まっていた。
おそらく、さっきのジャンプに地面が耐えられなくなって陥没したんだろう。自分で抜け出すことが出来ないのか、両腕をバタバタと地面に叩きつけている。
その光景が、その、なんていうか、まるで駄々をこねる子供の様でそのゴツイ見た目とあまりにかけ離れすぎてて、俺は思わず吹き出してしまった。
「ぷっ」
「ニンゲンンンンン!ワラウナァァァァ!」
「いや、笑うなって、ブフッ、方がクククッ、無理だろ」
その片言がさらにゴーレムを幼稚に見せ、我慢できず腹を抱えて笑ってしまう。
いや、たまらん! 身動き取れないから笑い放題だ!
ん?待てよ?相手は身動きが取れない。これなら、試合続行不可能で俺の勝ちじゃね?
「審判、これじゃあ試合にならんでしょ?相手が動けないんだし、俺の勝ち?」
試合の組み合わせを表示したボードの下で立っている審判に駆け寄って確認する。
やれやれ、一時はどうなるかと思ったが、どうやら何となった。せっかく用意してた準備も無駄になっちまったなぁ。
「ウガァァァァァァァァァ!」
お、背後から敗者の惨めな叫び声が聞こえてきて……嘘だろ!?
地面に両腕を叩きつけて、ゴーレムがそのまま体を持ち上げ始めた!?
無茶苦茶じゃねぇか!でもちょっと体浮いてきてる!?
「ちょ、ちょい待ち!無理すんなって!」
俺のそんな願いも虚しく、ゴーレムは見る見るうちに体を浮き上がらせ、ついに陥没した穴からの脱出に成功しちまった!
両足を地面につけ、ゴーレムが再びこっちに突進してくる!?
「ギャハハハハ!良いぞガスター!」
「今度こそやっちまえ!」
「ウオオオオオォォォォォォォォ!」
巨大な腕が振り上げられる。
これで勝負が終わる。会場の誰もがそう思っただろう。俺もそう思う。
「シィィィィィネェェェェェェ!」
「うわぁぁぁぁぁ――なんてな?」
「ヘッ?」
ま、終わりってのは俺の勝ちでってことだけどな?
「アアアアアアァァァァァ――――」
ゴーレムの腕は見事に穴を穿ったよ。それこそ、自分が収まっちまうくらいの巨大なやつを。
俺はと言えば、こうなることを予想して横に大きく飛びのいたよ。無論、無傷。
さてと、穴に落ちたゴーレムちゃんはどうなってますかね。
「おうおう、ちゃんと収まってら。今度は這いあがって来れないだろ」
俺が覗き込むと、そこには穴の底からこっちを見上げるゴーレムの姿があった。
結構な高さから落ちたはずだが、腕をブンブン振り回しているのを見るに、どうやら大きな怪我などはしてないみたいだな。
「お~い、聞こえるかぁ?その感じじゃ一人じゃ出られないだろ?リタイアするか?」
「ウガガガァァァァァァァ!ニンゲンンンンン!コロスゥゥゥゥゥゥ!」
まったく、それしか言葉を知らんのかね。
ま、そういうことなら仕方ない。手は差し伸べたからな?
俺は小脇に抱えていた壺の口を穴の方へと向けた。
俺がこれから何をしようとしてるのかわかる奴はそういないだろうな。
あ、一人だけいるか?
「ゲドさん、それって!?」
「『出ろ』」
俺の言葉に応えるように壺から大量の水が噴き出した。
それは一向に収まることなく、ひたすらに水を吐き出し続ける。
「いや~、ホント便利だなこの壺」
俺が持ち込んだ壺は選手控室にあったあの水飲み場の壺だ。『出ろ』というだけで無尽蔵に水を吐き出し続けるそれは、一見何の役にも立たなそうに見えるが、使い方次第では恐ろしい武器になりうる。
「ガガガガガガ!ヤメロ!」
その恐ろしさを今まさにその身で味わっているゴーレムは未だ高圧的な態度を崩さない。
が、その言葉とは裏腹に相当焦ってんだろう。両腕で穴の側面を掴み、一心不乱によじ登ろうとしてる。
「無駄だっての。モグラたちにその穴掘ってもらう時に、たっぷり水染み込ましてもらってんだから。掴もうとしてもお前の重さじゃ崩れるだけだ」
ゴーレムが掴んだその先から壁は崩れ、少しも上に上ることは出来ないでいる。
そう、これこそが俺の作戦だった。
受付のモグラのモンスターに頼み、穴を掘れる奴を集めて試合会場の下の地面をくり抜いてもらっていたんだ。
そこにゴーレムをおびき出し、あとは何とかしてその穴に落とす算段だった。
当初の予定じゃ相手の重さで地面に穴が開く予定だったんだが、思いのほか地面が頑丈だったせいで、ゴーレム自身に穴を開けさせたというわけだ。
「ウガガガガガガ――ガボッ!」
「うるさいっての」
雄叫びを上げるゴーレムの顔めがけて水をぶちまける。
それがよほど堪えたのか、ゴーレムは両手で水を遮るようにして身を小さくし始めた。
「ゴーレムってさ、水苦手なんだろ?このままだと穴ん中、水でいっぱいになっちまうなぁ?」
「ガガガガガ!ギ、ギブアッ――」
ギブアップ宣言をしようとしたゴーレムの口を大量の水が塞ぐ。
俺が水の量を増したんだよ。
「だから、うるさいって言ってんじゃ~ん?」
ギブアップなんてさせるかよ。
散々人をビビらせてくれたからな。その仕返しはさせてもらうぜ。
あ~楽しい。思わず笑みがこぼれちまうわ。
「お、おい、あれ……」
「あ、あぁ。マジかよあの人間……」
「悪魔だあの人……」
* * *
「さ~て、次はどうすっかねぇ」
見事初戦を勝ち抜いた俺は選手控室の椅子に腰かけてあたりを見回した。
もう誰も俺に殺気を飛ばそうとする奴はいない。
さっきの試合で少しは俺のことを見直したか?
「まったく、あんな汚いこと考えてるなんて思いもしませんでしたよ」
「あぁ?別にいいだろうが。武器だって持ち込み自由だし、事前に会場に穴掘っちゃいけないなんて言われなかっただろうが」
俺の隣にはスラ公が腰かけていた。
本来だったら試合終了後に息の根を止めてやるところだったが、俺の奴隷として一生尽くすと誓ったので核に二、三発蹴りを入れるだけで許してやった。
ちなみにあのゴーレムは完全に水没する一歩手前で審判が止めに入ったために一命は取り留めたが、迫りくる水の恐怖に戦意喪失し、そのまま逃げるように会場を後にしたらしい。
『え~、会場の皆さん、先の試合のために会場整備に時間がかかりますので、しばらくお待ちください。整備にはおそらく二時間ほどかかる見込みとなっております。なお、試合再開までの間、選手と関係者の皆さんにはささやかではありますがこちらで食事を用意させていただきますので、しばしお待ちください』
俺たちのいる控室にどこからかあのモグラのモンスターの声が聞こえてきた。
どこにもその姿が見えないから、どうやら広域連絡用に何か仕掛けがあるようだ。
「ほ~ら、誰かさんが会場を穴ぼこだらけにしたから一時中断ですってよ」
「うるせぇよ。飯食えるって言うんだから良いだろうが……ん?飯か……」
「あ、また良くないこと考えてるでしょ?」
「モンスターのお前が良くないこととか言うな。良いこと思いついたんだよ。おいスラ公、警告しといてやる、出される飯は食わない方が良いぞ?」
「はぁ?」
* * *
「え~、長らくお待たせいたしました!会場の整備が整いましたので試合再開とさせていただきます!」
狼のモンスターが整備した会場の中央に立ち声を張り上げる。
「ゲドさん、どこ行ってたんすか?」
「あ~、ちょっとな」
一仕事終えた俺は観客席で次の試合を見ることにした。
正直、周りがモンスターだらけで闇討ちとかに遭うんじゃないかと思ってたが、さっきの試合が効いたのか、闇討ちどころか誰も俺たちの近くによってこようともしない。席が広く使えてラッキーだな!
「サラマンダー族、スクィア選手!」
オオカミのモンスターが手に持った紙に視線を落とし、選手の名前を読み上げる。
真っ直ぐに伸ばした手の先、選手控室へと続く穴から出場選手が……いつまで待っても出てこない。
「あれ?スクィア選手!?」
再度の呼びかけにも何の反応も無い。と、一つの影が飛び出してきた。
が、それは呼ばれた選手とは違う、受付を担当していたあのモグラのモンスターだ。
「え?何?ホントか?」
狼のモンスターの所へ走り寄ったモグラのモンスターは何かを耳打ちすると一度だけ頷いた。それを見た狼のモンスターが、一度咳払いをして会場を見回す。
「え~、第五試合に出場予定だったスクィア選手ですが、体調を崩したということで棄権となります。結果、本試合は対戦相手、ギガムゲ選手の――何ッ!?ギガムゲ選手も棄権!?」
モグラのモンスターからもたらされた新情報に狼のモンスターは目を丸くしていた。
それも仕方がない、出場選手が両方棄権など、前代未聞だろうからな。
「え~、では、少々お待ちを。第六試合の準備を進めさせていただき――」
なんとか自分の責務を果たそうと狼のモンスターがその場を後にしようとした時、モグラのモンスターと同じように穴から飛び出してきたトカゲ型のモンスターが彼に一枚の紙を手渡した。
それを見た瞬間、今度は目が飛び出すのではないかという位の勢いで狼のモンスターが驚愕し、そして、ゆっくりと話し出した。
「会場の皆様、落ち着いてお聞きください。ただ今入りました情報によりますと、なんと、本選抜に出場予定だった選手が皆体調不良を訴えており、棄権を申し出ているとのことです。つきましては残った選手でなんとか選抜を継続させる意向でありますが、出場可能選手の整理に今しばらくお時間を頂くことになりました」
「なんだよそれ!?」
「俺たちは二時間も待ったんだぞ!?」
ヤジを飛ばす観衆とそれをなだめる主催者側で会場がざわつき始める。
いや~、予想外のアクシデントって本当に大変ですねぇ。
「アンタ、今度は何したんすか?」
「ん~?なんのことだ?」
「しらばっくれてもダメっすよ。大方、選手に出される食事に毒でも盛ったんでしょ?」
「毒盛ったなんて人聞きが悪いな。俺はただ、ちょっと隠し味を入れただけだぜ?まあ、あの隠し味がモンスターには有害だったかもしれないが」
そう。俺の村の方ではあれは間違いなく隠し味だ。もっとも、害獣駆除用の、だが。
「ホント、アンタ悪魔の生まれ変わりじゃないっすよね?」
「何言ってんだ。俺ほどの善人はいないぞ?」
「善人は魔王なんてなろうとしないっすよ」
「お、確かに!」
「何やら大変なことになっているようだな」
「ん?アレ?アンタは?」
会話に割り込んできたこの男、どこかで見覚えがある。
「名はラグエルという。君は確か受付で会ったな?」
「あ~!あの時の!」
そうだ、この緑色の瞳と金髪、申込の受付で一緒になった男だ。
「ゲドさん、名乗っといた方が良いんじゃないっすか?」
「ん?そう?あ~、俺は――」
「ゲド・フリーゲス、だろ?知っているさ、魔王選抜に出場した人間として有名だからな」
「アンタも快く思ってない性質か?」
まあ、モンスターに俺のこと好きな奴がいるとも思えないが。
それでも真正面から敵意を向けられたらこっちにも考えがある。
こいつは、どっちだ?
「いや、まったく」
あれ?笑ってる?
「それどころか、人間の身でありながらあのゴーレムに果敢に立ち向かう姿には感銘を覚えたよ」
「え?あ~、いや~、それほどでも」
「
「それでは、君と当たるのを楽しみにしているよ。その時はお互い死力を尽くそう」
そう言って、ラグエルはその場を颯爽と去って行った。
「ゲドさん」
「なんだよ?」
「なんか、ラグエルさんってイケメンっすね」
「うるせぇ。言われなくてもわかってる」
なんだろう、この敗北感は?あの余裕の態度?器のデカさに負けたってことか?
くそっ、なんかないか!?何か!
「あ!アイツ人間の身で~とか言ってこっちのこと馬鹿にしてきたぞ!小っちゃい奴だな!」
「ゲドさん……そんな言葉の端を捕まえて絡んでる方が小っちゃいっすよ……」
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