五人目、取り乱す

「……な、なにここ?」


女の子の声がした。


そちらに向くと、リボンスカーフのセーラー服を着た少女が青ざめている。


「よくわかんないんだけど!お母さん帰ってこないし、起きたらこんなとこいるし!」


半泣きで叫ぶ少女。一人くらい落ち着きがないのがいても不思議ではないが、逆に不安を煽るだけ。アンナがその声に、更にぎゅっと膝を抱えて震える。夏生もまた青ざめて、無口になった。


「き、君!落ち着いて!誰もわからないんですから、ね?」


落ち着かせようと、肩に手をやると、払い除けられた。


「何?!女子高生だからって、優しくされたからって援交とかしないよ!」


スーツだけで、それはないだろう。過剰反応にもほどがある。


「……騒いだって何も解決なんてしない。落ち着いて状況把握する方が有意義だよ。現役なんだから、頭使いなさいよ。」


まるで自分が学生など当に卒業したかのような発言。見た目はどう見ても、中学生か高校生だ。


「な、何よ!あんたなんじゃないの?!あたしを帰してよ!今すぐ!」


夜々に掴み掛かろうとする少女。夏生と貴哉が慌てて止めに入るが、その前に少女は腕をひねりあげられていた。


「いたっ!痛い!離してよ!」


「大人しく座っているならね。」


少女は渋々納得し、夜々は手を離した。

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