第6話 反抗勢力の存在

運動公園の体育館内

生徒会のメンバーが、各自戦闘訓練をしていた。

その様子を、2階席から以前理子と口論した女が見ていた。

しばらくして、横から声がした。

「隣いいか?」

声をかけたのは、和泉真琴であった。

「なにしにきた?」

女は、顔を見ず答えた。

「相変わらず、そっけないなぁ如月」

女の正体は、生徒会副会長の如月舞きさらぎ まいであった。

釣目で、終始むすっとした顔でロングヘアーであった。

和泉は、隣に座った。

「負けたそうだな」

如月は、和泉に聞いた

「まあね」

和泉は、普通に答えた。

「で、これからどうする?」

和泉は、如月に聞いた。

「御影たちの件は、置いておく。それよりも・・・」

「3年生か・・」

「お前が負けたことで、水面下で動き始めた。好機と、見てる感じだな」

「で、あいつらは御影達を引きこむ算段か?」

「恐らくな」

「ところで、あいつはいつ帰ってくるんだ?」

「御前か?」

「そうそう、お前らの言う御前様さ」

「近々、海外の研修から帰ってくるそうだ」

「ふーん」

和泉は、如月と暫く話をして。

「さて、そろそろ行くかな」

和泉は、そう言って立ち上がると

「おまえは、どうするんだ?」

如月が聞いた。

「私は、しばらく傍観しとくよ」

「相変わらず、どっちつかずだな」

「私は、私の意志で決める。ただ、それだけさ」

そう言って和泉は去った。

「さて、御前が帰ってくるまでに片を着けなければな」

訓練を見ながら舞は、一人つぶやいた。


それから数日後、事態は動く

ガラッ

「御影奈々は、いるか」

一人の女が、奈々を呼んだ。

その声に、教室にいた生徒は一斉に見た。

「ん?」

奈々は、晶と楓と話をしていたが、その声の先に向いた。

そして、女は奈々の前に立った。

「私たちは、三年だ。話が、あるついてきてもらおうか」

唐突だったが、奈々は冷静に

「いいですよ」

待っていたかのように、答え立ち上がった。

「お前たち二人も、来てもらおうか」

三年の女は、晶と楓にも声をかけ三人ともついていくことになった。

「予想通り来たね」

「そうだな」

「やはり、というべきなのでしょうか」

奈々達三人は、移動しながらひそひそ話をしていた。

予見していたのは、数日前和泉から話を聞いていたのであった。

「近々、三年生がお前らを訪ねてくるぞ」

いつもの中庭で、和泉は奈々たちを呼び警告した。

「三年が、なんのために?」

晶は、和泉に聞いた。

「私が、負けたと聞いて三年が好機とばかりに動き始めている。政権奪回を、目指してね」

「この学園の、政権ですか?」

「そんな、重要なものかねぇ?」

奈々と晶は、首をかしげて言った。

「重要かどうかは、わかんないがメンツの問題だろうねぇ。上級生が、下級生に学園を仕切られてるってのが気に入らない。私達が、一番上でなくてはならないからこの機に、取り返そうということかな」

和泉は、淡々と答えた。

「そんなもんですか」

奈々は、ふーんという感じで答えた。

「とりあえずお前らを、仲間に引き込もうと勧誘があるだろうよ。どうするかは、自由だ」

和泉は、そう言ってパックジュースを飲み干して

「話は、それだけだ」

和泉は、そう言って立ち去ろうとした時

「待ってください、なぜ私たちに情報を?」

晶は、制止して和泉に尋ねた。

「あなたは、生徒会四天王と言われてる人。生徒会側ではないのですか?」

その答えに和泉は、ふっと笑い

「私は、生徒会側ではないよ。昔、共に戦ったから顔が通ってるだけで、仲良しというわけではないさ」

「じゃあ、なんで?」

「ただの、気まぐれさ」

そう言って、和泉は校舎に入って行った。

「あの人、何がしたいのかわかんないよね」

奈々は、首をかしげて言った。

「和泉さんは、自由人だからねぇ。気まぐれというのも本当だと思う」

晶は、あははと苦笑いながら言った。

その経緯があり、奈々達は来ることは先に予見していた。

校舎の三階まで進み、一番奥の部屋に着いた。

「ここだ」

そう言って、三年の女は扉を開け

「リーダーが、お待ちだ入れ」

そして三人は、中に入った。

中は、黒いカーテンで仕切られていた。

四角に机を囲み、左右に三年と思われる生徒が六人そして、正面に一人座っていた。

「お待ちしてました、御影奈々、そして陣内晶と神崎楓ですね」

そう言って正面の女が、立ち上がった。

「私たちは、『生徒会反逆同盟』そして私が、リーダーの三年桜瀬姫香おうせ ひめかです」

桜瀬の容姿は、長髪を後ろにくくり少し釣目だが優しい雰囲気でもあった。

「どうぞ、座ってください」

「はい」

そう言って三人は、座り桜瀬も座り対峙した。

「んで、話というのは?」

奈々は、質問した。

「あなたたちに、この反逆同盟に入っていただきたいのです」

「理由は?」

「御影奈々あなたは、四天王の和泉真琴を撃破したと聞いてます。その力を、使い私たちと共に戦い、生徒会を打破しましょう」

その返答に、奈々は一言

「断る」

あっさり答えた。

「ええー!?」

晶と楓は、かなりびっくりだった。

「なんで、そんなにあっさり?」

「もうちょっと、聞かないんですか?」

晶と楓は、奈々に問い質した。

「なんか、見返りなさそうだし~」

奈々は、やる気がなさそうに耳をかきながら答えた。

「見返りが、ほしいのですか?」

桜瀬は、奈々に聞いた

「私たちに、メリットがないしねぇ~」

「でしたら、生徒会を壊滅した暁には私たちが、新たな生徒会を立ち上げ、生徒会執行部の権限を差し上げます」

「それで、あんたが生徒会長ですか?」

「もちろんです」

その一言を聞いて、奈々は立ち上がり

「じゃあ、この件はなかったことで」

奈々は、部屋から出ようとした。

「何が、不満ですか?」

桜瀬は、立ち上がり奈々に聞いた。

奈々は、振り返り

「見返りというのは、聞いただけ。結論を、言うとあなたの私利私欲で使われるのは、まっぴらごめんというだけ。で、私たちを敵とみなし攻撃するというなら、受けて立つよ」

そう言って、奈々はシードを見せた。

桜瀬は、目をつぶり

「交渉は、決裂ということですね」

そう言うと周りの三年は、立ち上がって木刀を持って構えた。

晶と楓も、立ち上がりシードを持って構えた。

「まちなさい」

桜瀬は、制止した。

「これは、強制ではありません武器を下げなさい」

そう言うと、三年は木刀を納めた。

奈々達も、シードを納め一息ついた。

「力ずくと思ったよ」

桜瀬は、ふっと笑い

「私たちは、それほど悪党ではないですよ」

そう言って、胸ポケットに手を入れ

「教えておきますが、私もシード所有者なのです」

桜瀬は、シードを見せた。

「桜瀬さんも、シード所有者!?」

晶は、驚いた。

桜瀬は、にっこり笑い

「生徒会を、打破したくなったらまた来てください。反逆同盟は、いつでも歓迎します」

そう言った瞬間、扉の向こうから声が聞こえた。

「できるのか?おまえらに」

その声に、一同は反応し扉の前で構えた。

扉が、開きそこには生徒会のメンバーが立っていた。

「あなたは、副会長!」

桜瀬が、正面の釣目の女如月に言った。

「副会長?」

奈々が、桜瀬に聞いた。

「ええ、彼女が生徒会副会長如月舞よ」

如月は、桜瀬を見て

「おまえらが、動き始めてると聞いてな。こうして、阻止しにきたわけだ」

「ずいぶんと、早いですね」

「おまえらが、学園の秩序を乱すのであれば叩くまでだ」

「あんな強引なやり方で、人を縛り付けてなにが秩序ですか」

「ああいう輩には、これが一番だ」

「だから、打破するのです」

そう言って桜瀬は、シードを構えた。

奈々達は、二人のやりとりを下がって聞いていた。

「これって、やばくね?」

晶は、奈々に聞いた。

「できれば、どさくさに逃げたいとこ」

「でも、扉の前に生徒会の人達がいますわよ」

楓は、冷静に答えた。

桜瀬と如月が、睨み合い一触即発の状況がしばらく続いたその時

「そこまでだ」

その一言とともに、周りの空気が一気に重くなった。

「なっ!?」

奈々も、気配に気づき扉の奥の廊下を見た。

そして奈々は、強大な気に冷や汗をかく。

「この気配は、お姉ちゃんと同じぐらい・・・」

奈々は、シードを持っている手に力が入っていた。

「まったく、久々に帰ってきたというのに、出迎えがないのは寂しいな」

そう言いながら、足音共に気配が近づいてきた。

「まあいいさ、明日になれば会えるのだから」

そして、道が開き気配の存在が入ってくる。

「そうだろ、舞」

その姿は、女でありストレートロングだが長さは腰の下まであり、目はきりっとして凛とした姿であった。

「御前!」

舞は、女に一言そう言った。

「今日は、ここまでだ引け」

御前は、如月に言った。

「しかし」

「いいから引け。これは、命令だ」

「は、はい」

そう言うと如月は、下がった。

「桜瀬、来るならいつでも来るがいい相手になろう」

御前は、桜瀬に言ったが桜瀬自身は気圧され何も言えなかった。

「そして、おまえが御影奈々か?」

御前は、奈々の方に向いた。

「あ、あなたは・・・」

奈々は、御前に聞いた。

「私は、生徒会会長東郷静香とうごう しずかみんなは、御前と呼んでる」

東郷は、そう言って

「では、またな」

一言言って、生徒会と共に去って行った。

しばらくの、沈黙の後

「ぶはーーっ」

奈々は、大きく息を吐いた。

「はぁーーーっ。な、なにあれ」

「ふうっ、とんでもない人ですね」

晶と楓も、息を吐き冷や汗をかいていた。

「あれが、私たちの敵です」

桜瀬が、答えた。

「あれが、生徒会長・・・」

奈々は、シードを握り東郷たちが、去って行った方向を向いた。


これが、生徒会と反逆同盟の抗争の始まりであり奈々達も、生徒会との本格的な戦いの幕開けになるのである。

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