ぎこちないギアの質問

僕は女の人にはちんちんが付いて無いことを知っていた。

誰かに明確にそれを教わった事は無いけれど、プールの授業や体操服で浮き彫りになる女子の股間を観てもモッコリは無かったし、

夜になったらお空に月が出るのを人間はいつの間にか知っていたように。

僕もまた女はちんちんがないことをいつの間にか理解していた。



ただ、中身がどうなっているか、ちんちんの代わりに何が有るかはまだその時は知らなかった。



今までそんなこと疑問にも思わなかったのに急に不思議に思えてきた!。そういえばホントにどうなってるんやろう・・・。


(男の僕らにもわからないような小さいちんちんでもあるんかなぁ)



僕は目の前に居るナツキの股間をチラッと眺めた。素早く1,2秒目線を下げると彼女はスカートだった。


くそっ!と言いたくなったが我慢。



どうにかして遠回しに聞けないものかと思った。


急に心臓がドキドキしてきた。

顔の下の首が嫌に息苦しかった。

呼吸もしにくい。




(う~ん、どうやって聞けばいいのかな)




大きく唾を飲んでから僕はこう言った。





「そ、そういえば、女って自転車乗ってる時ってさ・・・なんか痛くないん・・・?」


若干12歳の僕のボキャブラリーと転機スキルではこの質問が限界だった。


夏生は僅かに「ん?」といったような顔をしこう答えた。


「・・・痛いって何が?」


「なんかこう、、座った時にゴリッとするような。。。ものが・・・」




夏生は少しの沈黙の後自転車を眺めつつこう言った


「・・・う~ん、無いと思うよ~。だって私、そんなん付いてないもん。(笑)」


「あ、そっか・・・・うん。」



自分から質問したのに僕の頭は真っ白になった。真正面で真っ当な正論を返されると人間は唖然とするものである。




「逆に男子っていつも乗る時痛いん?(笑)」

夏生は少し馬鹿にしたように聞いてきた。



考えてみれば男の自分も特に痛かったことはない、真面目に乗ってれば特に痛みなんか無い。




「いや、別に痛くないで」


「じゃあ何で聞いてきたん?」


「いや、なんとなく、ごめん(笑)」


「へんなの~」



夏生は微笑み首をわずかに傾け黒い髪を手櫛で少し整え、軽くサドルを2回バンバンッと叩いた。


彼女なりの「帰ろう」の合図だった。












僕たちはとりあえず、公園を後にし漕ぎ始めた。

(女の人のアソコの秘密、また今度聞いてみることにしよう)



夏生の座った僕のサドルは体温がまだほんのり残っていた。



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