デートプランは誰物も?

「ところで、まずどこにいくんですか?」


 鈴木さんに尋ねると、彼は「ふ~ん」と少しだけ悩ましそうに顎を擦る。


「田中さんって、何か好みってあるの?」

「私ですか?」

「いちおう、デートだからね。仮にも彼女だから、好みの把握はしておこうと思って」

「あっ、そういうのだったら別にいいです。あなたに私の好みが知られるなんて死んでも嫌です」

「う~ん。ここに来てもまだ強情だよね君って」


 そもそも私は別にあなたとデートを本気でしたい訳ではないし、このデートも真澄との予行練習程度に考えていますので、私の好みに合わせたデートコースより万人受けするタイプがいいのだ。

 いや。相手の好みに合わせてデートコースを絞るというのは、やはり定石ということなんでしょうか? だから鈴木さんも私の好みを……つまり私も真澄のことをより深く理解していけば、自ずと簡単にデートコースが生まれる?


「なるほど。相手を知ることでデートをより確実に盛り上げることができるんですね。つまりこのデートを楽しむためには、相手を知る必要があると」

「なんかよくわからないけど、そういうことにしといて」

「けど私はあなたに自分の好みは知られたくないので、直感的にお任せします」

「今の流れでも根底が変わらないところ、意外に好きだよ?」

「死んでください」


 人前でなかったら蹴り飛ばしてますよ。

 鈴木さんの人のよさそうな笑みを受け流し、一先ず彼の横を歩く。


「それで? どこに連れてってくれるんですか?」

「う~ん。じゃあぶらぶらと見て周ろうか。気になるところがあったら、そこに行こう」

「ええ。構いません」


 さて、お手並み拝見といきますか。

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