第54☆環境のせいにしない

 これは専門学校の先生がたびたび口にしていたように思う。

 作家になる環境をつくり出すのも、才能のうち、と。


 まず環境からセッテイングしないと、伸びる者も伸びない。


 自己表現の欲求は、8つあると言われる欲求がすべて満たされていないと生まれない、というか保てないものである。


 わたくしがこれを書いているのは理屈の方が他者に伝わりやすいからで、べつに自己表現ではない。


 まあおぼえがきだし。


 講師の先生もまず環境から入ったらしい。


 ようするに、賞をとって認められたのだ。


 文筆業がお金になると、親に知らしめ、自分はプロになるんだと示す。

 これ以上の説得力はない。


 先生の親はそれでも懐疑的だったらしい。娘がなにか一人で怪しげなことをしている……と。それはもう、気味悪がられたそうだ。


 しかし、そういうなりふり構わず、己の才能をのみ伸ばすことを躊躇してはいけない。


 強欲に、貪欲に。そして謙虚に。


 一番ないがしろにされがちな人徳も、必要だ。


 なんだかこの人といると創作意欲がわいてくる。なんかいいものが書けそうな気がしてくる、この人と仕事をしたい。この人の作品を読みたい。

 そう思わせる何かがないと、なかなかお金をもらって書くという域には達しないのだ。


 人間を大事にしよう。



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