第2話 仲間は道連れ世は哀れ

翌日、東郷学園1年2組時は昼休み

「ぬーん」

奈々は、教室でうなっていた。

「どうしたんですか、奈々さん?」

への字口で、机で考え事をしている奈々を見て、ロングヘアーの少女神崎楓は傍に来て答えた。

「いや、昨日色々ありまして」

答えながらも奈々は、昨日のことを頭の中で整理していた。

自分が、手に入れた赤い石は「エンジェルシード」と呼ばれているらしい。

そのエンジェルシードを持てば、変身できるが誰もが使えるわけではない。

「神力しんりょく」人の世界でいう精神力が、ある程度ないと条件を満たさないらしい。

変身の服装と武器は、個人のイメージするもので変わる。

変身したとき、全身に神力を纏いそれが、バリアの役目を果たしている。

そのおかげで、服は破けても死に至ることはないが、多少の傷と痛みはある。

斬られたダメージは、神力で防いでいる分消費する。

いうなれば、体力と精神力=神力なので0になれば戦闘不能になる。

0になれば変身も解けるようだが、すぐというわけでもないらしい。

要所で「らしい」が出る理由は、シードから脳みそに情報を自動インストールされた感じになっており奈々自身も、一個ずつ模索している現状であった。

「奈々が、考え事って今日は夕立が、降るんじゃね?」

奈々の背後から、ショートヘアの陣内晶がにやにやしながら言った。

「それって、普段私が考え事してないっていうの?」

「普段から能天気じゃん」

「脳筋には、言われたくない」

「んだとー」

「なによー」

奈々と晶が、にらみ合い始めたとき

「まあまあ、二人とも」

楓は、二人をなだめた。

「でも、奈々さん困ったことなら相談に乗りますよ?」

「んまぁ、そうなんだけどこれはねぇ~」

奈々は、再び考えようとしたが、結局考えが煮詰まったので

「やーめた、まずは飯にしよう」

そういって弁当を机に出した。

「なんだそりゃ」

「昼休みは、ご飯を食う時間だそうだろ?」

奈々は、2人に聞いた

「そうですね」

「そうだな」

そう言って楓と晶も、同様に持っていた弁当を出して、3人で昼食を食べた。

そして、午後の授業中も奈々は、頭の中で引き続きを整理していた。

もう一点気になったこと、それは敵の存在であった。

シードの能力を狙う者、この力がある以上いてもおかしくないが、奈々が持っていると知られた場合、狙われることは必然。昨日倒した理恵とかいう奴が、目を覚ましたら制服で学校がばれるそして、他にも3人いたとなればシードを持つ者が、他にももっといるかもしれないと奈々は考えていた。

「とりあえず、あと2つ探すか」

奈々は、晶と楓を仲間に引き込もうと考えていた。

シードを使えるか否かは、別にしてもまずは、仲間が欲しいと考えていた。


そして、放課後

晶は空手部、楓は弓道部に所属しており部活動が終わるまでの間奈々は、待っている間自主トレーニングをしていた。

奈々は、どこの部活にも入ってないが3人で帰るときは、屋上で一人修練を行っていた。

しばらくして、晶と楓は屋上へ上がってきた。

「部活終わったぞー」

「帰りましょうか、奈々さん」

奈々は、タオルで汗を拭いて一息ついて。

「じゃあ、帰りますか」

一汗かいて、すっきりした顔で答えた。

そして3人で下校しながら、奈々はエンジェルシードを二人に見せた。

「なにこれ?」

「昨日見つけたんだけど、なんとこれにはすごい力があるのだ」

「どんな力?」

「なんと、変身できるのだ」

奈々はドヤ顔で答えたが

「・・・・・頭大丈夫?」

晶は、呆れ顔で答えた。

「その石・・・・」

しかし、楓はまじまじと見ていた。

「この石知ってるの!?」

奈々は、楓に顔を近づけて問いただした。

「どこ、どこにあるのこれ!」

「いえ、色は違うんですが似たような石なら、うちの神社に」

「じゃあ行こう、今行こう、すぐ行こう!」

「は、はい・・」

奈々の押しに、楓はたじろいだ。

そして3人は、楓の神社に向かうのであった。

楓の神社は、山の中腹にあった。

そこまでは、長い階段があり上がりきると境内に着く。そこで、奈々と晶は楓を待っていた。

しばらくして、楓は木箱を持って二人の元へ戻ってきた。

「おそらく、これかと。」

楓は、そう言って箱を開けた。

中には、奈々が持ってる石と同じようなものであったが、色が赤でなく緑であった。

「まちがいない、これだ。」

奈々は、にやりと答えた。

「その根拠は?」

晶が、質問した。

「実は、この石・・正確にはエンジェルシードというものなんだけど、シード同士牽かれあうようで近くだと共鳴するらしい」

そう言って奈々が、自分のシードを近づけると小さく光り共鳴していた。

「この石は、昔からうちにあるものなんですが、そんな力があるなんて」

楓は、驚きの色を隠せなかった。

「とりあえず一個は確保だ、あと一つだな」

奈々は、一人うんうんうなずいていた。

「ということで、明日もシード探索に付き合ってよ」

奈々は、二人に頼んだ。

「まあいいけど」

「面白そうですわね」 

二人は、了承した。

しかし、探すまでもなくもう一個は、見つかったのである。


翌日の朝

「どゆこと?」

奈々は、晶に問い質した。

晶の手には、青色のエンジェルシードがあった。

「いや、実は・・・・・」

話は、前日に遡る。

3人は、境内で別れ晶は一人自宅に帰ろうとした時のこと。

川沿いに歩きながら、石を拾い川に投げては拾いまた投げながら歩いていた。

「変身ねぇ」

晶は、奈々が話してたことを思い出していた。

「そりゃ変身ヒロインとか、小さいころ憧れていたけど、柄じゃないしねぇ・・・でもなぁ・・・・そんな、簡単になれるものな、楽なもんだけど」

独り言を、つぶやきながら石を投げながら歩いていた。

そして、立ち止まり石を拾いその石を上に掲げ

「へんしんっ」

晶は、叫んだ。

「・・・・って、なれるわけないか」

と言った次の瞬間、光が晶を纏い消えた瞬間服装が変わっていた。

「・・・・・・・・・・・えっ?」

晶は、唖然としていた。

そして、自分の格好を見てしばらくして

「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

夕日の中晶は絶叫した。

そして、話は戻り

「と、いうわけです」

晶は、事の顛末を説明した。

2人は、目が点になっていた。

「つまり、たまたま拾った石がエンジェルシードであったと」

「まあそうなる」

「なんじゃそりゃあぁぁぁぁぁ」

「宝探しは、終了ですわね」

奈々は、絶叫したが楓は、少し残念そうな顔をしていた。

「しらねーだろ、偶然なんだから」

「あーつまらん、なんてつまらん、くそつまらん」

「そこまで言うか」

「まあいいや、とりあえず3個になったし」

奈々は、かなり不満であったが当面の目標を達成したので、一応納得した。

「で、思ったんだが」

晶は、奈々に質問を始めた。

「何?」

「おまえ、私たちを変身させて何かに巻き込もうとしてないか?」

「ぎくっ」

「それ以前に、シードを集めて仲間増やす為に利用したな?」

「い、いやそれはその・・・」

「んで、できなくてもシード強奪して仲間探しとか、画策してなかったか?」

「うっうぅぅぅぅぅ」

晶の質問に、奈々は冷や汗をかきながら焦っていた。

しばらくして

「申し訳ありませんでしたー」

奈々は、二人に土下座した。

「やっぱり」

晶は、ため息をした。

「そうだったんですか?」

「楓、ちょっとは疑うこと覚えようね」

晶は、呆れ顔で言った後

「と、いうことで」

土下座している、奈々の目の前に立ち

「どう、落とし前つけてくれるんだい奈々ちゃん?」

奈々は、土下座したまま

「照り焼きバーガーセット奢らせていただきます」

「チーズバーガーも、つけてほしいなぁ」

「はい、よろこんで」

「よし、それで手を打ちましょう」

「へへー」

まさに、代官と農民のようなやりとりの間に

「じゃあ私は、ダブルバーガーセットLサイズで」

楓は、さらっと入ってきた。

「あんた、そういうとこだけはちゃっかりしてるのね」

二人は、ニコニコしている楓を見て言った。


夕方、奈々は二人にバーガーセットを奢り公園で食べていた。

「ああ、今月のお小遣いがぁぁぁ」

奈々は、涙目で財布の中身を数えていた。

「自業自得だ」

「まあ、今度は奢りますわ」

「ありがとぉー、楓ちゃぁぁん」

奈々は、泣きながら楓に抱きついた。

そんな状況を見て晶は、やれやれとため息一つついて奈々に質問した。

「ところで、狙われた奴の素性はわかるのか?」

「んまぁ、一応」

「一応って・・・」

「だってあのとき、ゴミ箱に隠れてたから」

「なんで、そんなとこに・・・」

「スニーキングの、基本だと思って。」

「そんな基本は、ねぇ」

奈々は、3人の素性を説明した

「一人は、小柄で生意気な顔してたかな」

「ほうほう」

「んで、二人目は同じぐらいの身長で茶髪で険しい顔してたなぁ」

「んでんで」

「3人目はリーダーっぽいやつで・・・」

そう言って、目の前の3人を指差して

「あんな感じで、3人とも目つき悪かったなぁ」

「あんな感じ?」

「そうそう、あんな感じ・・・・・・」

奈々が、指差した3人組の素性そのままというより本人たちであった。

「おまえら、石をもってるな?」

リーダーっぽい女は、声をかけた。

「ノーノー、ワターシタチモッテナーイデスヨ」

奈々は、とぼけたが

「なんで、エセ外人になっとるんだ」

晶は、言い方につっこんだ。

「とぼけても無駄、シード同士共鳴するの知ってるだろう?」

小柄の少女は、答えた。

「おとなしくシードを渡せばよしさもなくば・・・」

「実力行使ってか?」

奈々は、シードを持って構えたが

「ちょちょちょ、まだ周りに人がいるって」

晶は、止めに入った。

「人払いなら、しましょうか?」

茶髪の女は、そう言うと左手を横に払った。

次の瞬間、周りの背景が薄暗くなりさっきまでいた人が、一斉に姿を消した。

「これって」

晶は、周りを見渡し驚愕していた。

「結界ですわね」

楓は、落ち着いていた。

「なるほど、ご都合主義結界ってやつね」

奈々は、うんうんと納得していた。

「それは、言わんでいい」

「てことは、3人とも変身してることに・・・」

「そういうこと」

そう言うと少女3人は、手をかざしたあと武器を出し

「覚悟!」

そのまま3人が、攻撃を始めようとした時

「ちょっとまったー!!」

奈々は、3人を止めた。

「な、なんだいきなり」

「まず、名を名乗ってもらおうか」

「なんで?」

「いや、前回聞いてなかったので」

「じゃあお前が、理恵をやったのか」

「ま、まぁ、そうなります」

奈々は、頬をポリポリ掻いて答えた。

「なら、教えてやる。私は、磯部理子いそべ りこ」

小柄の女は、そう名乗り銃を構えた。

「私は、磯部理緒いそべ りお」

茶髪の女は、そう名乗りナックルを付けて構えた。

「そして私は、磯部理沙いそべ りさ」

リーダー格の女は、そう言って剣を構えた。

そして、3人が言っていた理恵とは磯部理恵いそべ りえということになる。

「磯部四姉妹とは、私たちのことだ!」

そう言って3人は、ポーズをとったが

「いや、3人しかいないし」

晶は、すかさず言った。

「うっさい、理恵はあいつが倒したからいないんだよ」

「てことで、あんたらは?」

理子が奈々たち3人に聞いた。

「で、どうする?」

奈々は、晶と楓に聞いた。

「何が?」

「いや、戦うのかなと思って」

「もうこの時点で、決まってますわよ」

「そそ、もう巻き込まれたし諦めて付き合うさ」

「ありがとおぉぉぉ、心の友よ」

「こういうときだけ、いいように言うな」

ゴンッ

奈々が、晶に抱きつこうとしたが、グーで頭を叩かれた。

「うううー」

「んじゃ、こっちも名乗りますか」

「そうですね」

そういうと、晶と楓もシードを出して3人で構えた。

「変身」

その瞬間3人は、光に包まれ

「私は、御影奈々」

奈々は、剣を構え

「私は、陣内晶だ」

晶は、大き目のナックルを構え

「私は、神崎楓です」

楓は、弓を構えた。

「3人揃って・・・・・・・・・・なんだっけ」

「無理して、対抗せんでよろしい」

ゴンッ

晶は、奈々の頭をグーで叩いた。

「2度もぶったな」

「そのくだりもやめて」

ゴンッ

晶は、更にもう一発叩いた。

「あの、そろそろいい?」

磯部の3人は、待っていた。

「あ、ごめん忘れてた」

奈々は、さらっと答えた。

「ふざけやがって」

理子は、怒り銃を構えた。

「んじゃ、始めますか」

奈々達3人も、戦闘態勢を取った。


戦闘開始

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