第7話  凛の笹目き

まだ貴女、私のこと・・・まさかね。きっと明日香には好きな人が出来たのよ。

それも、報われない。危ない恋を・・・じゃなきゃ、こんな事をするはずないもの。凛は心の中でささやいた。明日香は十六歳の頃と何も変わっていないと、変ってはいけないと・・・。だって、変ってしまったら・・・、明日香は明日香でなくなっちゃうから。

 恋に不器用な貴女だから十六歳の私は好きになったのよ。次に貴女を好きになる人も不器用な貴女を愛してくれるはずだから。―そう、囁きかけた。凛の隣に立つことのない貴女に向かい。

 電話では言い過ぎたと思っている。だが、私が貴女に向けて謝罪を述べることはないだろう。

むしろ、貴女は私たち家族に対して平身低頭しわびるだろう。

 でも私はして欲しくありません。かつて愛した。貴女のそんな姿を見たくありません。貴女はきっと今の私の気持ちを理解して私達が居ない場所で唯と智絵に会うのでしょう。

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