気だるい兄α

「……疲れた」

 自宅のソファにボスリと倒れ込む。そのまま意識を飛ばしたいのはやまやまなのだが。

「……面倒だ」

 今日の食事当番は俺なのだ。夕飯の準備をしなくてはならない。

「……だるい。声を出すのも……」

 もはや声帯を使うことさえ面倒になる。真澄は今は多分風呂に入っている。あいつが出て来るまで少し……寝てるか。

 夕飯よりも睡眠が勝った俺は、そのまま目を閉じた。


~閑話休題~


 重い。

 謎の物体が上にのしかかっている感覚。息苦しさに目を覚ます。

 うつ伏せで寝ていたため、顔を捻っても上が見えない。

 何がのっかてるんだ?

 疑問に思っていると、規則正しい寝息が聞こえて来る。それで何となく察した。

 俺は体を転がし、上にのっかていた真澄を躊躇なく床に落とす。

「ぐえ」

 蛙が潰されたような声をあげて、真澄はもぞもぞと起き上がった。

「……痛い」

「……真澄」

「何お兄ちゃん?」

「今日の晩飯、出前でいいか?」

「ピザ」

 デリバリー。まあ作りたくないし、外でたくないし。ピザでいっか。

 広告のチラシの中から、ピザのデリバリーサービスのやっているものを取り出す。

「どれ?」

「……ん」

 指さしたのは、そのチラシの中でも一番高い商品だった。

 さすがに頭にチョップを入れる。

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