鈴木の矛先

 結局、四人同じ部屋で宿題を片付けることに。俺たちはリビングの方の細長い硝子張りの机に、真澄たちはダイニングのテーブルですることになった。

「いや~話しには聞いてたけど、妹ちゃんの友達怖いね」

 それは笑いながらするものではないぞ鈴木。

「てか、気付いててお前乗っただろ?」

「バレタ?」

 こいつ……。俺がどれだけ嫌な思いをするかをわかった上で真澄の提案に乗っかるとは。人が悪いにもほどがあるぞ。

「つづりんの困り顔も見たかったは見たかったけど、純粋にあの子に興味が湧いただけだよ」

 柄にもないことを言う鈴木に、驚いて声も出なかった。

「大丈夫か? 風邪か? なんなら今すぐ病院に――」

「そこまで?」

 だって二次元ラブ愛してるのお前が三次元の、それも妹の友達に興味を持つなんて考えられないだろ?

「何がそんなに気にいったんだ?」

「う~ん。なんていうか、ここまでいくと2.5次元なんじゃないかって思えてきちゃって」

「田中さんが?」

「おう」

 確かに奇人変人ではある田中さんは次元の壁を越えてきている感覚はある。

「リアル百合は始めてみたからな。それにお嬢様言葉みたいだし。これを気にお近づきになりたいね~」

 きっと恋愛感情とかそういうのじゃなくて、その光景を見たいがために友達になりたいとかそんなところだろう。本当にこいつは変人だな。


~おまけ~

 なんでしょう? 悪寒がするのですが……。

「どうしたのちーちゃん?」

「なんでもありませんわ、真澄♡」

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