第5話


その日は学校終わりにスタッフさんと買い物に行こうって話になってて、渋谷で待ち合わせだった。


仮にスタッフさんをミツキさんとする。


ミツキさんに色んなお店を教えてもらってお互いにそこそこ服を買ってご飯を食べて帰ることになった。


普通に居酒屋に入って、お話しして…

凄く楽しかった。

それからミツキさんが、「CLUBいく?」って切り出した。


私はCLUBなんて行ったことなくて、未知の世界で……少し怖いとも思ってた。


「私行ったことないです…」


その一言でミツキさんは凄く嬉しそうに

「なら決まり。連れてってあげる」


私も興味本位で承諾した。


そこからまた少し飲んで、いよいよ。

CLUBに入った。


元々私はバンドが好きでliveにもよく行っていたので爆音には慣れていたが、そこは私があまり聴かないジャンルの音楽で溢れていた。


みんないい具合に酔っていて、楽しそうに踊っていた。


圧倒された。


ミツキさんがずっと一緒にいてくれたから凄く楽しく過ごせた。


次第に私もミツキさんも酔っ払ってきてお互い今までにないくらい近い距離にいるのに何も抵抗もなく踊っていた。


ふとミツキさんがちょっと待っててと隣からいなくなった。多分…お手洗いだなと。


一人でぼーっとフロアを見つめてミツキさんを待っていると


「ねえ、めっちゃ可愛いね。お酒奢らせて。」


可愛いねなんて言われ慣れてない私は結構冷たい態度を取ってしまい、断るのだが……しつこい。


肩を回してくる始末。


気持ち悪い。


「よく来るの?」

「いいえ」

「なら友達になろ!」

「ならの意味が分かりません」


なんて言葉を交わすのに必死で少し話してた。


「すみません。僕の連れです。」


ミツキさんの声がした。


「なーんだ。連れがいたのね」


知らない男の人はどこかに消えた。


「大丈夫だった?」

彼の言葉に何故か急に安心して

「ありがとうございます」と自分なりにはいつも通りの笑顔で返した。


「もしかしてめっちゃ怖かった?」


「え?そんなことないですよ」


「めっちゃ手震えてるよ笑」


ミツキさんに言われて私は自分が凄く緊張してたのに気づいた。


「少し緊張してたんですけど、ミツキさんきてくれて安心しました」


「一人にさせてごめんね。でも安心してくれてよかった。というか、普段は凄くクールで動じない人だなって思ってたけど……やっぱりまだ10代って感じでかわいいね」


まただ。可愛いなんて言われ慣れてないし違和感しかない。

なんて返事しようか困るから取り敢えず…


「子供ってからかわないでください笑」


って返しといた。


そしたら急にミツキさんが吸っていた煙草の煙を私に吹きかけた。


「何するんですか笑」


「この意味わかる?」


「意味?」


私にはさっぱり分からなかった。


直ぐに携帯を出してネットで調べる。


私は思わずミツキさんをまじまじと見てしまった。


「意味…わかった?」


ミツキさんは私に凄く綺麗で妖艶な笑みを向けた。


私は恥ずかしくなって目を逸らしたまま持っていたテキーラを一気に飲んでしまった。


急に顔が熱くなりふらふらする。


そんな私を見て笑うミツキさん。


「場所変えよっか」


耳元でそうゆう彼の口 目 睫毛……

全てが美しくて………

もっと見ていたいと思ってしまった。



もう、どうにでもなれ。



私はミツキさんに手を引っ張られついていった。





行き着いた先は…LOVEHotel






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る