ちょっと真澄の様子がおかしい

 家に帰ってから、真澄の様子が少しおかしい。

 あの後、特に何かする訳でもなく、真っ直ぐに帰ってきた。さすがに遅くなったが、大学生なのでそこまで遅い時間でもない。


 ただ帰って来てからすぐに、真澄が俺の手を引っ張ったと思ったら、そのままソファに座らせ、足を開かせ、その中に座って来る。

 何かあるのかと思ったが、特に何もしないので、俺は疑問しかない。


 何だこれ……?


「真澄。どうかしたか?」

「……ん~」


 何も言わずに背凭れに俺を押し寄せてくる。苦しい。


「真澄? 本当にどうした?」

「……」


 肩越しに俺を見る。けれど前を向き、また押し寄せてくる。

 どう対応してあげらたいいのかわからず、とりあえず頭を撫でてあげる。そしたらぐりぐりと自分から頭を手に押しつけてくるので、久し振りに甘えたいのかと思った俺は、一先ず頭を撫で続ける。


 高校生にもなったのに、こいつの甘えた癖は治らないな。


 っと、軽く考えていた俺は、この後更なる試練に立たされることになるのだが、正直な話本当に育て方を間違えたと後悔した。

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