第6話


ラブホテルなんて行ったことない。

大人の場所だと。


その時点で自分の子供な感じに呆れた。


キスだってまともにしたことがないのに

ラブホテルって………


ホテルに行く途中細い路地に入った。

繋いでいた手が急に引っ張られる。

ふらふら歩いていた私はびっくりして「ふぁぁ」とかアホみたいな声を出してアホヅラでよろけた。


「ふぁぁって……このタイミングで出る声?笑」


そう笑いながらミツキさんはよろけた私を受け止めてくれた。


「すみません。そんなにお酒弱くないはずなんですけど。だらしないとこ見せてしまって……」


ふらふら歩いてはいるが一応このくらいのお詫びは言えるくらいだった。


「酔っ払いのくせに笑」


またミツキさんは笑う。


それから私の頭をぽんぽんって撫でてくれた。


そんなことされたこともない私はどうしたらいいか分からなくてただ俯いて直立不動。


自分の経験値の低さに嫌気がさした。

たった2つ上なだけでここまで違うのかと。


都会の経験値高すぎだろう。

都会のハードル高すぎだろう。


そんなこと考えて挙動不審になっていたら、


「そうゆう何も知らないとこ本当可愛い」


そう言ってミツキさんは私を抱きしめた。


もうパンクする。頭がついていかない。

穴があったら隠れたい。


抱きしめた腕を離してミツキさんが私を覗き込んだ……


そして…キスをされた。


私はもう頭が真っ白でどうしたらいいかもわからなくて……


ミツキさんの舌が私の唇をなぞって、

私の口内に割り込む。


もちろんディープキスなんてしたこともない。



されるがまま。


息ができない。苦しい。


その時、やっとミツキさんの唇が私の唇から離れた。


凄く優しい顔で私に微笑むミツキさんと

酸素を体内に取り入れるので必死な私。


「もしかして、経験ない?」


その言葉に私は恥ずかしくなり涙目になってしまった。


「急にしてごめん。でも嬉しい。」


訳のわからないことを言われた。


やっと呼吸が整い私は自分の経験値の低さが恥ずかしくなって

「全然平気です」

と、嘘をついた。


私は自分を鼻で笑った。



多分、強がっているのをミツキさんも、わかっていたのだろう。


また優しく微笑んで、私の手を引いて歩き出す。




数分歩いてホテルについた。



何もわからずただカチンコチンに固まる

私。

手慣れたように部屋を決め案内してくれるミツキさん。


部屋について少し飲み直して、たわいもない話をする。


「シャワー浴びて来なよ。」


そう言われて私はお風呂へ向かう。


お風呂が大きくて色んなライトがついて…

恥ずかしながらお風呂に興奮してしまった。


そんな私をみて、ミツキさんがお風呂に入ろっかと提案してくれたのでお風呂に入ることにした。


入浴剤を入れて泡がモコモコなお風呂に浸かる。

1人で泡で遊び始める。


その時、ミツキさんがお風呂に入ってきた。


男の人に裸なんて見せたことのない私からしたら大問題だ。


なのにミツキさんはしれっとしている。


「一緒に入るんですか?」


「だめだった?」


あぁ…またそんな美しい顔で見る。

そんな顔されたら断れないに決まっている。


私は決して痩せてはいない。

どちらかというと…肩幅もそこそこあるし脚だって筋肉の名残が未だに取れない。

運動部でした!って感じの体型なわけで…


こっち見ないでくださいと言い続けながらお風呂に入った。


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