妹の男友達
春。高校では二度目となるこの季節。そして二度目の球技大会。体を動かすことは好きなんだけど、春先で眠くなるし正直気分も乗ってこない。ただ単位が貰えるからという理由で、今のところは出席している。あと休むとお兄ちゃんが煩いので。
別にサボりたいとかではないんだけど、やっぱり眠気が勝っちゃうんだよね~。今も眠い。
半日を使った球技大会も、お昼を周ってようやく後半戦。お腹がいっぱいになったおかげで、今朝から続いていた睡眠欲も最高潮に達しようとしていた。
球技大会は男女別で、同じ種目で競うことになっている。今回はバスケットボール。
総当たり戦なので負けても勿論試合がある。ただうちのクラスは何気に強くて、今のところは全勝。なんなら全部勝つか~、と謎の勢いを付けている。
「ではこれより、D組たいA組の試合、女子の部を始めます」
審判をするのは直前で負けたクラスのごく一部の人。彼女のコールを合図に、試合は始まる。
全員で取り敢えず挨拶だけすませて、各自持ち場に戻った。私はというと、運動神経を買われてか、なぜかスターティングメンバーに選ばれている。
「真澄~♡ 頑張ってくださいね~♡」
「う~ん。ぼちぼち頑張る~」
コートの外に移動したちーちゃんの声援に応え、一先ず適当にさぼりながらやろうと思った。
ふぁ~。ヤバいな~。本当に眠くなってきた。思ってるだけで、人間の体ってそうなっちゃう時あるよね~。駄目駄目。せめて試合が終わるまで我慢……ん?
ふと、ちーちゃん以外からの視線を感じ取り、そっちを見る。反対側の男子コートだ。今B組とC組の試合が行われていた。A組はどうやら体育館の隅で出番を待っているらしい。殆どの男子が目の前の試合を見ているのにも関わらず、数人はこちらを凝視してた。なんか少しだけ厭らしい目つきの人達だけど、その中に私をジッと見ている男子が一人。名前は確か……高橋君?
「試合…開始!」
そんなことを考えていたら、コートの中央で審判がボールを真上に放り投げた。今はまず、試合を乗り切ることだけ考えましょう。
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