高橋君の恋愛事情、おまけ

「高橋さん」


 後日。俺は帰り際に、田中に話しかけられた。それだけで何故俺が話しかけられたのかを察する。


 佐藤のことだろう。わかってるよ。


「手は出さないよ」

「あら、よくわかってるじゃありませんか」

「そりゃあな」


 お前の目の前で、佐藤をものにできるなんて思ってないし。何よりまだ友達になったばかりだ。告白なんかできない。


「まあ私は、いい機会だとは思ってますが」

「何がだよ」

「真澄の兄離れです」


 佐藤の兄離れ? あいつブラコンなのか?


「もし真澄があなたを好きになったところで、負ける気がしませんが。さすがにお兄さんには勝てませんからね。ですから、頑張ってくださいね? 私のために」

「……」


 いい笑顔で去っていく田中を見送る。完全に嘗められてるな俺。俺だって、お前に負けるつもりは毛頭ないが、お兄さんか……。


「どんな人なんだろうな」


 佐藤と同じで、感情の起伏が少ない人なのかな? それとも逆? 一度会って見てぇな。

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