第3話

Waikiki,USA


とある男が持っている数ある別荘の1つ。

現在は主がいないため人の気配は薄いが、家具等の調達は一級品であるため、盗難を防ぐ目的で抱えの警備員が監視カメラや定期巡回による監視は行われているため、もぬけの殻というわけではない。


今日もどうせ何もないだろうと、当番の警備員が2人、気だるげに監視カメラのモニターを眺めているだけの状態なのだが・・・・・


「・・・・・ん?」

ふと、当番のうちの片方が何か気になるものでも見つけたのか、隣にいる相方に声をかける。

「なあ、今って、俺達以外に誰かいたか?」

尋ねられた方の男は『どうしたんだ?』という言葉を顔に浮かべて答える。

「いや、今夜の当番は俺とお前と、あとはマイクが門番やってるだけだが・・・・・どうかしたのか?」

「じゃあ、コイツは?」

そう言って、いくつもの部屋が移されたモニターのうちの1つを指差す。

そこには、屋敷の奥へと向かうただの廊下と――


――いるはずのない、もう一人の警備員がうろうろしていた。


「なんだ?マイクが小便しに来た・・・・・ってわけでもないよな。奴にしちゃあちっこいな。もう一人いたっけか?」

「さあ。そもそもあんな奴いたか?」

「うーん・・・・・覚えちゃいないが、多分いたんじゃねえの?あの制服はどう見てもウチのだし。影の薄い新米が迷子になってんじゃねえのか?案内してやれよ」

「やだよ面倒臭ぇ。連れてく途中で漏らされたら困るだろ」

「誰がトイレ探してるって言ったんだよwいいから連れてこいよ、どっちにしろそろそろ巡回だろ?ついでに回ってこいよ」

そう言っているうちに例の男はカメラの死界に入ったのか、画面から消えていた。

「まじか、もうそんな時間か。ああだりぃ・・・・・とっとと交代して寝たいぜ」

言いながら、言いだしっぺである男は大げさにあくびをして、腰を上げた。


「んじゃ、ちょっくら回ってくるわ。くれぐれも寝たりアレなビデオ見たりすんじゃねぇぞ?」

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カイリ tkma @tkma

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