第53☆作家志望者への注意事項

 別に作家に限ったことではないが、創作熱に浮かされて書いている状態の時は特に体力ゲージの消耗が激しい。


 本人は魂こめているから、神が降りてきた今だから、「書いて」いると考えがちだが、後で見直して書き直す作業のことを考えていない。


 それでも熱狂してしまうときのために、暇があったら筋トレ、ジョギング、散歩をおススメする。


 個人的なことだが、三年間毎朝ジョギングと腹筋と背筋だけやたらと鍛えても、飲まず食わずで睡眠もとらなければ、もつのはせいぜい一か月。


 しかもその後には体重が十キロも二十キロも減って、病院へ運ばれる定めである。


 それが、普通でない、変人と呼ばれる所以である。


 ただし、作家は普通の人にはなれない。


 二足のワラジを履いているのであれば、体調管理が重要だとわかるはずだ。わたくしが物語を書くきっかけとなった「書く」行為には危険がつきものだったのだ。


 鍛えておいて良かった、とつくづく思う。反面、熱狂の仕方が脳筋だったなとも思う。


 ちっちゃな賞を二つ三つとった。それでも、満足できないこの身内の熱情は冷ややかに自分の寿命を見ている。


 わたくしは、書く物のおかげで、消耗される定めなのだ。


 実際に、ボイスドラマを一つ作るごとに遺書を書いたり、真剣に死について考える。


 だが、もしわたくしのようになってしまった人のために、書き贈る言葉がある。


「無常を感じることをやめてはならない。これは探道の心を励ますものなり」


 お坊さんの言葉である。


 作家は悟らなければろくなものは書けないのではないだろうか?


 周囲から変人呼ばわりされたり、普通でないと言われるのが嫌ならば、成人し、少なくとも何らかの職について、納税の責を負うことを憶えてから、作家を目指すと良い。

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