第19話 陣内晶対如月舞

校舎内では、廊下で陣内晶と如月舞が対峙していた。

晶は、両足を広げ構え如月は、直立で苦無左右3本づつ持って構えていた。

「いくぞ」

如月は、苦無を全部投げた。

「はあっ」

カカカカカカキン!

晶は、すべて弾いた。

如月は、そのまま上下左右に動きながら連続で苦無を投げた。

晶も、その場から飛び上がり如月に近づいた。

「おりゃあー」

ドガッ

回し蹴りを、放った。

「ぬうっ」

如月は防御したが、教室に飛ばされて着地した。

教室は、使用されていない空き部屋だった。

晶も、追いかけ構えなおした。

「前みたいに、上着は脱がないの?」

晶は、聞いた。

「・・・・」

如月は、何も言わず苦無を出して構えた。

「上着を脱がない間は、動きがちょっと速いだけなんだな。リミッターみたいなものか」

晶は、分析しながら様子を見て

「じゃあ、今のうちに倒すか」

速攻を仕掛ける算段をした。

「いくぜ」

晶は、一気に間合いを詰めた。

「させるか」

如月は、苦無を投げたが晶は、横に飛んで躱し間合いに入った。

「だああっ」

晶は、拳を連続で繰り出した。

ドガガガガガッ

如月は、苦無を持って防御しているが

「ぐっううう」

勢いに押され、徐々に下がって行った。

「そこっ」

ドゴォッ

如月の脇腹に、拳が入った。

「ぐはっ」

九の字になり、怯んだ。

「もう一発」

晶は、右拳を振り抜いたが如月は、消えて拳は空を切った。

晶は素早く振り返ると、如月は上着を脱いで構えていた。

「再び使うことになるとはな」

如月は、少しイラついていた。

「前回やって、わかってるくせに」

「できれば、使いたくないだけだお前ごときにな」

「あんまし格下で見てると、痛い目にあうぜ」

「うるさいっ、おまえだけは八つ裂きにしてやる」

「やれるものなら、やってみやがれ」

晶は、再び前へ飛び出したが

ヒュンッ

如月が、目の前から消えた。

「くそっ」

晶は足を止め、振り返ると目の前に苦無が飛んでいた。

ザクザクッ

「ぐううううっ」

捌ききれず、腕と肩に苦無が刺さった。

如月は、一瞬姿が見え苦無を投げたらまた消えると繰り返し、晶を中心に四方八方から攻撃を繰り返した。

カキンッザクッバシュッ

晶は、捌こうとするが速さに対応できず徐々に苦無が当たっていた。

「くっ」

たまらず、晶は膝を着いた。

それを見て如月は、足を止め姿を現した。

「おまえも、前回やってわかってるはずだこの実力の差を」

晶を見下ろすように、如月は言った。

「はあっ、はあっ、さすがに全部は捌けないな」

息を切らしながら、晶は見上げ

「だが速いだけだ、苦無だけならまだ耐えれるぜ」

にやりと笑いながら言った。

「きさま~っ。まだ余裕の顔をするか」

如月は、イライラし始めた。

「そんな攻撃力じゃ、私は倒せない」

そう言いながら晶は、立ち上がり構えた。

「こんなもんで、やった気になるなんて弱い奴しか相手したことないんじゃないか?」

更に、如月を挑発した。

「ぬううううっ」

如月の苦無を、握る手に力が入っていた。

「文句あるなら、止めを刺して見ろよ。あんたじゃ、できないけどなこの露出忍者」

ブチッ

その言葉に、如月はキレた。

「ぶっころすっ!!」

怒りの表情で苦無を両手に構えた。

晶は、教室の壁を背に両足を広げて腰を落として構えた。

「きやがれ!」

如月は、消え正面に十数本の苦無が飛んできた。

(姿は見えないが、縦横無尽に動いているのはわかる。挑発したけど乗ってくれればおそらく・・・・それまで耐えるっ)

そう考え、晶は全部弾くつもりで覚悟を決めた。

「うおりゃあぁぁぁー」

ガガガガガガガガキン!

突きを繰り出しすべて弾き返していったが

「この数ならどうする」

如月は、更に速くなり苦無の数が倍に増えて晶に迫った。

「くそったれーっ」

ガギガギンッズドドドンッ!!

数本弾いたが、捌ききれず命中した。

「ぐうううっ」

晶は、ぐらつき壁から離れた。

「止めっ!」

ザクッ

如月は、背後に現れ苦無を両手で持ち肩を刺した

「ぬぐあああっ」

「頸椎を狙ったんだが、とっさに避けるとはな」

「そりゃ・・・どうも」

「だが、これで終わりだ」

如月は、片手で苦無を刺したままもう一本出して振り上げたとき

ガシッ

晶は、如月の手を握った。

「まってたぜ、これを」

「きさまっ」

如月が、苦無を振り下ろそうとしたが

グイッ

晶は、腕を引きよせた

「なっ」

如月は、バランスを崩した。

「つーかーまーえーたあああっ!」

晶は、振り返りながら拳を全力で振り抜いた。

ドッゴオオオォン!

「ぐはっ」

如月の、腹に拳が入り吹っ飛ばされ壁にぶつかり

ドガァッ

壁が崩れ隣りの部屋まで飛んだ。

「はあっ、はあっ」

晶は、肩で息をしながら刺さっていた苦無を抜いて如月に近づいて行った。

「ぐっううううう」

如月は、立ち上がっていたが苦悶の顔で腹を押さえていた。

「やっぱ、速い分防御力はないんだな」

「きさま・・・狙っていたな」

「まあねぇ。こっちはその間、防御を中心にしてたからダメージはあんまりなかったりするのよね」

「くうっ」

「さーて、反撃開始だな」

晶は、間合いを詰め拳を突いたが如月は、前転して躱して間合いを取った。

「まだだ、まだやられん」

よろけながらも如月は、苦無を構えた。

「御前の元には、いかせん!」

前に進もうとしたが、消えることはなく一歩進んだところで足が止まった。

「あ、足が」

如月の両足は、震えていた。

「ボディが、効いてるようだね」

晶は、その場で構え

「はあああああっ」

脇に引いた右手に、光が集中していた。

「仕方あるまい」

如月は、その場で両手を上げ

「これで、終わらせてやる」

両手の苦無が、光り始めた。

互いに構え、しばらく対峙した後

ドンッ

晶が、先に動き前に飛び出した。

それに合わせ如月は、苦無を振り下ろし

「苦無斬鉄波!」

半円型の、光が飛んで行った。

ズバァッ

晶の、胴に当たり服が裂けたが

「ぬおおおおおおあああああ!!」

そのまま止まらず突進した。

「なにぃっ!」

如月が、驚愕したときには晶は間合いに入った。

「一撃必殺!」

後ろ脚を捻りそのまま腰を捻り

「無双剛!拳!!!」

右拳を捻り如月のみぞおちに打ち抜いた。

ズドオオオオン!!

如月は、吹っ飛ばされ教室の壁を3枚抜いて4枚目の壁にめり込んだ。

「はあっはあっ」

晶は、片膝を着いたあと変身が解けた。

「無理・・・・しすぎたな」

攻撃を受けて、全力で撃ち抜いた為神力が切れた。

如月は、壁にめり込んだままピクリとも動かず変身は解けていた。

「なんとか勝ったが、これはしばらくなにもできないな」

晶は、胡坐をかいて座り込んだ。

「あんな超高速は、2度と御免だよ」

暫く呼吸を整え

「あとは任せたぜ、奈々」


晶は、外を見ながらそう言った。

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