第6話 気持ちの伝え方
ジャイアントアントに連れられて森の中を歩いてる。
アルラウネの時は太陽が木に隠れてたが、まだ明るかったが、今は周りが薄暗くなり、歩くにも下を見ながらじゃないと木の根に足を引っかけそうになりながらも進み、少し開けた場所に出た。
後ろを歩いてた片目が前に出て、森には似つかわしくない大岩が置かれてる場所に進んでいく。その大岩の足下に、不自然に出来た塚があって穴が見え隠れしている。
片目は周りを見回してから、穴に向かって何か言ってから、空いた手で俺を手招きした。
十中八九ジャイアントアントの巣で間違いないだろう。
近付いて穴を見ると底はそこまで深くなく、多分小学生がすっぽり収まるほどの穴だ。さらにその穴から横穴が覗いており、横穴から仄かに明かりが漏れているのが見える。
入るのを躊躇ってると、後ろに立ってた片目が背中を持ってた槍で押してきた。
「わかったから! 入るから! 槍で押すのはやめて。刺さるから!!」
意を決して慎重に穴に入ると、胸ぐらいまでの深さしかなかった。
俺は恐る恐る横穴に足を突っ込むと、誰かが俺の足を掴んで引きずり込んできた。
抵抗する暇もなく俺は横穴に引きずり込まれ、一瞬の浮遊感のあとに尻から落ちた。
尻が痛くなかったのが不思議だが、顔を上げると何人もいるジャイアントアントから、幾つもの剣や槍を向けられてる現状だった。
緊迫した雰囲気を感じ、とっさに尻餅をついた状態から両手を上げ、抵抗の意志がないことを示すと、ジャイアントアント達の視線が一斉に俺の股間に集まっている。
ああ、忘れてた。俺、素っ裸なんだった。
今日で何人の魔物娘に見られたことか。なんだか見られることに慣れてきた自分がいて悲しい。そのうちに露出癖になったりして、見られることに快感を覚えるんじゃないだろうか……
俺は両手を上げたまま立ち上がり指示を待ってたら、後ろから片目が降りてきて周りの魔物娘に指示を出し始める。すると俺を囲んでたジャイアントアントが両側の壁に整列して道が作られ、その出来た道を片目が歩いて行った。
ついて行くしかないよな。
通路から顔を出した新たなジャイアントアント達が俺を興味津々で見てくる。特に、下半身を……
ジャイアントアントの巣は少し下り坂になっていて、通路に明かりはなく。部屋であろう横穴からの漏れた明かりが壁や床を照らしてる。
照らされた床や壁は土で出来てたのだが、部屋から漏れる明かりで土が光を反射していたので、何かしら土に塗ってるんだろう。
部屋を通る時に横目で中を覗くと、壁に穴が空いていて中にランプ置いてあり、火が揺らめいていた。その部屋の中には藁を敷いて横になって休んでるジャイアントアントがいる。魔物娘の個室か休憩室なのかな。
他にも西洋の武器や防具が置かれた部屋、果物や肉が置かれた食料庫のような部屋などもあった。
片目は更に進みある部屋に入っていった。その部屋は他の所とは違い、
入り口に槍を手に持ち、剣を腰に装備したジャイアントアントが警備している。
左右から睨まれながら入り口を通ると、ランプの明かりの中で藁の上で寝そべってるジャイアントアントは、他とは少し違った外見をしていた。
違いは、背中から虫特有の透明な羽が生えていて、顔立ちが凛々しく、瞼があり目には他の者と違い黒目の周りに白目があり人間同様の目になっていた。
あと、胸が他のジャイアントアントと違って大きいみたいだ。
俺の予想では目の前の人物がDカップほどで、普通のジャイアントアントはBカップほどの大きさだと思う。
俺の記憶が正しければジャイアントアントの女王だったはず。
その女王は現在片目と話し合っているが、時々驚いたかのように目を見張ったりなどしている。
話を終えた片目は、俺の横を通り過ぎる時何か囁いたが、残念ながら意味はわからなかった。片目は部屋を出て行き、代わりに入り口に立っていた警備兵の二人が入ってきて俺を監視している。
これから監禁されて、捕虜みたいな生活が待ってるんだろうかと考えてたら、女王が藁に寝そべったまま俺に手招きしてきた。
従うしかないので藁のそばまで近寄ると、女王は優しげな表情と口調で俺に話かけてきたが、相も変わらず意味がわからない。
俺が言葉がわからないとわかったのか、女王は困り顔をしている。その困り顔がまた可愛かった。
女王はまた優しげな表情に変わったが、瞳と口は淫靡な雰囲気を漂わせながら、自分の横の藁を軽く手で叩いてる。これは…… もしや、お誘いか?
据え膳食わぬは男の恥。お誘いを受けることにしよう。
俺はゆっくりと藁に座り、女王と見つめ合う。藁に置いた俺の手に冷たい感触が乗っかってきた。
突然の感触にびっくりしたが、俺はその感触を受け入れ、女王と見つめ合いながら、乗っけられた手でゆっくりと探ってゆく…… 滑るような質感、枝分かれした長さが違う何かが五つ、予想通りなら女王の手だろう。そのまま指を絡ませ優しく握る。女王の表情がはにかみを含んだものになった。間違いなく女王の手だ。
俺は顔を女王に近づけてキスの許可を待つ。女王も応えるように顔を近づけてきた。
キスの許可が下りた。俺は高ぶる気持ちを抑え、ゆっくりと唇を近付け、女王の唇に軽く触れる。お互いに確認するかのように軽く唇を合わせてたが、俺は頃合いを見計らって、舌を女王の口内に滑り込ませた。
女王は一瞬身体を震わせ驚いたが、少しずつ舌を絡ませてきてくれた。
舌を絡ませて何分ほど経っただろう。いや、何十分だったかもしれない。
途中途中お互いに息を整えながらキスしてたが、時間が経つにつれて、女王の瞳はとろけるように柔らかく、情欲に濡れた瞳になっていた。
俺は監視している二人の視線を気にせず、女王を藁に押し倒して目の前の女性一人だけを見つめることにだけ集中する。
俺は貴女のことを愛してるのだと、伝わる為に。
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