第2話 予言の勇者
「やっと、見つけました!」
まるでラノベのヒロインのような少女に見つめられ、
思わず口からこぼれた言葉は
「えっ?」
素性も知れない謎の美少女にずっと探されていたらしいのだ。
これがごく普通の返答だろう。
「私の世界にきて下さい!あなたは予言の勇者なんです!」
これまたラノベ特有のベタベタの展開。訳が分からない。
電波すぎる。これが、この美少女に与えられた神からのペナルティなのか、かわいそうだ。哀れみの目を向けながら、
「84、54、82か。」
迂闊だった。思わず見惚れるそのスタイルに口が滑ってしまった。
訂正の言及をする暇もなく、彼女は頬を赤らめ右手を思いきり振りかぶり、今にも俺の顔を消し飛ばさんとする彼女の手の平が俺の頬にクリーンヒットした。
ぺちん。
「えっ?」
歯を食いしばり、思いきり閉じていた目をうっすらと開けるとそこには、
先ほど同様頬を赤らめた彼女がこちらを見つめていた。
「ダメですよ。それは女の子の秘密なんですよ!
今回はこれで許してあげましょう。今回だけですよ?」
そう言って笑った彼女の笑顔はとても素敵だった。
「ありがとう。優しいんだね。」
そう言うと、彼女は少し照れているような気がした。
「とりあえず、事の経緯について話しますね!」
「はぁ」
「まず、今日目覚めたあなたの能力について話しましょうか」
「あぁ、俺の3サイズ可視化フィルターについてか?」
「違います!」
彼女はまた頬を赤らめた。
「あなたの能力は
完全回答は、あなたの知りたいことが全て可視化されるというとっても便利な能力なのです」
なるほど。だから俺は3サイズが目に見えたのか。
「でも、誰もカバンの寸法を知りたいとは思ってなかったぞ?」
「能力が目覚めるきっかけに過ぎなかったのでしょう。今は、望んだこと以外は分からないでしょ?」
そう言われればそうだ。
「試しに私の心を知りたいと思ってみてください!」
俺はその言葉の指示に従った、すると。
(変態、変態、変態と俺の視界はその2文字に覆いつくされた。)
「おい!変態としか思ってねーじゃんかよ!」
「あははっ、ばれましたか?」
どうやら当たっていたらしい。本当にこの能力はなんでも知れるみたいだ。
「あぁ。君の世界に来てほしい訳ね…」
完全回答とやらが俺にそう教えてくれた。
「はい!
私のおじいちゃんもその能力を持っており、
一年後の満月の今日、あなたがその能力に目覚めることを私に伝えました!あなたは、私たちの世界を救ってくれる勇者様だって!」
「なんか話が物騒だな…」
「嫌なんですか…?」
まるで、捨て去られる時の子犬のような涙ぐんだ瞳で見つめられる。
「かわいい獣人族の子たちもいっぱいいますよ?」
「よし。行こう!
僕も鬼じゃあないんだ、困っている女の子を見過ごせないよ。」
(ケモ耳少女だとぉ!空想上の
にっこりと笑いかける。つられて少女も笑い返した。
なんだか全てを見透かされているような気がする…
「最初は私の町にワープします。そこで装備を整えましょう!
では、冒険の旅へ!」
「
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