実はそういうこともできる

「誰あれ?」


 休日になんとなくブラリと駅に来たら、何あれ何あれ!? 綴君が女の子に抱きつかれてる!!

 あまりの衝撃に物陰に隠れちゃったんだけど! えっ? 誰なのあれ? 彼女? 彼女なのかな? 彼女じゃないよね? だって彼女いる? って聞いたらいないってちゃんと答えてくれたもんね!

 もしかして社交辞令? 何にたいして? 私に遠慮してくれたの? てことは気持ちもバレてるの? どうなの綴君!


 綴君と謎の女子は腕を組んで歩き出した。


 腕組んでる! 腕組んでるよあの人! 羨ま――じゃなくて! なんで恨めしい! でもなくて! 何で!!

 とっ……とにかく追い駆けないと。


「な~にしてんの? 由美ちゃん」

「うひゃい!」


 背中から声をかけられ振り向く。そこには鈴木君がいた。


「す……鈴木君?」

「何か面白い事してるね~」


 物陰から覗き込み、歩いてく綴君たちを見る。鈴木君の顔がニンマリと笑っていた。この人には完全にバレているからいいんだけど、そんなあからさまな顔をされると恥ずかしい。


「何々ストーキング? 俺も混ぜてよ」

「別にストーキングじゃ……」


 いやストーキングなんですけど、認めたら負けな気がする。


「よし、そんじゃ行きますか」

「あっ! ちょっと!」


 そんなこんなで、鈴木君と一緒に綴君と謎の少女を追いかけることになったのだった。

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