第21話 決戦後の祭り

東郷学園決戦から、一週間が過ぎた。

彩音優は、一人通学路を歩いていた。

あれから奈々達とは、会っておらず彩音自身は、数日前に回復してから登校してるが

今日まで3人の姿は見かけていなかった。

「みんな、大丈夫なんでしょうか・・・・」

俯きながら、みんなの事が気になっていた。

そして、奈々の言葉通り落ち着いてから学園に行ったときにはいつもの状態になっていた。

「もしかして、みんな負けたとか?」

そう考えていたとき、背後から手が伸びてきた瞬間

もにゅっ

胸を、鷲掴みされた。

「ひにゃああぁぁぁぁっ!?」

彩音は、驚き声を上げた。

「いやー久々の、いい乳ですわー」

「そ、その声・・・」

彩音が、後ろを見たときそこには、奈々がにやにやしながらいたのであった。

「奈々さん!」

彩音は、一瞬喜んだが

もにゅもにゅもにゅ

奈々は、気にもせず胸を揉み続けた。

「うーん、3センチ大きくなったか?」

「だから、なんでわかるんですか!?」

「乳道を極めし者、わずかな差も揉めばわかるのだ」

「いいから、やめてください」

「そう言わずに、おいちゃんに身を委ねなさい」

「ひにゃあああぁぁ」

奈々は、更に揉んでいたとき

「いい加減にしろ」

ボカッ

晶が来て、奈々の頭を殴った。

「いたい」

「朝から、変態オヤジになるなバカたれ」

「うううう」

奈々は、頭を押さえていた。

「朝から、元気ですわね」

遅れて楓も、現れた。

「晶さん、楓さん」

彩音は、みんなをみて顔が明るくなった。

「よっ、久しぶり」

「元気になって何よりです」

晶と楓も、彩音を見て笑顔を見せた。

「とりあえず、立ち話もなんだから行こうぜ」

「はい」

そう言って4人一緒に登校した。

「そういや、校舎ってどうなってる?」

奈々は、彩音に校舎の状況を聞いた。

「どうなってるっていうのは?」

「いや、あれこれあったので・・・」

あの戦闘で、相当校舎を破壊していたので不安であったが、学園に着いたとき見た光景は戦う前の校舎があった。

「あれ?」

奈々は、校舎を見て首をかしげた。

「お前・・・・忘れてるな」

晶が、奈々にジト目で言った。

「ん?」

「結界が解けたら、理由はわからんが元に戻ることを」

「あっ、そうだった」

奈々は、ポンと手を叩いて思い出したが晶は、やれやれとため息をつきながら校舎に入って行った。


校内では、掲示板に生徒たちが集まりざわついていた。

「なんだ?」

4人は、掲示板に向かい見た瞬間目を見開いた。

そこには、生徒会長辞任の告知があった。

「なんだって!?」

「どういうことでしょう?」

「もしかして、負けたから?」

「なにがあったんですか?」

4人で話してたところに

「これは、好機ですわね」

後ろから桜瀬が、現れた。

「何が?」

「生徒会長が、途中で辞めた場合3日後に再選挙が行われ新しい会長が選ばれる。校則に書いてますわよ」

「そこまで、見てる人がいるかどうかという話だが・・・」

「とにかく、この選挙で勝って私が生徒会長になるのですわ」

そう言いながら、桜瀬は去って行った。

「生徒会長選挙ねぇ・・・」

「とりあえず、まずは東郷に会うか」

「そうですわね」

こうして奈々達は、放課後生徒会室に向かうのであった。

「どういうつもり?」

奈々は、東郷に聞いた。

「見ての通りだ、一度解散して再選挙を行うそれだけだ」

東郷は、さらっと言った。

そこにいた東郷は、以前のような殺気立った雰囲気はなくおとなしい雰囲気に変わっていた。

「なんかえらく雰囲気変わってないか?」

晶は、楓に聞いた。

「憔悴しきった感じがしますね」

楓も、東郷の雰囲気に少し驚いていた。

「とにかく、これで私が生徒会長にふさわしいかどうか再確認するという意味で行ったのだ。お前たちがどうするかは好きにするといい」

「そうか、ならば・・・・私も出る!」

奈々は、唐突に出馬宣言した。

「はあっ!?」

晶は、奈々の答えに驚いた。

「こうなったら私が、生徒会選挙に勝って会長になる。その時にシードを貰い受けるそれでいいでしょ?」

「構わんが、負けたときはどうするんだ?」

「そのときは、シードを貰うのは白紙にする」

「いいだろう」

こうして東郷との会話が終わり生徒会室を出た。

生徒会室を出て、中庭で彩音も含めて4人が集まっていた。

「で、どういうつもりだ?」

晶が、立候補する奈々に聞いた。

「どうって?」

「なんで、お前が生徒会選挙に出るんだよってこと」

「うーん、成行きで」

「アホか、おまえは」

晶は、冷たい目で言った。

「強いて言うなら、あの生徒会長には散々な目に遭ったしこの機に、仕返ししてやろうと思ってね。ふっふっふっ」

奈々は、悪い顔になって笑っていた。

「ということで、協力してね」

「え~~」

「面白そうですわね」

「あの、私もですか・・・」

こうして4人で、選挙活動が始まったのであった。


翌朝、奈々達は校門で選挙活動を始めた。

「この度、生徒会長に立候補しました御影奈々です。皆様の清き一票をお願いします」

奈々は、襷をかけて鉢巻きを締めマイクを持って登校する生徒に声をかけていった。

「おねがいしまーす」

晶たちは、その周りでチラシ配りをしていたが

「あのー・・・・この格好でしないといけないんですか?」

彩音は、奈々に聞いた。

「なにいってんの、当然だよ」

「でも、この格好・・・・恥ずかしいです」

「メイド服で、文句言わないの」

晶たち3人は、メイド服でチラシ配りをしていた。

「斬新で、いいんじゃないですか?」

「まあこれぐらいは、バイトと思えばね」

晶と楓は、平気であった。

「ふにゅー」

「バニーガールより、メイド服がいいって言ったから選んだのに」

「その2択しか、なかったじゃないですか」

「だって彩音ちゃんのお胸を強調するなら、これしかないという選択肢をチョイスしたんだよ」

「私を基準ですか!?」

「つべこべ言わずに、さっさとチラシ配る。ちなみに、配り終わらなかったら今日一日そのままだから」

「ひにゃあぁぁぁ」

彩音は、そう言われてそれは嫌だとばかりに慌てて配り始めた。

「おねがいしますっ」

彩音のメイド服は、胸元が開いているため胸の谷間が見えている。男達は、それに目が行ってしまい「あ、どうも」という感じで照れながらチラシを貰っていくのであった。

「ふふふ、これで野郎どもの票は取れるな」

奈々は、作戦通りとにやけていたが

「甘いですわよ」

後ろから、桜瀬が現れた。

「でたな・・・・・げえっ!?」

奈々は、振り向いた瞬間驚いた。

桜瀬の格好は、バニーガールであった。

「露出を上げれば、こっちのもの。私は、そこまで品疎なお胸じゃないですから」

桜瀬は、おほほほほと笑いながら選挙活動を始めた。

「ぐぬぬぬぬぬぬ、言わせておけば」

奈々は、歯ぎしりをしながら

「彩音ちゃん!」

「え?なに?・・・・ひにゃあああぁぁ」

「こっちも、バニーガールで対抗だ!」

「い、嫌です・・・というか、スカート引っ張らないでぇ」

奈々は、彩音のスカートを引っ張り着替えさせようとした。

「こんなとこで、着替えなんてできませんっ!」

「この際、公開ストリップも辞さない覚悟でっ!」

「ひにゃああぁぁ!ぱ、パンツがみえてしまいます」

彩音は、必死ででスカートを押さえていたがその情景を見ていた、男子生徒たちは「うおおおおー」と歓喜していた。

「なにやってんだ、あいつは」

晶は、顔を押さえて呆れていた。

「お祭り騒ぎですわね」

楓は、ニコニコしながらチラシを配っていた。

そのころ、東郷は教室でその状況を静かに見ていた。

「御前!我々もなにか活動をしないと」

如月が、東郷に促したが

「今回は、何もしない」

「そんな・・・」

「明後日の全校集会時の講演で、私の意思を話す。それだけでいい」

「御前・・・」

如月は、それ以降何も言わず東郷の傍に立っていた。

それからは、奈々と桜瀬のコスプレ合戦になっていた。

奈々は、チャイナドレスを着ていれば桜瀬はナース服で対抗し、プールの際は、ビキニ対決になり美術の際には、セミヌード対決になりかけたが先生に見つかり互いに厳重注意を受けた。

「くそう、次は・・・」

「もう、やめましょうお願いですから」

彩音は、涙目で奈々に訴えた。

これまでの勝負のほとんど奈々が、彩音に無理矢理着せて桜瀬に対抗させていた。

「よしっ、次は手ブラで」

「なにが、『よしっ』だバカたれ」

ゴンッ

晶が、奈々を殴った。

「いたい」

「彩音の身にもなれ」

「えー」

「えーじゃない」

ゴンッ

更に、奈々を殴った。

「どっちにしても明日は講演会だろうが、そっちに集中しろ」

「はーい」

奈々は、頭を押さえながらしぶしぶ原稿を書き始めた。

「大体、まだ書いてないとは思わなかったよ」

「それは、彩音さんの着替え遊びに集中してたからでしょうね」

「遊びだったんですかっ!?」

楓の一言に、彩音はショックを受けた。

「まあとりあえず、明日までだからそれまで付き合ってやってくれ」

「は、はい」

晶のお願いに、彩音は素直に答えた。


そして、翌日全校生徒を集めての生徒会選挙講演会が始まるのであった。

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