第10話 新しい仲間

そのころ奈々達は、屋上で乱取りをしていた。

奈々が木刀を持ち、晶はオープンフィンガーグローブを付け、楓は棒を持って近接戦の練習をしていた。

奈々と晶、晶と楓、楓と奈々と交代で乱取りを行っていた。

「じゃあ、晶ちゃん打撃同士でやろうか」

奈々はそう言うと、木刀を置きオープンフィンガーグローブを付けた。

「久しぶりだな、奈々と組手するなんて」

晶は、やる気満々で構えた。

「私も、たまにはやらないとね」

奈々は、そう言って構えた。

「剣を、落とした時の想定ですか?」

楓は、聞いた。

「んまぁ、そうだね」

「色々、やってるんだな」

「うちは、結構実践形式なんで剣だけを重視しないんだよねぇ」

「実践というか、常に戦場か?」

「まあ、それはそれとしてー。はじめましょうか」

「そうだな」

そう言って二人は、構えなおした。

「じゃあ、はじめっ」

楓の声で、二人は互いに間合いを詰めた。

晶が、素早く右拳を繰り出すが奈々は、拳を左に払いながらそのまま右拳を押さえながら右に回り込み

「ていっ」

奈々は、そのまま右拳を繰り出す。

「くっ」

晶は、右手を押さえられ左手を出せないまま

ポンッ

顔面に、軽くヒットした。

「今ので、一本ね」

奈々は、間合いを取り軽いステップで構えた。

「くそー」

晶は、悔しがりながら足を広げどっしりと構えた。

「いくよー」

そう言ったあと、奈々は一気に間合いを詰めたが

「はっ」

晶は、顔面を狙い左拳を放つ。

「ひょい」

奈々は、左手で払おうとするが晶は、素早く引いた。

「あっ」

「せいっ」

ドンッ

次の瞬間、晶の右拳は奈々の胴を、逆突きで打ちぬいた。

「ぬうっ」

奈々は、右ひじを脇に引いて防いだが

「隙あり!」

晶は、飛び上がり右左に横蹴りを放つ。

バシバシィッ

奈々の側頭部にヒットし、奈々は膝をついた。

「いったー」

奈々は、頭を押さえ首を振った。

「これで、一対一だな」

晶は、ふふんと笑い構えた。

「飛燕脚使うなんてずるい」

奈々は、むっとして立ち上がった。

「うるせー、あんな抑え技するからだ」

「あれはあれで、空手でも有効な技だぞ」

そう言ってるうちに

「あと一分」

楓が、時計を見ながら言った。

「んじゃ三本目いくよ」

「おう」

そう言って二人は、再び間合いを詰めた。

「それまで!」

一分間打ち合った後、楓の声で二人は手を止めた。

奈々と晶は、肩で息をしていた。

「あーきつ」

奈々は、そう言ってタオルで汗を拭いた。

「ほんと、いい練習になるよ」

晶は、そう言いながら水筒の麦茶を飲み干す。

「そうですね」

楓は、時計のタイマーをセットしながら言った。

「そんじゃ次は・・・」

奈々が、言いかけた時

ガチャ

屋上の扉が、開く音が聞こえた。

そこには、彩音が立っていた。

「晶ちゃん」

「ん、どうした?」

「あ、あの、実は・・・・・」

しどろもどろに彩音は、鞄に手を入れ

「こ、こんなの、拾ったんだけど」

取り出したものは、エンジェルシードだった。

「!?」

三人は、驚きの色を隠せなかった。

「どどどどどこで、拾ったの?」

奈々は、驚きながら彩音に迫った。

「あ、あの、その、昨日の帰りに偶然」

彩音は、怯えながら答えた。

「で、それは使えるのか?」

晶が、聞いた。

「え?う、うん一応」

「それは、すごいですわね」

楓は、ニコニコしながら言った。

「で、武器は?」

奈々は、聞いた。

「武器は、銃だけど私は使いこなせなくて・・・・代わりに索敵とかできるみたいで」

「ほほう、それはいいね」

「敵の場所が、わかるのか」

「は、はい」

質問攻めに彩音は、たじたじながら答えた。

「よし、新たなる仲間に今日はファミレスで飲み会だ」

奈々は、唐突に言った。

「なんで、飲み会・・・」

「もちろん、ドリンクバーだよ晶ちゃん」

奈々は、ノリノリで言ったが晶は呆れ顔であった。

「でも、彩音さんは私達の仲間になるのですか?」

楓は聞いた。

「あ」

奈々と晶は、はっと気が付き彩音を見た。

「で、どうなの?」

奈々は、彩音に聞いた。

「あ、あの・・・・ご迷惑でなければ・・・ですが」

彩音は、もじもじしながら言った。

「なにいってんの」

晶は、彩音の肩を掴み

「大歓迎だよ」

晶は、笑顔で言った。

「まあ、仲間が増えるのはいいことだし」

「そうですね」

奈々と楓も、納得した。

「あ、ありがとう」

彩音は、笑顔で言った。

その情景を、扉の向こうから東郷静香が見ていた。

「まあ、ひとまずは良しとしようか」

そう言って、階段を下りて行った。


そのころ、桜瀬と麗華の戦闘は決着が付き始めていた。

「はぁっ、はあっ」

桜瀬は、服がぼろぼろにになり片膝をついて息を荒げていた。

「ふぅっ、さすがに苦戦したがここまでだな」

麗華も、多少服が破れていたが立っていた。

「まだ、やられるわけにはいきませんわ」

そう言うと桜瀬は、にっと笑いながら杖をかざし

バシッ

先端から強烈な光を放った。

「くっ、目くらましか」

麗華は、直接喰らってしまい目が見えなくなった。

暫くして、視界が開けたときには、桜瀬の姿が消えていた。

「ちっ、逃げたか」

麗華は、そう言って変身を解いた。

「まあいや、どのみち次で仕留めれる」

そう言って、麗華はその場を去った。

そのころ桜瀬は、結界から離れ変身を解いていたがダメージが大きすぎるため壁にもたれながら息を荒げていた。

「はあっ、はぁっ、はぁっ」

服はぼろぼろになっており全身にあざがあった。

少しして、その場で座り込んだ。

「さすがに・・・・・これは・・・やばいですわね」

気を、失いかけていたそのとき、横から人影が現れた。

「桜瀬さんか」

そこにいたのは、和泉であった。

「はぁっ、はぁっ、あなたですか」

「えらく、やられたもんだな」

和泉は、平然とした顔であった。

「止めを、刺しにし来たのですか?」

桜瀬は、汗を流し痛みに堪えながら言った。

「いや、その気はない」

「そうですか・・・それなら・・・」

そう言うと、桜瀬は気絶してしまった。

「やれやれ」

そういうと、和泉は桜瀬を抱え保健室に向かった。

「んっ・・」

暫くして、桜瀬は目が覚めた。

「お目覚めですか」

和泉は、横に座っていた。

「どれぐらい寝ていましたか?」

「1時間ぐらいかな」

「そうですか」

そう言って、桜瀬は体を起こし

「何故、助けましたの?」

「気まぐれかな」

「相変わらず、適当な答えですわね」

桜瀬は、ため息をついて言った。

「でも、あんたがそこまでやられるなんてね」

「油断したといえば、言い訳にしかなりませんが次は負けませんわ」

「だといいけど」

「ところで、あなたはどちらの味方なのですか?」

桜瀬は、唐突に聞いた。

「私は、どちらの・・・」

和泉が、言いかけた時

「御影達に、つくのですか?」

桜瀬の言葉に、和泉の口が止まった。

「やはり、その方向はあるのですね」

桜瀬は、ふっと笑った。

「・・・正直言うと、自分でもわからない」

和泉は、下を向いて答えた。

「今の生徒会に、納得できないとこがあるのですね」

「まあ、少しね」

「それなら、それでいいです」

「あんたは、今後どうするんだ」

「それは、回復して考えますわ」

そうして二人は、しばらく話をした。


そして、奈々達は彩音の索敵能力を検証していた。

彩音の、周りに画面が広がり誰がいるか、画面に印がついていた。

「そのまま、まっすぐです」

彩音は、通信も可能としシードを通信媒介として伝えていた。

晶は、彩音の指示通り歩いていた。

「彩音、どの辺かな」

「その階段の裏です」

それを聞いて晶が、階段の裏を確認した。

「奈々みっけ」

そこには、奈々が隠れていた。

「ちぇーばれたか」

そう言って奈々は、出てきた。

「この能力は使えるな。うちらだと、感じるだけでどこかと言われたら、わからないからな」

晶が言ったが

「でも、索敵にも限界範囲があるので範囲外だとわからなくなります」

「それでも、範囲内なら相手の位置がかなり正確に掴めるので、戦闘が楽になりますわね」

楓は、ニコニコして言った。

「よーし、今日はここまでにするか」

奈々は、背伸びして言った。

そのあと、四人で下校し彩音は途中で別れいつもの三人になって、暫くの沈黙の後晶は、口を開いた。

「あのさ、奈々」

「彩音ちゃんのことかな?」

「うん」

「どうしました?」

楓は、聞いた。

「彩音の事、なんだけど・・・」

晶が、言おうとした時

「まった」

奈々は、止めた。

「疑うのはわかるけど、今はそのままでいい」

「だが、もし疑いの通りなら」

「そのときは・・・・私が斬る」

奈々は、そう言って唇をかみしめた。

晶と奈々は、信じたくなかったが確信はあった。


彩音が、生徒会側の刺客という可能性を

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