黒髪の少女

7月22日

午前9時に散髪屋の前で待ち合わせをした。

夏生は先に来ていた。


髪はブラック中のブラックでロングのストーレート

顔は普通に可愛くて清楚系。クラスでは3番目にモテている。

指が長くピアノも上手い。だが見かけによらず若干口が悪い。


服は水玉のTシャツでベージュのキュロットスカート。

結構シンプルな服装だった。あくまでプールがメインってことかー。

そしておそらく水着はもう着てるんだろうな。まあ自分もだけど。


じゃあ行こっかと言ってお互い自転車を漕ぎだす。


「今日はなんで一緒に行こうって言ってきたん?」

「・・・・」



夏生は無言で右側から左手を伸ばし僕のハンドルの変速機をを6から1に変えるという些細ながら高度な技を繰り出してきた。


僕は仕返しをしてやりたかったが夏生の自転車には変速機は付いてなかった。


その変速機の有無の違いに僕はぼんやり男女差的な違和感を覚えつつ、学校のプールに向かった。




学校に着き、先に置いてあった僕の男友達数人の自転車を発見。

自転車を降り、着替える部屋に行ったらその男友達らがいた。


海パンはもう履いて着てるので実質脱ぐだけの迅速な脱皮。


着替えてからプール場に行き、ふと見渡してみると


遅れて夏生とその友達が着替える部屋から出てきた。いつも一緒に遊んでいる3人組、

鈴木彩(通称すずちゃん)と安田千香子(通称ちか)と一緒にプール場へ出てきた。


何だよあいつらと一緒に行けばいいのに。なんで僕と行こうと思ったんだろ。

と思った。



プールでは夏生とは別行動で男同士で遊び水面にブレーンバスターやパワーボムとかを連発。飛び込みは禁止だったがプール内は特に制限は無く自由に遊んでいた。

カルキの匂いとセミの鳴き声。炎天下の下で皆活発にはしゃいでいた。






約3時間のプールが終わり皆疲れきっていた。お腹もペコペコ。


夏生はすずちゃん達と帰るのかなーと思ってのんびり着替えてから自転車置き場に向かう自分。



黒髪の水玉の女子はどうやら先に着替えてたようで僕の自転車に乗って変速機でカチャカチャ遊んでいる。


僕は小走りで駆け寄り、壊れるから辞めろ!と言った。夏生はニッコリと笑った。





「男子の自転車ってなんか面白いね、これ動かして乗るとどう変化するの?」


「なんか重さが変わる。」


「重さってなあに?」


「なんかこう、、足のグッとこう・・踏ん張るときの重さ。」


「・・・・・・・・・じゃあ軽いほうがいいやん。」


「・・・せやけども・・・。あーめんどくさいっ!女子にはまだ早いんじゃ!」



夏生はなぜか怒らずニマニマしていた。乗ってみたいのだろうか?いや、誰が乗らすか。





とりあえず帰りも一緒に帰ることにした。

お互いプールが楽しかったのか行き道よりは多く話せた。

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