第64話:「ねねさん、走りを見学する」の巻
(走行会に集まったクルマたちは三十台余。ミーティングののち、グループ分けされたそれらが、次々とコース内にインしていきます)
「ねねさん、起きてください」
「ふぁ~、なんですかまささん。わたしの安眠邪魔して楽しいですか?」
「(心の声:うわ、不機嫌モード炸裂。実は低血圧だったのね)そろそろボクの出番なので。ごめんなさいね」
「おゥ、もうそんな時間ですか。ごめんなさいね、まささん」
「い~え。ところでねねさん。助手席に乗って、一緒に走ってみませんか?」
「サーキットをですか? う~ん、怖いですゥ」
「別に怖いことないですよ。対向車とかがいる一般道のほうがよほど怖いですよ」
「そですか。でも、少し見学させてもらてから返事してもいいですか?」
「構いませんよ。じゃあ、行ってきます」
「気をつけて」
ばーっとサーキットを爆走するまささんのインプレッサ。
しかし、同レベルのエボやインプ、それにフォレスター(←つよぽん号)あたりと比べてかなり遅い。
まささんのモットー、「走行会は、無事故で帰宅するまでが走行会」が強く影響してるんです。
それでもBライセンス持ちの
「ただいま~」
「おかえりまささん。動画撮ておきましたよ~」
「おお、ありがとう! あとでじっくり見させていただきます」
「でも意外でした」
「何がです?」
「わたしですね、サーキットていうのは、ブオンブオン走るクルマがドカンドカンといろんなところでぶつかて、いぱいいぱい壊れる場所だと思てたんです。だから、実は今日来るのもかなり怖かたんですよ。いつクルマが自分のところに飛んでくるのかと思て。まささんのお誘いじゃなかたら、
「……」
「でもみなさん、事故も起こさずお行儀よく走てます。ちょとだけ安心しました。次走るとき、まささんのクルマにわたし乗せてくださいね!」
サーキット走行とは世の中でまだこれほどの誤解がされているものかと、内心真っ黒になるまささんなのでありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます