第79☆矛盾点をあらいだす

 近況ノートのやり取りひとつとっても、その作者がなにを考えて書いたか、その点あまり考えられてないようです。


 こういう書き込みを頂きました。


     ☆   ☆   ☆


あずささん、こんばんは♡


昨日は、"Strawberry&Cigarette"ホワイトデーバージョンへ☆とレビューをいただき、ありがとうございます(*^^*)最後までお読みいただけて、本当に嬉しいです!

心より、深く御礼申し上げます。


リナは、ぶっちゃけて言えば相手をイラっとさせるタイプの頭の軽い女子ですね(笑)今後もそんな感じで出てくる気配が(^^;…そして、彼らもリナをその程度の女子として見ており(^_^;)…ですので、彼女のことは半ば見放した感じで眺めてやっていただけたら、大変嬉しいです(o^^o)(笑)

…あ、でもこれは、もし今後も彼らを応援していただけるなら、の話ですね。失礼いたしました(^^;;(笑)


そして、「掬い上げるもの」をいつも応援していただき、ありがとうございます!皆様の応援のおかげで、あのエッセイは何とか続いております。

(中略)


いつも、本当にありがとうございます(o^^o)♡♡


     ☆   ☆   ☆


 上のリナというキャラクターについてですが、作者は<相手をイラっとさせるタイプの頭の軽い女子ですね(笑)>と言っています。

 それに対するわたくしの返信は以下になります。お暇だったらお読みください。


     ☆   ☆   ☆


aoiaoiさんへ。


がっかりです。

リナはあなたの分身ですよ?

しっかりしてください。

彼女のどこに魅力を感じて彼はつきあっていたのですか?

わたくしはあなたの作品をその程度だと思いますよ?


いいですか、落ち着いて考えてくださいよ。

「変わった」はずのリナの何が変わったって、「内面」のはずでしょう?

オチは「心変わり」だったじゃないですか。

その程度のキャラなら、リナっていう個人名も必要ないのでは? Rとでもしておけばいいのではないでしょうか?


わたくしの周囲には内面なり、知性なり、分別なりとどこかしら美しい女性しかいないので、正直あなたの女性観はゆがんでいると思います。女性蔑視を感じます。あなたがそうやって軽蔑している女性の中に一握りの意外性をくわえでもしなければ、この問題は解決しません。


女性のあこがれや夢の中に、男性になりたい、でも男性に愛されたい、という矛盾が一つ存在するらしいです。それがBLの本懐だと思いますが、もう一つ根源的な希望が存在するとわたくしは考えます。

それは、「真実、男性の夢の存在と化すこと」「永遠に愛する男性の一番の親友であること」これが現実ではかなわないので女性はBLを好きになるんでしょう。だったら、リナにその夢の存在になってもらうことはできないのですか?


一番お利口なのは、男性陣二人に恋人同士になってもらって、リナがその二人の親友=理解者になる、という図式です。

リナにチョコをたかった男性に好感を抱く読者の気が知れません。

リナがそう、望みでもしない限り、男性は彼女を搾取すべきではないのです。

リナがよろこんで協力できないなら、彼女は彼らの敵になるのです。

そんな女性とつきあったら、疲れますよね? 病気になるかもしれない。


わたくしの意見はつまらないかもしれない。けれど、こういうことを考えてしまうわたくしには、あなたのキャラがつまらなくうつってしまうのです。どうしてでしょうか? ラブコメに狂言回し、型はあっているはずなのに、胸のもやもやが晴れません。わたくしにはリナがあなたの作品にはもったいなさすぎる気がするのです。


     ☆   ☆   ☆


 全文、ママです。(ママというのはそのままという意味です)

 それに対する書き込みがまたありました。


     ☆   ☆   ☆


思いのこもったご意見を、ありがとうございます。


ですが、私は女性を軽視しているわけではありません。そんなことをしていたら、作品など書けません。


私のその他の作品をお読みいただいていても、そのような気持ちにさせてしまったことは、私としても大変残念です。


物語の雰囲気に合わせ、登場人物のキャラクターや持ち味を変えるのは必要なことだと私は思います。

美しい女性ばかりを登場させて話を書こうという風には、私は思っていません。あの作品の軽妙さを楽しく演出する存在の女の子、いてもいいと思います。そして、私はどんな登場人物も、その人物が可哀想になるほど醜い存在に書くつもりはありません。そんな可哀想なことは、絶対にできません。その人なりの良さや魅力を必ず持たせているつもりですし、持たせるつもりでいます。


それでも、あの物語のキャラクターの動かし方が不快感を与えてしまうようでしたら、あの物語はどうぞ見限ってやってくださいませ。


いただきました貴重なご意見は、参考にさせていただきます。

ありがとうございました。


     ☆   ☆   ☆


 ね? なにか変でしょ? しかたがないので突っ込みました。

 以下になります。


     ☆   ☆   ☆



aoiaoiさんへ。


まあ、他山の石とでも思ってください。わたくしがリナを書いたら絶対違うキャラになるけど、つくづく惜しい……。


>相手をイラっとさせるタイプの頭の軽い女子ですね(笑)今後もそんな感じで出てくる気配が(^^;…そして、彼らもリナをその程度の女子として見ており(^_^;)…ですので、彼女のことは半ば見放した感じで眺めてやっていただけたら、大変嬉しいです(o^^o)(笑)


>私はどんな登場人物も、その人物が可哀想になるほど醜い存在に書くつもりはありません。そんな可哀想なことは、絶対にできません。その人なりの良さや魅力を必ず持たせているつもりですし、持たせるつもりでいます。


この二つの提示事項の矛盾が……


>あの作品の軽妙さを楽しく演出する存在の女の子、いてもいいと思います。


あと


>物語の雰囲気に合わせ、登場人物のキャラクターや持ち味を変えるのは必要なことだと私は思います。


という大義名分のために、リナが産まれたのだと思うと頭が痛いです。

あなたの感想欄、リナ擁護、一個もないでしょ? キャラクターが生きてない証拠なんです。

だから狂言回しなら、名前つけないでRでいいじゃないですか。読者にはわかっているんでしょう?


     ☆   ☆   ☆


 まだ続くか、わかりませんが、これくらいにしておきましょうか。


 問題点は3つあります。


 第一に、BLだからといって、その当て馬にと出現したリナという女性が、粗末に扱われすぎている。

 バレンタインに叔父に頼みこんでオリジナルチョコレートを作ってもらい、Y(BLの男性、ヘビースモーカー、甘いものが苦手)に贈るも、面倒くさい女だと思われて袖にされる。

 ところがこのYは片想いのO(BLの男性、Yと幼馴染、スイーツ好き、仕事ができる)にそのオリジナルチョコレートを食べさせてやりたいばかりに別れたリナとコンタクトをとって、あまつさえまたオリジナルチョコレートをくれと頼みこむ。

 リナは内心復讐のチャンスだと思い「ヨリを戻すなら」と言って、叔父にチョコレートを作ってくれるように頼む。


 第二に、Y

 仕事ができる、モテるという設定にも関わらず、気にかけているのは自分のことだけ。

 こんな男がモテるはずがない。できる男なら自分の時間を大切にするだろう、そこまではいいとして、相手の時間をまったく考慮しない。ここが問題です。

 リナとつきあっていたくせに、その実彼女の実生活など、まるっきり無視してことを進めようとしています。その上、ベルギーのショコラティエのオリジナルチョコレートが手に入って相手の男性Oを喜ばせたら、即、「リナと切れたい」と言い出す。つきあっているはずのリナに向き合い、自分で答えを出し、誠意をもって説得する気がまったくありません。どこがいい男なの?


 第三に、O

 こちらも仕事ができる男という設定ですが、Yに頼まれリナにYと別れるように説得する、その内容がお粗末。

「俺たちは忙しすぎる。自分にかまってくれるようなふさわしい男を選べ」

「Yはおまえにかまける時間もつもりもないんだ」

とぶっちゃけますが。これが誠意ある男のいうことでしょうか?

 仕事のできる男性なら、もっと言いようってものがあるでしょう。それなのに、本人は神経を使ったつもりです。おかしいですね。

 たとえばです。

「時間は俺たちにとってもあなたにとっても有限だ。しかしYも若いし夢中になれるのは今は仕事しかない。俺も女性とつきあったことはないが、あいつとのつきあいでわかるんだ」

と、自分の弱みを見せて、相手の心に入り込むように語りかけたらどうでしょうか。

 そしてリナが、その場でOに惚れてしまったならば、その時点でYと逢うのは止めるべきです。けじめがないからです。

「あれから連絡がとれない」

となったら、読者もどきっとします。なにやっているんだろう? まさかの復讐? それとも自殺? と、思わせておいて、実は自分磨きに励んでいるとか。そういうけなげなところもあって、Yとの別れをステップにしていける女性像だったら、これは新しいと思います。あくまでBLでは。


 わたくしが気になったのは以上ですが。プラスアルファをくわえて申しますと、まるっきり実像の見えないリナという女性。作者は物語にとって都合よく動くおじゃま虫として扱ってますが、ミステイクです。

 Yとつきあっていたならば、少なからず影響を受けているはず。Yはヘビースモーカーですよ? 一緒にいると匂いがつきます。さて、リナはどうしますか?

 自分も吸っちゃう? それもありですが匂いけしを常備するでしょうし、Yに禁煙を強いて煙たがられる(!?)、などもありです。

 Yと別れるときがリナにとっての転機であり、そうやってリナが自由になるときがYとOの蜜月が邪魔されるときなのです。あたりまえでしょう。

 作者は、Yの前に再び現れたリナが見違えるように美しく見える、というシーンを書いてますが、それでは足りません。なぜならリナは脇役で、半球体。彼女自身が明かさない部分は読者には見えないのです。

 だからといってすぐに「実はフィットネスジムに通っていてね」と自分語りをさせてしまうのでは興ざめです。

「新しいお友達ができたの。あなたのおかげ」

 くらいでいいかな。そしてTELしてきたのはその友人たちとの女子会で盛り上がってしまったことにすれば、無理もない。お茶目ですみます。そのうえで「私、Oさんに告白するわ! 運命を感じたの」

って言わせれば、気分が高揚してるんだな、お酒入ってるのかな、お友達に励まされたのかな、と陽気なイメージに変わります。

 どっちらけなラストを鑑みますと、ここのTELでリナが突然気分悪くなり、悪酔いしていたことをちらっと見せれば無理なくエンドにつながります。スマホの向こうから友達の心配する声が聞こえるなどしてね? 急速にしらける男性二人、ってなるじゃないですか。


 物語の筋をまったく変えないとしたならば、別れのシーンでなにか欲しい。

 たとえば、ヘビースモーカーのYに合わせていたリナが、これまたYに合わせていたブランドのジッポーをスッと渡して「実はタバコ、嫌いだったの」と言えば、清楚さも出せますし、黙って匂いけしを渡して「体を大事にしてね」と言えばやさしさと決別が表現できます。「タバコやめてよ」と迫っていたならば、ギャップとして印象に残るでしょう。「私がいなくても、食事はきちんとね」なんて言ったらおかんでしょうか(笑) しかしまあ、

 目障りな女、から、去っていった女になります。

 

「逃した魚は大きい」と言います。

 リナがれいのオリジナルチョコレート(もしくは新作スイーツ)を持ってきてOに迫る、おやおや、Oはどうするの? スイーツ好きなOですよ? 二人のBL物語はどうなっちゃうの? と、ここまでの脅威になれる存在なんです、そのリナという女性。作者は侮ってますが、いい女なのですよ! それでもあえて男の方をとるからBLなのでしょう。その瞬間が読者にとってもスッキリするのです。真実の愛に見えます。

 

 まず、そういうところから入っていかないと、リナという女性は浅薄なだけのわけのわからない子供みたいに映ってしまいます。

 二人の男性BLで、せっかく大人の女性が間に入りこんで来るのに、わくわくもどきどきハラハラもしない。「あー、あの女(リナ)邪魔」と言ってる主人公と、それを助長する相方。これが雰囲気どうこうのお話でしょうか? まったく呆れます。


 これでわたくしが、「女性蔑視」と申したわけがご理解いただけたと思います。説明は以上です。

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