019.No Quarter

 弱火で煮込んだ太陽の残光が部屋の四隅を照らしたとき、きみは窓の外にすずめが死んでいるのを見つけた。

 ずっと部屋に閉じこもっていたきみは窓から手を出すだけでも新鮮な気分になり、危うくすずめの死骸に手を触れそうになった。

 私が大声で叱ると鎖で繋がれている犬のようにピンと手が跳ね上がり、それから、恐る恐る手がしまい込まれていった。

 きみはシというものが理解できず、私もシというものを説明できず、気まずい沈黙がやってきた。

 外の世界を恐れるきみは、この部屋の中で慈悲というものを与えられるわけでもなく、ただ無慈悲な世界のあることだけを教えられた。

 一度旅立てば帰る場所もなく、ただ次の部屋に至る道を歩かなければならない。

 私はその覚悟ができずにここにいる。

 永遠の牢獄の中に住まう私たちは、旅立つ意味さえも分からないままにこの宇宙に放り出された。

 きみがここから出ていくとき、きっと私はまだ覚悟ができていないだろう。

 だからきっと、きみがそれを見つけてほしい。

 きっと、きっと。

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