第87☆ト書きの四つの機能
とりあえず、勉強したことを書きます。結論から述べますので、お知りになりたい情報だけを取捨選択なすってください。
ト書きの四つの機能とは。
1、シーンの情景
2、人物の動作(しぐさ・出入り)
3、シャレード(なるべくわかりやすく下に書きます。小手先ではムリがあります。要注意)
4、小道具の使い方
上記の四つを書きます。
では1~4まで簡潔に書きます。
1、<情景>
情景にもテーマがあります。覚えてもらいたい、見てもらいたい、そのものズバリ<<そこで起こるドラマに必要なものだけ>>に絞ることが大切。
こまごまと書くときは、そのものを使って芝居が起こることを指す。
例:「立派な寺で、山門に松が二本ある」と書いたならば。
→(時代物)その松に忍びのものが潜んでいた。
→(ホームドラマ)その松はおじいさんが植えたもので、思い出話を語る……。
*そうでない場合、「その寺は宏大な構え」とだけ書くといいです。
2、<人物>
注意点が一つ。地の文とト書きを混同しないこと。
シナリオを書こうという人は、小説が好きです。
(これは教科書に書かれていますのでわたくし個人の見解ではありません)
ト書きを的確に書くためには慣れないと次のようなミスを犯します。
例:「失恋のやりきれない思いをまぎらすように、彼は足元の石を蹴った」
これがどうしていけないのでしょうか? ヒントは具体性。映画でどう表現されるかを考えましょう。上の文ですとただ「男が石を蹴った」としか映らないのです。
*また中途半端にフィルムをかじった人もこういう書き方のあやまちを犯します。
例:「カメラ、パンすると、そこに灰皿が置いてある。それをズームアップする」
これがなぜいけないか? シナリオではなく撮影台本<<コンティニュイティ>>になってしまうからです。プロはそうは書きません。自然にそう撮影せねばならなくなるように表現します。
3、<シャレード>ポイントが四点あります。
時間と空間を飛躍する芸術。間接描写でそのものズバリを表現します。
シャレードは四つのものの心理や状況を表せます。
Pt1、人物。Pt2、場所。Pt3、状況。Pt4、人間関係。
Pt1、<人物>
登場人物の属性(小道具)と動作を描きます。
例:好色な男性を描くとき。
→ 電車の中でチラチラと見る女性の腰あたりの目線。
→ (小道具なら)ヌードの週刊誌を持っている。
例2:泥沼に咲いた水蓮のような暮らしぶりの女性を描くとき。
→ 学生のように片付いた部屋に真っ白なハンカチが窓に真四角に張ってある。
(これがキャバレー勤務の女性ならばなおさら清貧というギャップが出せます)
例3:恋に堕ちていく人妻を描くとき。
→ 昔の恋人にキスを求められ「そんなこといけない」と拒みますが無理やりキスされてしまいます。すると人妻は「今まで拒んでいたその手が、いつのまにか男の背をしっかりと抱いている」としますと、人妻の手がシャレードになります。
Pt2、<場所>
例:暇な店を描くとき。
→ (時代物で)座敷に上がったら、そこで子供が手習いをしていた。
→ 店に入ったらおしめが干してあった。
*上記ですと、おそらく三か月に一回くらいしかお客様がないんだろう、ということになります。
Pt3、<状況>
大きく進展を左右する抽象的状況。たとえば戦争中の状況、嫁姑の不和、社会不安の状況。
例:雨に濡れそぼる道路脇、落ちているプラカードにアンチトラン*の文字がにじむ。
Pt4、<人間関係>
状況と同じです。
例:男女の仲の深さを描きます。
<設定>
とある喫茶店で、向かい合って座る男女にボーイがコーヒーを運んできます。
女性はどうしますか?
解答A:相当深い仲、もしくは夫婦。→ 女、黙って男のコーヒーに砂糖を入れる。
解答B:デートを相当重ねているがAほどの仲ではない。または昔に深い仲だった、という場合の再会シーン。→ 女、砂糖ポットからスプーンですくいながら「二つとちょっとだったわね」と言って入れる。
解答C:二、三回目のデート、もしくは見合い。→ 女、男に砂糖ポットを開けてやり「入れましょうか」と言う。
解答D:普通の友人か初めてのデート。→ 女、自然に自分のコーヒーの中に砂糖を入れ、ポットを男に押しやる。
4、<小道具>
小道具の扱いは不動産に対照する、いわゆる<動かせるもの>全般です。
これに感情を背負わせます。
例:「恋人の写真」を暗がりでじっと見つめ続ける男(女)。
例2:閑散とした部屋で、妊婦が引き出しを開けると「古びた母子手帳」。
とくにわかりやすくはないけれど、少なくともわたくしの要約文よりは読みやすい事間違いないのでご紹介いたします。
【ダヴィッド社】出版の【新井一】著の【新版 シナリオの基礎技術】というご本です。シナリオセンターやアマゾンで手に入るようです。
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