第13話 再起への始動
生徒会四天王に敗北して翌日、奈々は道場で木刀を持ち素振りをしていた。
素振りをしながら昨日の戦闘を思い返していた。
東郷静香の小太刀二刀の攻撃、速さどれも対応できなかったことに苛立ちが消えなかった。
「でえぇい」
奈々は、力いっぱい振り下ろして手を止めた。
「はぁっはぁっ」
息を切らして、下を向いていたとき
「がんばってるなぁ、奈々」
奈々が振り向くとそこには、征四郎がいた。
「お父さん」
「なんか切羽詰った感じだがなんかあったのか?」
「うっ・・・それは~」
奈々が、頬をぽりぽり掻いてごまかそうとしたが
「負けたな?奈々」
征四郎の一言に、奈々は暫く黙っていたが
「・・・・お察しの通りです」
奈々は、正直に答えた。
「おまえが、佳乃以外に負けるとは珍しいな」
征四郎は、怒ることなく普通に答えた。
「怒らないの?」
「なんで?」
「御影流に、敗北は許されないんじゃ・・・」
「んまぁ、佳乃なら説教だろうなぁ」
「ううう」
「だがまあ、生きているなら再戦できるということだ。心が折れていないなら、次は勝てばいいということだ」
「そんなもんかな?」
「そんなもんだ、お父さんだって負けるときはあるさ」
「誰に負けたの?」
「おじいちゃん」
「なるほど」
そんな会話をした後
「んで、どんな奴にやられた?」
征四郎は、奈々の目を見て言った。
「え?・・・でも」
奈々は、言いにくそうにしていたが
「正直に言えばいい。お父さんが、対策を教えてしんぜよう」
征四郎は、ニコニコしながら言った。
「それじゃあ・・・」
奈々は、征四郎に説明をして
「なるほど、小太刀で二刀流か」
征四郎は、うんうんとうなづいていた。
「で、どうするの?」
奈々は、聞いた。
「百聞は一見にしかずだ、こういうときは実戦で覚えたほうがいい」
そう言うと、征四郎は木刀を二つもって構えた。
「まずは、二刀流に対しての戦いを覚えろ」
「はいっ」
奈々は、そう言って木刀を持って構えた。
それから数時間道場から、木刀の当たる音は絶えず流れていた
同じころ、晶は家の近くの道場で一人空手の型をしていた。
型をしながら、如月の戦闘を思い出していた。
見えない速さで、翻弄され死角らくる苦無を捌ききれず徐々に削られていったあと、やられる手前で引き下がった。
そして、彩音を守れなかったことを後悔していた。
晶は、3段突きをして次は必ず守りそして、勝つと心の中で誓った。
そして楓は、同じころ寺で座禅を組んでいた。
楓もまた、前回の戦闘を思い返していた。
劉麗華の槍の速さと突進力。1対1であれば、遠くから撃ってもことごとく弾かれ第2射を構えるころには間合いを詰められ突きを繰り出され近距離戦に持っていかれてしまい。近距離と言っても、麗華の槍の長さで攻めきれず一気に劣勢になり、追い詰められたところで麗華は手を止め引き上げた。
そして3人で、泣いたあと共に1日一人で考える時間を持つことにした。
そして楓は、目を開き立ち上がった。
月を、見ながら龍麗華の顔を思い出し
「このままで、終わるわけにはいかないですね」
そう言って、再起を誓った。
翌日
「おはよー奈・・・・うおっ」
晶は、挨拶しようとしたが奈々の姿に驚いた。
「おはよ~、晶ちゃん」
奈々は、顔や手が擦り傷だらけで机に突っ伏していた。
「なにがあった?」
「いや、家で特訓してるもので・・・あはは」
疲れきった顔で奈々は、答えた。
「そ、そうか・・」
晶は、苦笑しながら言った。
「放課後大丈夫か?」
「ああ、大丈夫。それまでには回復するから」
そう言って奈々は、眠りについた。
そして放課後
「ふっかーつ」
奈々は、元気いっぱいになった。
「授業中目一杯寝てたら元気にもなるわな」
晶は、ジト目で奈々を見た。
「で、結論は出た?」
奈々は、二人に聞いた。
「私は、戦います」
楓が、真っ先に言った。
「珍しい、いつも最後に言うのに」
晶は、驚いた。
「晶さんは?」
「もちろん、このまま引き下がれないね」
そして、晶と楓は奈々を見た。
「奈々は?」
その問いに、腕を組んで一言
「次は、絶対勝つ!」
奈々は、いつもの顔に戻っていた。
晶と楓の顔にもいつもの顔になっていた。
「じゃあ、再起の一発目として行きますか」
晶は、移動しようとした。
「どちらへ向かのですか?」
楓は、晶に聞いた。
「まずは、反逆同盟へ話を聞きに行く」
「何を?」
「以前和泉さんが言ってた『あの惨劇』について」
「よく覚えてたねぇ」
「奈々も気になってるんだろ?」
「まあねぇ」
「生徒会が、武闘派になったのにはわけがあると思ってね。で、その理由の一つにそれが関係してると思うわけ」
「でも、知ってどうするわけですか?」
「それ次第で、話し合いで解決できたらいいなぁと思ってね」
「そんな、安易じゃないと思うけど」
「わかってるよ、それは建前で本音は、このことに彩音が絡んでるのではないかなと思ったわけ」
「どゆこと?」
「それは、今から行くとこで聞きましょう」
そう言いながら、3人は移動し反逆同盟がいる部屋の前に着いた。
コンコンコン
晶は、扉をノックした。
「どうぞ」
扉の向こうから桜瀬の声が聞こえた。
「失礼します」
3人は、部屋に入ったときそこには桜瀬一人だけだった。
「ノックして入ってくるなんて、礼儀正しいですわね」
「いや、今日は戦いじゃないので」
「ところで、他の人は?」
「いませんわよ」
「出かけてるのですか?」
「いえ、全滅しましたわ」
「は????」
桜瀬の答えに、3人はぽかんと口を開いた。
「私も、あなた方を助けに行く前にやられてますから。私が動けない間に、一掃されてしまったということですわ」
桜瀬は、いつもの微笑を浮かべて答えた。
「それにしては、えらく冷静ですね」
「あなたが、やられるなんて・・」
楓は、少し驚いていた。
「1年前もやられましたわ」
桜瀬が、言ったとき晶は用件を思い出した。
「そうだ、その1年前のことで聞きたいんですけど」
「どういうことですか?」
「和泉さんが、言ったんです『また、あの惨劇を繰り返すことになるから』と、それに彩音が絡んでるんじゃないかと思って」
「何故です?」
「桜瀬さんは、彩音のこと「優ちゃん」と名前で呼びましたよね。それは、以前から知ってるということですよね?」
「え?まじで!?」
奈々は、驚いた。
「ほんと、よく覚えてますわね」
楓は、晶を感心した。
「まあ・・・ね」
晶は、頭をぽりぽりかいて照れていた。
「そうですか・・・それでしたらお話しましょう」
桜瀬は、そう言った後真剣な目になり
「ただし、これを聞いて後悔をしないというならいいですが・・・・その覚悟は、おあり?」
「どういうことですか?」
「それだけ、残酷ということですわ」
いつになく桜瀬は、真剣な目をしていた。
「・・・・・」
3人は、しばらく沈黙した後
「わかった、聞こう」
奈々は、椅子に座った。
「奈々」
「聞くからには、覚悟決めろということだろう?ここまで来て引き下がれないからね」
奈々は、腕を組んで言った。
「まあ、たしかにそうですわね」
楓もそう言って、座った。
「わかったよ」
晶も、そう言って椅子に座った。
3人も、真剣な目になり桜瀬を見た。
「わかりました。それでしたら、お話しますわ」
そう言うと桜瀬は、立ち上がり。
「その前に、お茶を用意しますわ。長くなりますから」
そして、3人の前に麦茶が置かれ桜瀬は座り直し
「さて、どこから話しましょうか」
そう言いながら少し考え
「そうですね・・・事の発端となったのは彩音優のお姉さん『彩音美紀』の悲劇からですわ」
「!?」
「その前から、話しましょう」
そして桜瀬は、話を始めた。
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