彼女は一体……
「本当にあの子は誰なの?」
「さあ? でもつづりんは、彼女がいるような気配はしなかったけどな~」
「それは二次元的な視点で?」
「二次元的な視点で」
ドヤ顔でそういう鈴木君。この人は二次元に恋をしている変な人だけど、それでもその観察眼は本物で、恋愛ごとに関しては一発で見抜く目を持っている。
何を隠そう私は一発で見抜かれたのだから。
「ただあれは完全にデートイベントだね。このまま選択肢を間違えなければ、きっと夜にはキスイベントのシーンを回収できる気が……」
キス? キスってあれかな。魚の名前かな? 鈴木君だけに魚ですか? 何笑いを取ろうとしてるんだ、この淡水魚と海水魚を混ぜた名前の男は。三枚に下ろされたいのかな?
「由美ちゃん? 顔怖いよ~?」
「怒ってますからね」
本当に何をぬかしているんだこの男は。
「それにしても……」
腕を組んで桜並木を歩く姿は、本当にデートをしているようで、凄く羨ましい。ただどこに向かっているのだろうか? 鈴木君は彼女ではないと言っていたし、実は真澄ちゃんの他にも妹さんがいたのかな?
「ねえ鈴木君」
「ちなみにつづりんは妹一人だぞ」
私の考えを先読みしてそう言ってくれる。
「気持ち悪いね。考え読まないでよ」
「唐突な罵倒? いや、なんかそんな顔してたから」
でもそうなると本当に誰なんだろう。彼女でもなく妹でもない……女友達? 大学生には見えないけど、見た目年齢ではないのかもしれない。年上の可能性ということも……。
つまり綴君は今話題のバブミという物を感じているのではなかろうか!
大人の魅力ってやっぱり、甘えたい衝動がぶつけられるってことだと思うし。いつも妹面倒ばっかりで甘えられる時なんかなかっただろうし。どうしよう……どうやったらバブミを覚えられるんだろう!?
「由美ちゃん由美ちゃん。たぶんそれは全く関係ないと思うから言っとくけど、あれは完全に年下だからね? 見た目年齢が低い年上じゃないからね?」
「だから気持ち悪いって。でもそうなると綴君は……ロリコン?」
さすがに年齢を落とすことはできないんだけど。
「由美ちゃんって、結構バカだよね」
「二次元クズには言われたくないかな?」
「わ~お、辛辣~」
そんなことを話していたら、二人が足を止めたので、私たちも自動的に足を止める。
これから何が始まるのか、一先ずは見守ろう。
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