第11☆王道曲線は変形N字の階段式

 これはもう、シナリオでは研究しつくされて、いまさらわたくしなどが申さばならぬことではない。

 まあ、自分で試してみて、ああなるほどと思えたら、一層書くのが楽しくなるであろう。

 そんな目的で書いてみたい。


 まず、好きな週刊誌を用います。

 次に大好きな漫画をチョイスします。

 そして、グラフをつくっていきます。

 

 やりかたは簡単。

 0をスタートとし、横軸をページ数(時間)、縦軸を下方が残念! やだった、上方が盛り上がった! スカッとした! という目安で話を分析します。


 わたくしはジャン*(集*社)の王道バトルでやりましたので、はっきりしました。


 ポイント制で判断して、グラフを作り上げてください。

 週刊誌にしたのは、より簡単で素早く曲線を見抜くためです。

 別に、長編ダークファンタジーでもいいのです。

『ベル*ルク』とか……。

 原作付きですとますますやりやすいです。

 シナリオ作法にのっとってなければ、原作などつくれません。

 そこには厳密に計算された、曲線階段が存在します。


 言ってしまっていいのかわかりませんので、答えは変形N字であるとだけ申し上げておきましょう。

 もちろん、右肩上がりでないと、次の週まで興味を持ってもらえません。

 

 物語は変形N字の連なった、曲線階段からなります。


 最初にぐだっとした現実から始まり共感、親近感を持たせ、わああ、これいいな! と思わせ、ガクッとくる出来事がやってきて、次にとんでもなくすばらしい出来事があって、それに対して試練が起こり、主人公が危機的状況に陥り、葛藤の後、それを打破します。


『僕のヒーローアカデミア』では、

(個性が大事と言われる時代に、無個性でいじめられる主人公)

(個性的なヒーローたちが、活躍!)

(才能がなくても努力する主人公)

(そんな努力を踏みにじられる)

(夢をあきらめない主人公)

(あこがれを抱き続ける、一途さ、真摯さ、そしてなにより主人公のヒーローへの感動)

(悪漢が登場する。襲われる主人公。大ピンチ!)

(そこへ大好きなヒーローが駆けつけてきた!)

(勇気を出してヒーローに近づいていく)

(ヒーローが稼働時間を越えてしぼんでしまう)

(無個性でもヒーローになれるかと聞くと、否と答えられる)

(衝撃に沈む主人公)

(やっつけたはずの悪漢が友人を襲う)

(思わず助けに飛び込む主人公)

(悪漢からわずかなりと友人を救う。だが依然ピンチ)

(ヒーローが再び助けてくれる)

(友人からおまえに助けを求めたわけじゃない。見下すな! と罵られる)

(ヒーローに「君はヒーローになれる」と認められる)

 嫌な出来事と、スカッとする出来事が、交互にやってきます。

 ですから、階段なのです。


 なぜわざわざ嫌な試練を課すのかというと、読み手にストレスをかけて、次のステップアップへの渇望を促します。

 このままじゃダメだ、こんなの間違ってる! 正義はどこだ!? というような問いかけがもっともらしいでしょう。

 そして、オレが正義だ! と主人公が立ち上がるまでが盛り上がり、ストーリーとして好ましいもの「王道」になります。

 だから、主人公をいじめる存在や、ライバル出現、悪漢が暴れ大ピンチ! が次々起こり、それを乗り越えてく主人公が「海賊王にオレはなる!」と名乗りをあげる、あるいは目的を果たす、かなり重要なポイントとなるのです。


 こんなの、一回やれば次の展開が読めるようになるのですが、それでも王道がすたれないのは、人が心に抱く夢や憧れを強く肯定するテーマが、そこにあるからです。

 王道を捨てて、邪道で行こうという方も、いらっしゃるかもしれませんが、わたくしには邪道がなんなのか、分析したことがないので、測れません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る