全ては夏のせい

 夏休み。大学でも高校でもだいたい同じくらいの期間にある休みイベント。今回に限り高校と大学は一日違いで被るという、ほぼ奇跡に近い形で夏休みが始まった。その最初の日。妹にとっては二日目のことだ。

「おっは~」

 我が家の玄関を開けて入ってきたのは鈴木歩すずきあゆ。海魚と川魚が共存している俺の同級生で、同じゼミを受講している友達だ。今回はレポート作成のためにわざわざ家に来たのだ。そして

「真澄~♡ あなたの妻(仮)が帰ってきましたよ~♡」

 真澄の友達である田中智恵たなかちえさんも一緒に来た。開口一番のそのセリフに、隣に居た鈴木は困ったように視線を俺と田中さんへ行ったり来たりさせている。

 困っているのは俺も同じなんだけどな。

「あ、智恵ちゃ~ん。いらっしゃ~い」

 俺の後ろからひょっこり現れたのは俺の妹である佐藤真澄さとうますみ。寝起きなのかボサボサの髪にキャミソールに短パンというラフ過ぎる格好をしている。

 そんなあられもない姿を見た田中さんは、顔を真っ赤にして挙動不審になった。

「ます、ます、ますます真澄!? ははははしたない! はしたないですわ!!」

 鼻血を流し写真を撮りまくる田中さん。言動と行動が一致していない。そしてその一連の行動を見て、鈴木がようやく察する。

「つづりん。こんなに近くで変態を見たのは初めてだ」

 そうだろう。だがな、お前も人のこと言えないからな?

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