久し振りの兄妹
「ただいま~」
玄関から、久々に聞く妹の声が響いた。今日が帰りだと聞いていはいたが、もう少し遅れると踏んでいた俺は、夕飯を準備する手を止めて、妹の出迎えに向かう。
「おかえり真澄」
「ただいまお兄ちゃん」
丁度靴を脱いでいるところだったので、荷物を貰おうと思ったのだが、見ると行きよりかなり荷物が少ない。
「真澄。旅行鞄は?」
「北海道から宅配しちゃった~」
「宅配? 今どきの修学旅行って、宅配できるのか」
「うん。先生がしたい人は使っていいからって言ってくれて。ホテルの人に教わりながら伝票書いてきた」
「へ~。画期的なんだな」
俺が広島から帰って来た時は、両手に荷物いっぱいで大変だったが。やはり行く先が遠くなると、そういうこともできるんだな。
「今ご飯作ってるから、先お風呂入るか?」
「それよりもまず、しなくちゃいけないことがあります」
「なんだよ、改まって」
真澄は靴を脱ぐと、そのまま俺にタックルをかまして押し倒して来た。何事かと思ったし腰打ったけど、ギュッと抱きしめられたので、しかたなく放って置く。
「どうしたんだ?」
「お兄ちゃん成分が足りないのです」
「兄は健康食品ではないのですが」
「私専用の精神安定剤だよ~。えへへ~」
「まったく」
まあでも、この感じも懐かしいな。お帰り、真澄。
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