02.路地夢 ーロジムー
濃霧の中、私の前に立ちはだかる一人の少女。表情は柔らかく、なんていい笑顔。
それとは反対に私ときたら。なんて膨れっ面だろう。可愛げの無い表情。愛想笑いすらできそうに無い。
少女は私の不機嫌なんてお構いなしに話し始める。
「君の将来についてだ」
って。
彼女は白いワンピースを揺らしてまた笑った。
私の将来?なぜ唐突に?
理由は簡単。
「その手にあるものはなんだい?」
彼女が私の右手に握るくしゃくしゃの紙を指差して首をかしげた。
ああ、そうだ。それは今、私が直面している問題。”なんだい?”じゃなくて、”難題”。
とても私なんかには導き出せないような難しい理不尽な大人からの問題。
夢の中の御伽噺のような答えは書いてはいけない、現実的なそれを答えることを義務付けられた問題。それなのに無限の選択肢が足元に散らばっていた。
おかげで子供じみた考えしかできない甘ちゃんな私を、思考の永遠迷路に迷わせてくる―――将来と進路。一番考えたくないこと。
私は困った顔を上げて少女を見る。縋るように。
目の前の彼女は笑う。
「もう一度一緒に考えてみようか」
…握りつぶしたプリントに印刷された言葉。
――あなたの希望する進路はなんですか?――
ゴヒャクモジ 希片 さんづい @kihen-3dui
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