5-3

携帯を開いて時刻を確認。午後十二時二十九分。簡易キューランプのスイッチに手を置いて、その時に備える。部長はマイクを、そして静巴先輩はウォークマンの準備をした。


 やっぱり、いつものメンバーだとしっくりくる。これでこそラジオ部だ。

 時間になり、僕はカウントをする。そしてそれぞれが順々にスイッチを押していく。まず赤文字のキューランプが点灯し、次に明るい曲が流れ、そしてマイクが入った。


「はい! というわけで始まりましたー。第九回、お昼の放送はラジオ部におまかせ! 略してー『昼ラジ!』のコーナーです!」

「一週間とちょっと、私の場合は二週間とちょっとぶりですね」

「久しぶりだと感覚違ったりする?」

「そう感じるかなと思ったけど、普通かな」

「そっかそか。それだけシズにとって、あたしは一緒にいて居心地がいい存在ってことだな!」


 感慨深そうに腕組し、部長はうんうんと頷いた。

 次のコーナーに向け、僕は静巴先輩からウォークマンを受け取る。


「そういうことにしとこっか」

「てわけで、今回からパーソナリティは、あたしことひめと」

「シズに戻ります。でも――」


 机上のメールを漁り、紹介に備えつつも静巴先輩が切り出した。


「どしたー?」

「前回の放送、ずいぶんと面白かったね」

「いや、楽しかったんだよこれがッ! くろすけとやるのはなんか新鮮だったなー。お姉さんのことも少し知れたし」


 部長がこちらへ目配せしてきた。


「なんなら、今度シズくろすけ回とかやってもいいんじゃない?」

「くろすけ君がいいんなら、お願いしようかな?」


 部長もメールに手を伸ばし、コーナーに備える。

 静巴先輩とラジオか。部長みたいに暴走する心配がない分、そう言う意味ではぜんぜん気が楽かもしれない。


「んじゃ、そろそろコーナーいこっか! お悩みいろいろ相談室ー」


 タイミングを計ってウォークマンを操作し、僕は曲を変更する。メロディーラインの弾む音楽が流れた。そして段々と音量を落としていく。


「このコーナーでは、『らじボックス』に投函された恋のお悩みや日常のお悩みを、サクサクっとあたしたちが解決していこうではないかという、非常にぬるーいコーナーです」

「ぜひ半身欲気分で聞いてください」

「漬かりすぎてのぼせても、あたしたちは何の責任も取りませんので悪しからず。んじゃあ一発目は、久しぶりのシズからで」

「了解しました」


 あらかじめ用意しておいたメールに、静巴先輩は目を落とす。


「ラジオネーム、クラッシュミンチさんからいただきました。

『こんにちは、ラジオ部のみなさん。いつも楽しいラジオをありがとう。他校ですが、思い切って投稿してみます!』」

「おおー他校の生徒のが読まれるって稀だね! ありがとー」

「『昨日、河川敷を一人で歩いていたところUFOにさらわれました』」

「――ってすげえッ!」

「『僕の高校では牛や豚などのいわゆる家畜を育てていて、最近、よく牛がいなくなるという事件が頻発していたのですが。UFOの内部で持て成された時に出てきた牛ステーキは、どうもA3ランクの牛っぽい。

 そして皿の脇にはよく見ると、耳標のようなものが……。四桁のナンバーは、これまさに自分が手塩にかけて世話を担当していた牛の管理番号だったのです。校内で噂になっていたキャトルミューティレーションの折に盗まれたものだったと知って、複雑な気持ちになりました。

 それでも食べるまで宇宙人は帰してくれず、僕は泣きながらミント(牛の名前)を頬張りました。素直に美味しかったですが、もう戻ってこないと思うと悲しくてたまりません。人生ってしょっぱいんだなと、すごく勉強になりました。……ミント、ごめんよ』

 というおハガキです」

「うっ、ぐす……。この牛さらった宇宙人はなに考えてんのッ。キャトっちゃダメでしょ! こうして肉に人生かけてる子だっているんだよ?」

「ひめさん、肉って言っちゃダメ。せめてお肉にしてあげないと」


 丁寧になっただけっ?!


「シズはどうよ? これひどくない?」

「それはひどいと思うよ。けどそれ以前に、UFOに拉致されることの方が驚きなんですけど」


 その意見はごもっともだと、僕も同意する。


「たしかにそうだ。でもそこはさほど重要じゃない。問題は可愛がって世話してた牛を肉として食べちゃったってことだよ。その悲しみは、察するに余りあるよ」

「まあ、そうです」

「淡白!」

「でもそれは、携わってる人なら仕方のないことじゃないですか?」

「そうだけどさー。ならそうだなー。じゃあ、シズの場合なら、抹茶プリンが拉致られて、お抹茶になって出てきたら悲しいでしょ?」


 その例えは例えとして合ってるのかな? そもそも順序が逆だし、微妙に違う気がするんだけど。


「それは悲しい! そうか、そういうことなんですね。クラッシュミンチさんも、そんな気持ちだったんですね」


 納得しちゃったよ。静巴先輩、抹茶は嫌いだけど抹茶プリンは好物みたいだからなー。それに置き換えられると、無意識に反応してしまうのかもしれない。好物って、たぶんそういう物だ。


 嫌いなお抹茶を飲むまで宇宙人に帰してもらえない静巴先輩か。涙目で許しとか請うんだろうか……。それはそれで少し笑えるかも?


「クラッシュミンチさん、これに懲りず、美味しいお肉に愛情を注いであげてね。ってわけで次! ラジオネーム、メイメイさんから」


 メイと言われて一瞬ドキッとした。まさか姉ちゃんが……。

 いや、そもそも何を送ってくるというのか。思い過ごしに決まってる。普段からされている嫌がらせじみたイタズラが身に染み付いていて、ただ名前に敏感になっているだけだろう。

 きっとそうに違いない。


「『ラジオ部のみなさんごきげんよう、お姉ちゃんです』

 ん? 誰だよ。えーっと、

『相談に乗ってほしくてメールしました。相談というのは何を隠そう、弟のことです』」


 気のせいではないかと、確認するように心臓がもう一度跳ねる。

 なんだか嫌な予感しかしない。


「『ずっと前、登校前に玄関で弟とばったり鉢合わせになった時のことなんだけど。その弟が履いているスラックスの後ろポケットから、なにやら白い物体が飛び出ていたのね。なんだろうと思って引っ張ってみると、まるで手品のハンカチのよう!

 白を皮切りに、色とりどりのお姉ちゃんパンツが連なって出てきたの! 数えてみると計七枚。私はなんだかツイてると思って嬉しくなったんだけど。私のパンツで遊ぶこんな弟を、みなさんどう思いますか? よければご感想を』

 ――ってくろすけっ!? 」


 何事かと目を瞠る部長。

 読み上げる前に、気づけば僕は、プリントアウトした投稿メールを部長から奪い取っていた。


 内容の出来事に、身に覚えがあるからだ。もちろん故意じゃない。そんなことあるはずがない。けれどうちの姉は、それが僕の意思による犯行だと言って引き下がらない。なんてタチの悪いっ! 自分で下着を結び合わせ、僕が寝ている間にスラックスのポケットに忍ばせたというのに。白を切りとおすどころか写真を撮り、それをネタに脅す始末。


 こういう時、潔白であっても男というのは立場上弱い。痴漢冤罪というのをたまに聞くけれど、なんだか擬似的にそんな気分を味わった。

 思い出したら、なんだかむかむかとしてきて――


「これは僕じゃありませんッ!」


 なんてマイクに向かって大声で叫んでしまったものだから……


「えっ、これってくろすけ? ってことは、これ、くろすけのお姉さんからの投稿なの?」


 やばい、余計なことを口走った! 別に姉が触れて回っているわけでもなく。単に名前を伏せ、ただ『弟』として投稿してきただけで他人事で済んだ話なのに!


「ち、ちが、僕じゃなくて、これは不可抗力で」


 パニクッて、自分でも言っていることが訳わからなくなってきた。

 と――、急に背後で放送室の扉が開く音がする。


「なんだ、とうとうゲストを呼ぶことにしたのか?」


 まるでタイミングを計ったように現れた闖入者。それは五十嵐先生だった!

 勢いのある赤髪ウルフは、勝ち誇ったように口角を上げる。

 助かった。ほっと胸をなでおろす。これで僕の話題から逸れそうだ。

 と安心したのも束の間、


「だったら私に任せろ。『ブルマの良さとは、ハウツー香澄さん』コーナーを受け持とう」


 なんだこのカオスは。自分のコーナーをぶち込んできたぞ。

 テスト明けで生徒のみならず、先生までもが浮ついているのか。まさか五十嵐先生が乱入してくるなんて。

 いつ入ろうか本当に計ってきたんだろう。五十嵐先生は準備よく、紺色ブルマ姿だった。


「そういうコーナーはいいですから!」

「そうか、ブルマは駄目だというんだな。ならお前が好きな競泳水着にしよう。待ってろ」


 五十嵐先生は踵を返すと、扉を開けて放送室を飛び出していった。

 さり気に僕が好きなとか言い残していったぞ、あの人。確かに嫌いじゃないしむしろ好きかもしれないけど、さすがにコーナーまでは公序良俗に反する気がする。

 このままじゃ前回みたくグダるどころの話では済まない。五十嵐ならぬ大嵐で大荒らしだ。


 東雲先生が座る椅子と机を押して動かし、僕はバリケードとする。

 いくら赤鬼でも、東雲先生を蔑ろにしてドアを突き破るなんてことはしないだろう。二人はけっこう仲良さそうに思えたし。そんな気がした。

 これで一安心か、そう思って振り返る。

 パーソナリティ二人からの、底冷えするような冷たい視線が浴びせられていた。


「なんでドン引き、してるんですか……?」

「くろすけ君が変態だったなんて、知らなかった」

「いや、違うんですよ、静巴先輩! これは僕のせいじゃな――」

「シズ、仕方ないよ。ちくわぶあげたら、唐突に乳首部とかやっちゃうようなイタい子なんだよ。いまさらだよ」

「なっ!?  それこそ僕のせいじゃないですよ。なに言ってるんですか美咲先輩!」


 これ以上変態なんてレッテルを上塗りされてたまるか!

 なんとしてでも、その事実だけでもみんなに伝えて――


「そんな変態おかしいくろすけ宛てに、メールが来ていまーす」

「いや、いまはそれどころじゃなくてですね」

「はい、くろすけお座り」


 …………。

 部長に指示され、静巴先輩が引いたデスクチェアに腰を落とす。


「従順なワンちゃんみたいだなー。そんなくろすけには、後でののちゃんをいいこいいこさせてあげよう」


 その対価は意味が分かりません。

 というか、褒美のための代償を払ってるような気がしてきたぞ。


「えー、一般、そして葦ヶ崎の生徒両方から多数のメールを頂いていて。掻い摘むと『くろすけ君をゲストに呼んでください。くろすけ君回もあっていいと思います。くろすけの姉ちゃんのことが知りたくなった。なんならゲストに呼んでもいいんじゃね?』などなどです! まあ概ね高評いただいたようでね。よかったねー、くろすけ」

「あ、それはどうもありがとう――ってずいぶん端折りましたね。てか姉ちゃんのメール読んだ後にこれ紹介しますか? あの人もっと調子に乗りますよ」

「あー、やっぱり。さっきのパンツ騒動はくろすけだったのかー」

「くろすけ君、幻滅したよ」


 あぁ、静巴先輩の汚物を見るような蔑みの視線が痛い。

 針のむしろに寝転がされている気分だ。


「あの、弁解の余地は……?」

「ないんじゃない?」


 あっさり。朝食の浅漬けくらい、ストンと腑に落ちた。

 むしろすっきりしたように思う。そうか、僕は変態なんだな……。

 いつか姉ちゃんに、同じことを仕返そうと思う。


「さっ、次のメールいこっか! 今日は久しぶりだからサクサクいこう!」

「では、次は私で。ラジオネーム、スイカップさんから頂きました。『こんにちは、ラジオ部のみなさん。元ない乳パインこと、スイカップです!』」

「またお前かっ! てか誰よ! 焼却炉行きだって言ったのに混ぜたのはッ」


 静巴先輩と顔を見合わせる。お互いに首を横に振った。

 ということは、東雲先生か……。以前送られてきた時は、ちょうど東雲先生のメールと重なってた気がする。自分のことで精一杯で、たぶん部長の言葉は聞いていなかったんだろう。それに関して後から諸注意もなかったし、分からなくても仕方がない。


「ひめさん、大丈夫ですか?」

「え……? は、はん! 前は取り乱したけど、もう大丈夫だしー。貧乳はステータスだってエロい人、もとい偉い人も言ってるしー、こんなのただの脂肪だしッ!」

「あっ、ちょ、なに揉んでるんですか、んっ……」


 手近にあった静巴先輩の胸を、部長は右手でむぎゅっと握りこむ。遠慮なく揉みこむたびに手の形に変形するブラウス越しの豊かな胸。静巴先輩の艶かしい声音とともに、その視覚的な効果が加わり、ムスコがじゃっかん反応しそうだった。反射的に、思わず前かがみになってしまう。


 しかし部長はなんて顔をしているんだ。気にしていない風を装ってはいるけれど、涙目になってるようじゃ、ただの虚勢だ。

 部長の手をそっと振りほどいた静巴先輩は、咳払いを一つ。メールと部長の顔を交互に見た。


「じゃあ読みますよ? いいんですね?」


 念を押すように尋ねる。


「うっ……、い、いいよ?」


 たじろぎながら、部長は伏し目がちに目をそらした。


「『静御前様のアドバイスのおかげもあり、胸のサイズがワンカップ大きくなりました! ちなみにBからCです。念願だったことも出来るようになり、今とても満足しています! ひめさんも、諦めずに頑張ってください!』」

「う、うぅわぁあああ! ない乳パインー! お前はあたしにケンカ売ってんのかごるぁあああ!?  ちなみにとか改めて言うことじゃないだろッ。強調するなー!」


 やばい! 部長がキレた。

 大丈夫だとかいいだとか、余裕風吹かしていたのに。いざこうなってみると、やっぱり怒るんじゃないか。


「ひめさん、特定のリスナーさんにケンカ売るのはやめてください」


 静巴先輩が必死に宥める。まるで暴れ馬を落ち着かせる調教師の図を見ているようだ。その甲斐あってか言葉は慎んだものの、いまだ部長の鼻息は荒く肩で呼吸をしている。

 そんな部長の目には、やっぱり涙がたまっていた。

 そうだ、言うなら今しかない! たぶんゲスト扱いな今だからこそだ。


「ない乳パインさん、あんまり部長の逆鱗で遊ばないであげてください。猫をじゃらすような感覚で触れるとご覧の通り。とても悲しいことになりますから」

「うぅうう。くろすけにまで同情されたぁ」


 あれ、なんか逆に落ち込んじゃったぞ? フォローしたつもりなのに。


「ふんっ、どいつもこいつも分かっちゃいない! 大きけりゃいいってもんじゃないんだよ! あんな乳袋のどこがいいんだ! なんならあたしの胸を大きくしてみろよっ」

「なんか言ってることがめちゃくちゃですよ?」


 ふと、涙目の部長と目が合った。

 悲壮な表情を見ていると、なんだか僕が泣かせたみたいな気になってくる。

 潤む瞳を見ているのが辛い。


「なら、くろすけが揉んで!」

「意味が分からんッ!」


 部長はかなり冷静さを欠いているようだ。つい思わず、タメ口をきいてしまう。

 まさか、胸を大きくするのにマッサージがいいとか本気で思っているんだろうか? 以前は全力で否定していたのに。それに縋るくらい切迫しているのかもしれない。


「ひめ先輩! そのままでも十分魅力的ですよ!」


 咄嗟にグッと親指を立てながら言うと、部長は「本当っ!? 」と弾けるように感激した様子で顔を綻ばせる。

 そうだ、女性の魅力はなにも胸だけじゃない。十分、部長は魅力的な女の子だ。


「そっかー、くろすけはない方がいいのかー。だってさ、シズ」

「そこでなんで私を挙げるんですか?」

「さーねー?」


 とぼける部長に、静巴先輩はむっとして睨みを利かす。

 なんだか険悪な空気になってきた。ぴりぴりと産毛が総毛立つ感覚がする。


「いや、あったらあったで嬉しいですから!」


 なにを言ってるんだ僕は。話を逸らそうと思っていたのに、舌の根も乾かない内に皮肉みたいな言い方になってしまった。

 まさに飛んで火に入る夏の虫。渦中に自ら首を突っ込んだ形となり、二人からの射抜くような視線に晒される。


「くろすけ、どっちなのさ!」

「大きい方が良いに決まってるよね?」


 なんでこんなことになってるんだろう。僕の一言で? いやそもそも、ない乳パインさんがあんなメールを送ってこなければ平和だったはずだ。確か部長たちと同じ二年生だよな? この状況を、ほくそ笑んで聞いているんだろうか?


「し、東雲先生ー」


 答えを強制する視線に耐えられなくなり、思わず先生に泣き付いた。

 さっきまでは確かに寝ていた東雲先生は、いまはクロワッサンを黙々と食べている。お腹が空いて起きたんだろうか?


「なんでふか?」


 リスみたくもごもごしていた頬の中身を、ノンアルのカクテルで一気に流す。

 そしてこちらへ歩いてきた。


「あっ、こんにちは。ののちゃん先生ですぅ。ののちゃんって呼んでくださいねぇ」


 ああ、なんてマイペースな先生なんだ。ものすごく調子を狂わされる。けど今は、それがとてもありがたい。泥舟でもいい、ぜひ僕を救ってください!


「もしかして、くろすけってののちゃんが好きなのッ!? 」

「このくらいの大きさが好みなんですか?」


 いつまでこの話題なんだろう。部長はなんか勘違いしてるし。

 もしかして、東雲先生に助けを求めたのが間違いだったのか?


 しかしこのままじゃマズい。以前の比ではないくらいにグダりそうだ。というかもうグダグダだ。前に部長とやったラジオの投稿動画には、すでに『グダり』のタグが登録されている。

 せっかく時間管理やらしっかりしようと決めたばかりなのに。


「――黒鳥、お前、そんな目で杏子を見てたのか?」


 と――背後から声がした。今の今まで安心しきっていた。嵐は去ったのだと。振り返れば、そこには想像どおり赤鬼が立っていた。


 ぴったりと肌に張り付く競泳水着。それはあざといくらいに水分を含んでいる。殊更のように、五十嵐先生のボディラインを惜しげもなく強調していた。長身に長い手足。引き締まった体を包む深く切れ込んだハイレグに、普段はさらしでつぶされている噂どおりの豊満なバスト。

 悔しいけれど、スタイルだけならそこらのグラビアモデル以上だ。上に羽織ったジャージは腕を通さずに、プールサイドでコーチングしている普段の姿がそこにあった。


「しまった!」


 東雲先生に助けを求めること。すなわち、バリケードの重石役がその場を離れることを意味してるじゃないかっ! 五十嵐先生が着替えに行ったことをうっかり忘れていた。


 思考している間にも、赤鬼はじりじりとにじり寄ってくる。

 なにか手を考えないとまた気絶させられてしまう。でも板ばさみの現状、それもアリかなとも思ったり……。けれどラジオはしっかりやり遂げたい。

 二律背反に苦しみながら、必死に最善策を考える。

 まずは五十嵐先生をどうにかしないと――


「五十嵐先生! 僕はやっぱり、ブルマの方が好きですッ!! 」


 瞬時に口走ったのは、そんな言葉だった。正直、そんなのはどっちでもいい。

 もうどうとでもなれ、僕は変態なんだ! いまさら恥じの上塗りを気にしてどうする。


「なんだ黒鳥、そうなら早く言え。わざわざ着替えてしまっただろう。……競泳水着じゃダメか?」


 可愛らしく口を尖らせて拗ねる仕草も、僕にとっては恐怖でしかない。


「ぶ、ブルマでお願いします!」

「分かった、着替えてこよう――」


 放送室を出て行く五十嵐先生のお尻……いや背中を、油断なく見送る。扉が閉まったことを確認。すかさず、東雲先生を机まで押していく。そして扉前の椅子に座らせ、再びバリケードとした。

 何事かとキョトン顔で見上げてくる先生から視線を外し、何事もない風を装ってマイクの元へ。


「ええ、引き続き、みなさんからのメールを紹介したいと思います!」


 すぐさまメールの山から一枚抜き出して、部長に押し付けた。


「なに、これ読めって?」


 僕は無言でうなずく。


「でもまだ、くろすけの好みを――」


 僕は、手のひらに『チリン象』を乗せて、無言でうなずく! 

 眼力に、それ以上の問答を続けるなら鳴らしまくるぞと、含みをもたせた。


「わ、わかった、わかったから! そんなゾウさんを嘗め回すみたいに見ないで!」


 ……うん?

 身震いしながらも、部長は視線をメールに落とした。


「いやーくろすけ意外とコッワイわー。あっちの気を感じたわー」


 誤解を招くような真似を、また自らやらかしてしまった……。

 うな垂れる僕をよそに、いつものペースを取り戻した部長はラジオを進行する。


「んじゃ次のメールを紹介するよー。ラジオネーム、ある部分は茂ってる松崎さんから。ある部分て、おいッ! まったく。

『こんにちは、ラジオ部さん。いつも楽しいラジオですね? ところでどっこい! 新しいコーナーの提案ですが?』」

「そういえば、新コーナーの提案メールって初めてだね」

「そだねー。ほぼ『ネタはがき』と『ふつおた』だからな。けどさ、なんでこの人いちいち疑問符つけてんだろうね? まーいっか。えっと、

『名付けて、「萌える一言を言ってみよーう!」です。コーナー趣旨としましては、あるシチュエーションとお題をリスナーから募集。お題を交えたセリフを言ってみようというコーナーです。例題。突然の夕立に遭い、雨宿りに入った店の軒先で、偶然好きな人とばったり一緒になった時の一言。お題は「縞パン」で。といった感じですがなにか?』

 ……ん? なんで急にケンカ腰になった?」

「提案したけど、結局、恥ずかしくなったんじゃない?」

「あー、なるほどねー。照れ隠しか。てか、縞パンとかはいてる子いるの? 都市伝説じゃない?」


 あれ? 前に部長はいてなかったっけ?


「んで、そのシチュが萌えるかどうかを、くろすけに判定してもらおうってコーナーらしい。シズはどう? 萌える一言」

「んー萌える……萌える? んー。なら、試しにやってみますか?」

「おっ、乗り気だねー。ぶっつけ本番って、やっぱ燃えるよね!」

「それ、どのもえるです?」

「燃焼系女子!」

「ひめさんっぽいですね」


 というか、このコーナー提案は、僕がラジオに参加してもいい前提での話だよな。みんな認めてくれているのか。なんだか嬉しいな。

 まあ、仕事が増えるのは大変だけど。


「さっそくお試しでやってみようかなと思うんだけどね。ところでシズ」

「なんです?」

「萌えって知ってる?」

「馬鹿にしないでください。萌えくらい知ってますよ。萌やしのことでしょ? 一般教養ですから」

「あれ? なんかあたしが思ってるのとジャンルが違うんだけど……、まあいっか。おもしろそうだし。ならトリはシズにお任せするとして、あたしからね」


 こほん、と小さく咳払い。背筋を正し、部長はマイクに正対する。


「お題は縞パンと。……あーあ、だいぶ濡れちったなー。パンツまでびっしょびしょだよー。雨、しばらく上がりそうにないなぁ。あっ、国見くん。奇遇、だね……。あ、あの、よかったら……あたしの縞パン、絞って!」

「絞って、じゃねえよ!」


 はっ、しまった。姉に対するようないつものノリで、ついツッコミをいれてしまったッ!

 途中までは、これからめくるめくラブストーリーが始まりそうな展開っぽかったのに。好きな相手とばったり会って、いきなりパンツ絞ってはないだろ。


「あれ? くろすけ的にはなしなの?」


 タメ口を利いたことに対し、部長はさほど気にしていない様子だ。


「ナシ!」


 顔の前で腕を交差させ、僕は大仰にバツのアピールをする。


「なんでだよー、いいじゃんかーパンツ絞るくらいさー、させてあげろよー」


 ふくれっ面で抗議してくるが、それは耳に入れないことにした。

 静巴先輩もくすくすと、控えめに笑っている。


「てかそもそも、国見くんってどこの誰なんですか」

「えっ、とりあえず名前はあった方がいいかなと思って適当に出したんだけど……。もしかして、くろすけ君の方がよかった? あたしのパンツ絞りたい?」


 おおう、その提案はなかなかに刺激的というかなんというか、って――


「いや、別に適当でもいいですけど」


 少しだけ国見くんとやらが羨ましく感じた僕は、やっぱり変態でいい。


「絞りたいかどうかの否定はしないわけねー、りょーかい。てなわけでお待ちかね、トリのシズの番です!」

「ひめさん、なんでそんなに楽しそうな顔してるんですか?」


 不満を顕にジト目を向ける静巴先輩。

 萌えの意味をここで教えてしまっては、つまらなくなるかもしれない。僕も静巴先輩がどういうシチュエーションを考えるのか、部長と同じく興味があった。

 だから、心の中でそっと謝る。


「いやー、シズがどんな萌えシチュを考えるのかなって思ったらさ、いまから笑えて」

「普通ですから!」

「んじゃ、いってみよっか」


 部長みたく喉の調子を整え、静巴先輩は一呼吸置いた。演技はやはり照れくさいのか、頬が少し紅潮している。

 すぅーっと、静かに息を吸い込んだ。


「……うっ、冷たい。ずいぶんと濡れてしまいました。あら? あんな所に萌やしが……。寒そうですね。まだ買ったばかりの縞パンを差し上げますから、温まって、すくすく育ってくださいね――」

「ぷっ、あっははははははっ!」


 静巴先輩が言い終えるなり、そのセリフ初めから堪えていた笑いを、部長は少し食い気味で開放した。


「なに笑ってるんですかっ! 私は真剣にやったんですよ?」


 耳まで真っ赤にしながら真面目に怒る静巴先輩を見ていたら、僕もついに我慢ができなかった。


「くろすけ君まで!」


 静巴先輩の涙目を初めて見た。緊張と恥ずかしさを相当我慢していたんだと思う。その意気込みと覚悟は評価したい。


「ひー、ひー。もやしに縞パンはかせてどうすんのっ、ん、あはははっ! お腹痛い――」

「ひめさん!」

「ごめん、ごめんって。ちょっと待って…………ふー。落ち、ついった。いやー面白かったねー。またシズのファンが増えちゃうんじゃない?」


 ひとしきり笑った後、目じりの涙を拭いながら部長は言った。


「意味がわかりません。というか、別に私、間違ったこと言ってないですよね? 萌やしちゃんと入ってたし」


 笑われるのは不服だと、静巴先輩がむくれる。


「シズ、もやしがお題じゃなくて、縞パンね」

「入れましたよ?」

「うん、入ってた。けどさ、国見くんどこにいんの? まあ別に国見くんじゃなくてもいいけどさ。店の軒先でばったりだよ? 好きな子ほっぽってもやし見つけるとか何事よ? そもそも、萌えってもやしのことじゃないからね」


 えっ、と疑問を声に出し、静巴先輩は表情をフリーズさせた。


「萌えるって豆類が発芽した萌やしじゃなくて、可愛いとかキュンとくるって意味の萌えだよ」

「……そんなの知りませんもん。最初に教えてくれなかった二人が悪いですよ」


 いつもは凛々しい静巴先輩が、頬を膨らませて拗ねている。

 なんというかこう、嗜虐心をそそられるなあ。……Sじゃないけど。


「でもよかったよ。おもしろかったし、なんての? もやしに対するシズの優しさを感じたよね。一つ疑問なんだけどさ、あの縞パンってどっから出したの? まさか脱ぎたて?」

「違います! カバンから出したの」

「それもおかしな話だけどさ」

「意中の相手に下着絞らせようとした、ひめさんにだけは言われたくないです!」

「それもそだねー」


 拍手を打って部長は盛大に笑う。

 なんだかこのコーナーは、部長の独擅場になりそうな気がしてならない。けどコーナーが増えること自体は、素直に喜ばしいことだと思う。


「それでくろすけ、いまの判定は?」


 二人の視線を一身に受ける。にやにやしている部長と、控えめな上目遣いの静巴先輩。

 意味を知らなかったとはいえ、こういうことはあまり得意ではないであろう静巴先輩は、よくがんばったと思う。

 それをおもんばかり、僕はゆっくりと手を上げた。そして、頭上でマルを形作る。


「えぇええー、なんでシズのはよくって、あたしのはダメなのさ!」

「これは一応お試しなんで、今回はシズ先輩にマルをあげたかったなって」

「まあね、あれはある意味かわいそうだったけどー……ま、いっか。というコーナーなんだけども。これはね、なんか分っかんないから、リスナーさんの反応をみてから、組み込むかどうかを決めたいと思いまーす」

「はい。なのでどしどし『ふつおた』などでご感想を送ってくださいね」


 一区切りついたところで、僕は時間を確認する。

 もうすぐ五十分だ。残り五分。

 いまは出入口に隣接している自分の席に戻り、簡易キューランプを二回押した。黒地に白抜きの赤LEDが点滅し、時間が来たことを二人に知らせる。


「そろそろ時間だけど、ここで最後に『ふつおた』なんか紹介しようかなと思いまーす」


 ふつおたと余白に書かれたメールを一通、部長は静巴先輩に手渡す。


「はい。じゃあ読みますね。ラジオネーム、くまねこさんから頂きました」

「あー、あのミルク吹く人ね……」

「『こんにちは、ラジオ部のみなさん、くまねこです。牛乳を吹くのにも飽きた僕は、ついに、ミルクパンを吹き出すことに成功しました! くろすけさんのお姉さん面白いですね! またいつかお話が聞ければいいなと思っています。その時は、ミルクスープ片手に聞きたいと思います。ではみなさん、これからも頑張ってください。PS、夏休みはラジオをやりますか? ひと月以上も聞けないのは残念なので、ぜひ!』

 だそうです」

「はい、どうもありがとー。くまねこさん、あんまり食べ物を無駄にしないようにねっ」

「そういえば、私も思ったんだけど。夏休みってどうするの?」

「そりゃやるでしょ。一ヶ月以上も空いちゃうのは、あたしもどうかと思うしさ。シズは乗り気じゃない?」

「ううん、そんなことないですよ。私も出来ればやりたいけど……場所は?」


 不安げに訊ねる静巴先輩に、部長はにやりと口の端を吊り上げた。

 そして僕に振り向きざま――


「そりゃもちろん、くろすけん家!」

「無理!」


 即効で僕は拒否する。


「え~、くろすけ……は・や・す・ぎ」


 またー。なんでこう誤解を招くようなことを、無駄に艶っぽく言いたがるんだろう。耳打ちするみたいに手を当てて、マイクに囁くところがまたあざとい。

 中学生とか聞いていたらどうするんだっていつも思う。


「とにかく、僕ん家は無理です」

「なんでー? お姉さん紹介してよー、ミステリアスガールなんでしょ?」

「それはひめ先輩が勝手に思ってるだけで、あれは劇物ですから。触るな危険」

「私もくろすけ君のお姉さん、見てみたいな。なんだか面白そうな人だし」


 ああ静巴先輩、そんな捨てられた子犬が人間に素通りされた時、みたいな顔をしないでください。庇護欲が……。


「と、とにかく、真夏にあのUMAと遭遇するのはオススメしません!」

「くろすけ、すっごい眉毛が八の字だよ」


 僕は慌てて額を平手で叩いた。小気味いい音とともにおでこを隠す。

 後でこれを姉が聞くことを想像すると、あの小馬鹿にした顔がいまから憎たらしい。


「じゃあシズんちは?」

「うちはちょっと無理ですね。いろんな人が出入りしますし、あまり騒ぐと叱られますから」


 そうだ、静巴先輩の家は茶道の家元だった。

 いまさらのように思い出したのか、部長も「あっ」と気づいて、気まずそうに頬をかいた。


「ひめ先輩の家は駄目なんですか?」


 助け舟のつもりだったけど、どうやら出す方向を少し間違ったようだ。救うはずの部長に対して、催促する形になってしまった。


「あたしん家もちょっと無理かなー。足の踏み場もないし……」


 足の踏み場?

 そこで、なんとなくだが頭をよぎる。彩華さんのプレゼント袋、その中身。きっと部長は『はねトラ』が好きなんだろう。所狭しと並べてあったりして。

 それと同時に、散らかっている部屋を想像し、妙に納得してしまう自分がいた。


「んー。なら、残るは……」


 消去法。その結果、みんなの視線は自然と東雲先生へ。


「ふぇ? なんですかぁ?」

「ののちゃん、夏休み暇だよね?」

「えっ、私は先生ですから、夏休みは学校に――」

「はい、ののちゃん家で合宿決定!」


 だれからともなく拍手喝采。

 なぜか東雲先生は頬を染め、恥ずかしげに身をよじっている。

 あれだな、子供って褒められると嬉しいものだから、きっとそれと勘違いしているんだろう。

 そう思うと、なんだか罪悪感が沸き起こってくる。


 しかしちょっと待とう。いや、ラジオは進行形で止まることはないんだけれど。

 東雲先生の家に決まったということは、先生の家にお邪魔することになるわけで。しかも合宿となると、もちろんお泊りすることになるわけで。とすれば、僕はただ一人の男なわけだ。

 これって、まずくないだろうか。


「鼻の下のばしてどしたー?」

「のびてません!」

「ははーん、ののちゃん家に美女勢ぞろいだから、いまから興奮してるのかにゃー?」


 ゾッとした。なんだ今の猫なで声は。鳥肌がたった。

 部長を見ると、口元を手で押さえてぶんぶんと首を横に振っている。自分でも無意識に出てしまったのだろうか?

 そういえば、はねトラの語尾もトラのくせに『にゃ』だった気がする……。


「はい! というわけで夏休みも放送するから、安心してねっ!」


 慌てて構成台本に目を落とし、部長は取り繕うように進行を続ける。そして右手の人差し指をくるくると回し、静巴先輩に巻きであることをジェスチャーした。

 僕は僕でウォークマンを操作し、エンディング曲に変更する。落ち着いたピアノの旋律が緩やかに流れ出す。


「そろそろお別れのお時間ですね。というわけで、第九回『ひるラジ!』はいかがでしたでしょうか。二週間ぶりで緊張するかなとも思ったんですけど、私はいつも通りでした」

「シズとやるのは、やっぱり一番落ち着くって改めて思ったよ」

「褒めても何も出ませんよ?」

「ちぇっ、懐から抹茶プリン出てくるかと期待したのにさ」

「出ません。私は冷蔵庫じゃありませんから」

「なら、縞パンでいいや。もやしにあげるくらいなら、あたしにちょーだい」

「なんでその話題を掘り返すんですか! 地底湖の底に沈めたはずなのに」

「それ気のせいだよ? だって浮いてたもん」


 部長にとっては、埋まっても沈んでもいなかった。さらっと掬ってきたなあ。


「と、とにかく、その話は終わりです、終わり。それに私、縞パンなんてそもそも持ってないですし」

「じゃあ今度プレゼントするよ。いざって時のためにも持っとかないと」

「どんな時ですか……」


 なんだか掛け合いが熱くなってきた。

 よし、使ってみよう、チリン象!

 すかさず、鼻を押し下げる。チーンという、安っぽい間抜けな音がブースに響き渡った。


「おっ、締めだね? チリン象やっと使われたかー」


 部長とともに、感慨深く何度も頷く。


「手作り感が出ていい感じだな」

「やっぱり、音が鳴ると分かりやすいね」

「そだねー。さっすがくろすけ、よく気づく」


 部長はぱちりと僕にウインクし、構成台本に視線を落とした。


「さてさて『ひるラジ!』では、みなさんからのメールをお待ちしていまーす。ふつおたやコーナー宛メール。こんなコーナーいいんじゃない? といった挑戦的なリクエストメールなどなど、どしどし投函してね! それに関するリスナーさんの反応なんかも、送ってくれると嬉しいなっ」

「お便りは校内各所に設置されている『らじボックス』に、脇に置かれている専用紙に書いて投函してください。また、公式ホームページからも受け付けています。葦ヶ崎高校ラジオ部、『ひるラジ!』で検索してもらえるとすぐに出てくるので、そちらからも待ってます」

「それではまた次回! 来週は出来るか分かんないけど、お会いしましょう~。お相手は、ひめと」

「シズが」

『お送りしました』

「またねー」

「ごきげんよう」


 マイクボリューム、ウォークマンの音量をそれぞれが下げていき、アウトロを演出。

 部長がマイクをオフにして、本日のラジオも無事、終了することが出来た。

 時刻は十二時五十三分。予鈴まで二分。なかなかいい時間だ。


 今日のラジオは特に密だったように思う。二週間ぶりのメインパーソナリティ二人によるラジオ。新しい提案メール。そしてゲストが初参戦。闖入者には少し戸惑ったけれど、みんなが楽しんでくれたなら、それでいい。完璧じゃなくてもいいんだ。そんな部長の言葉を思い出す。

 なによりも、僕自身がすごく楽しめた。こういったノリが、『ひるラジ!』の味になれればいいと、心からそう思える――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る