第80☆聖なる予言者をのがすな!

 あたりさわりのない話をしてもしょうがないので、ぶっちゃける。

 わたくしが真に危機に瀕したときの救い手は、常にそばにいて警告を発する人間であり、つらく当たる人だった。

 わたくしはドMではないから、非常な苦痛だったが堪えた。

 そして大きな挫折を前に、聖なる予言を思い出した。


「あなたはたくさん本を読んでいるから大丈夫」


 彼女は「あなたは」と言った。自分はつらく苦しみの中もがいたのだろう。その言葉を発したその人は、わたくしを「普通じゃない」からと忌み嫌っていた。

 そういう人がくれる言葉には、予言能力がある。なにげなく口にした言葉なのである。そうとう気をつけねば憶えてられない。だが、わたくしは人の話をよく聞き、行動する性質だったので、被害は最小限ですんだ。むしろ人生が楽になってしまい、戸惑いを覚えている。耐え抜いただけあるのだ。

 そして、お世話になった先生の一言。


「いつか、あの言葉はこういう意味だったのかと思い出すだろう」


 これも予言であると言っていい。

 わたくしは思い出した。

 本から得た知識はどう使えばいいのだろう。世の中の人が言っていることは真実だろうか? 個人的見解をどこまで過大解釈しているかわからない。物事は具体的に考え、努力しなければだめだ、と。


 わたくしの最大の敵はこう言った。


「嫌いな人とつきあいなさい」


 なぜか? 真実を話す相手だからである。


 そして、注意せねばならないのは、呪いを吐く友人と仲良くしてはいけないということ。

 あなたの人生までを決定づけてしまうマイナスな発言を大っぴらにする人とは距離を置いた方が良い。悪魔と知恵比べをして悟りを得たいのならば別にして。


 あなたは常に言霊を信じるか?

 ならば、ことほぎを使って、マイナス発言をプラスに転じて難を避けるがいい。まあ、たいていはそういう人は周りじゅうから距離を置かれているから、真実の言葉で対応すればいい。あなたのこういうところは良いところだよね、と言ってあげるのである。あなたの心がその人を友人だと言い続けるのなら、その人のマイナス発言は徐々にプラスへと転じるであろう。

 そうあらねば、友人たり得ない。長い時間を要するが、それが友情の試練である。

 そして、友人がプラスへ転じたならば、もう呪いは吐かないであろうから他にもいい友人をつくり、すべてがうまくいくようになる。あなたの想いは報われるのだ。

 そこまでの価値をその友人の中に信じられるのであれば、信じ抜き、耐えよう。

 あなたのことほぎをうけて、友人は必ず良い方向へ向かう。(経験談)

 注意すべきはあなたのメンタルがそこまで気長にのんきに構えていられないとき。

 そういうときは、周囲に相談し、ゆっくりとその友人から距離をとってはなれることだ。


 実を申さば、わたくしは毒舌辞典や悪魔の辞典を好み、幼少期はパタリロを読んで身の内に毒を住まわせてきたから毒には耐性がある。だからわざわざ言うのだが、心の清い人であればあるほど、衝撃に弱く、毒を吐く。だから、特に助ける必要も覚えないのであれば、華麗にスルーすることが望ましい。毒はその人に返り、苦しむであろうから。

 蛇足を承知で言うが、毒にまみれて苦しんだ人は、のちのち平和の尊さを口にするだろう。そんなことはみんなわかっているけれど、その人にとってはかけがえのないものだからである。その心を大切にしてあげてほしい。苦しんだのだから。

 なにも特別扱いしなくても、そっと「わかるよ」と言ってあげるだけでもその人の心は救われる。心から感謝するだろう。


 最も注意せねばならないのは、嫌いな人ではないのである。

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