第10☆アニメ用企画書の書き方
これは、企業が(アニメ制作会社が)取引会社(スポンサー)を説得するためのものです。
編集さんに見せるプロットは、筆者が編集部を説得するためのものですから、書き方は同じですが、プラスアルファがなくてはなりません。
取引会社が「せんべい」を売りたい会社だとしたら、アニメ画をせんべいに醤油なり色付きシロップで描いて、売りに出すのは当然の考えです。
必要なのは説得力。
まず取引会社の「せんべい」の良さをこれでもかとアピール。
もう時代は「せんべい」しかありませんぜ、と猛プッシュ。
しまいにこのアニメで取引会社の「せんべい」が売れること必至! とダメ押し。
1、昨今、子供たちの発育不良に顎が小さく弱いということが問題になっています。せんべいのかたさ、歯ごたえは、子供たちの咀嚼力と意志の強固さを高め、非常に有用性が高いとの評判、裏付けもグラフに示した通りです。せんべいを食べる子供は、頭がよく、成績も上昇しています。
2、せんべいの伝えるアジアの味覚。辛すぎず甘すぎない、丈夫な体作りに不可欠な、適度な塩分。おばあちゃんの味、ひいては日本の伝統と文化を、今の時代は必要としています。古いからこそ新しい。おばあちゃん世代と孫子の世代をつなぐ、まさにこれからの時代のおやつはせんべいです!
3、こちらのせんべいは、次代を担う子供たちにとって、必要不可欠であり、親御さんたちも添加物入りのまがい物のごちそうを与えるよりも、こちらのせんべいを食べさせる方が、経済的にも健康にもよいと判断します。頭の良い子供は、頭の良い大人がつくるのです。
と、たとえばですが、書いたとしましょう。
これではまだ足りない。
アニメは絵と物語がなくては。
ですから、作画を有名漫画家にして、監督を有名作品の担い手にします。
その旨、書きます。
作画は「〇〇〇〇〇」、「△△△」を代表作とする、三日で初版が売り切れ増刷必至の有名漫画家「×××××××」が担当します。
監督はあの名作「??????」で知られる「!!!!!!」氏です。
まるで「どうです、これで売れないわけがない」と言わんばかりの書きっぷりを想像してください。わたくしにはちょっとできかねます。
アニメですから声優さんも重要です。
CVはヒロイン役に「〇〇〇!」の「^^^^^^」役、「△△??」の「;;;;;」役で知られる、もと有名子役スターから名女優に転身した「×〇 △◇□」をすえ、さらには「某レンジャー・ピンク」役で、子供たちの一躍人気者となった「◆▼●」をヒロインの親友役に抜擢!
などなど、さんざん奉りあげます。
そ・し・て! 最後に重要なのが、物語。
対象はあくまで、取引先の会社の人であり、かれらの取り扱う「せんべい」の買い手ではありません。
つまり、ここで説得せねばならないのは、アニメを見てくれるであろう子供たちではなく、スポンサーの意向!!! なのです。当然。
そういう物語を書いてください。
取引先の人が「このアニメに出資して、もしポシャっても自分が責任をとって後悔はない。間違いない。このアニメを買うのだ」と思ってくれなくてはダメなのです。
ですから、いろいろな知識や思考、哲学要素が必要になり、時事問題においても他の追随を許さない、というお仕事だと思ってください。
これがアニメの企画書です。書いたことありませんけど。
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