選んどいてなんだが……

 鈴木を救出して、なんやかんやしていたらいつの間にかお昼に時間になった。よくわからない罰で鈴木は買い物に行かされることになり、どうせならと大学生組で行こうということになった。

 まあなんか……俺と由美さんが一緒に行くって言ったら、真澄が凄い睨んできたけど。真顔だから凄く怖かった。


「つづりん。焼きそばと焼きそばとや焼きそばでいいかな?」

「まて鈴木。それじゃあ焼きそばしかない。せめてお好み焼きもいれろ」

「綴君。ソース類もいいけど別のも買わない?」


 確かに。ソース類だけだと胃がな。それに青のりもつくし。女性的にそこは問題なんだろう。

 苦笑いの由美さんに「いか焼きとかも買おうか」と提案したら、「いか焼きってソースじゃなかったっけ?」


 あれ? そうだったっけ?


「まあまあお二人さん。そこはついてから確かめようぜ。つっても」


 鈴木が見る先に海の家はある。ただやっぱりというか、そうだろうなとは思ったけど、「凄い人だかりだな」


 ここら辺で近場の海の家はここだけなので、必然的に人が多くなるのはわかっていた。時刻も昼過ぎ、事前に準備している人以外はここに買いに来るだろう。


「どうする? 実は駐車場の付近にコンビニもあるけど」

「そこまで行くのは遠くないか?」

「だとしても、これじゃあいつ買えるかわかんねぇよ? 時間的にどっこいどっこいじゃない?」

「だね。綴君。今日はコンビニにしよ?」

「まあ、それもそうか」


 なるべく早く買って、弘樹君の動向を探らないといけないしな。

 今大学生組で買いに来ているので、荷物版は高校生組。弘樹君は確実に真澄に気があるので、出来る限り彼のことは探りたい。


「綴君?」

「ん? ああ、ごめん」


 真澄たちの方が少し気がかりになってしまった。田中さんもいるし、いい雰囲気になることはないと思うが……そもそも田中さんが危ないしな。


 そんなことを考えていると「綴君。ほら行こ?」と、由美さんは俺の指先を掴んで軽く引っ張る。まさか掴まれると思ってなかった俺は由美さんを見ると、彼女は首を傾げて見上げていた。

 ……っと。うん。しまったな俺。


 さっと視線を逸らした。ばっちしと彼女の胸に目が行ってしまったことに罪悪感を覚える。


「どうかした?」

「ああ、いや……その」


 手で口元を押さえて、由美さんの顔を見るように視線を向ける。


 改めて見ると、やっぱり大きいよな、由美さん。選んどいて何だけど、もうちょっと露出抑えたもの選べばよかったかも。目のやり場に困るし、それに……。


「パーカー持って来ればよかった」

「もしかして寒い」

「いや……暑いくらい」

「お~いお二人さん。イチャついてないで早くきなよ」

「なっ!!」


 由美さんは咄嗟に指を離し、「ちょっと鈴木君!」と少し先を行く鈴木に抗議しに行った。


 こんなこと、俺が思っていい事じゃないのわかる。あんま他の人に見せたくないなんて、何様だよって話だよな。

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