俺と隣人の楽しいネトゲライフ!

ニクス

第1話 引っ越してきたお隣さんは女の子!?

ナイト「モーニ!強化魔法を!」

モーニ「は、はい えっと・・・リザレクション!」

ナイト「いや、それ蘇生魔法・・・っといいから逃げろ!」

モーニ「えっ、あ、はい! うわぁぁ!」

今目の前に立ちはだかっているドラゴンはクエスト用に調整されたモンスターだ。

とは言っても手強い敵には変わりないので俺はモーニに強化魔法をかけてもらおうとした。しかしチャットしてる間にドラゴンはプリーストであるモーニのほうへと向いてしまう。

ナイト「くそっランストリック!」

俺はそういうと、姿を消しドラゴンの頭上へ飛び一気に斬りつける。

ドラゴン「グオォオオオオオオ!」

ナイト「なかなか強かったな。ほらモーニ、帰るぞ」

モーニ「ええ、はい・・・」

この子、モーニはAoGのサービス当初から1年ずっと一緒にクエストへ行ったり2人で活動しているいわゆるパートナーだ。

AoGというのは、Angel of Gaia(エンジェルオブガイア)というMMORPGのことで、2020年から稼動して1年になる。

1年一緒にやってるがモーニはあまり上達してはいない様子、というかプリーストで回復と強化補助だけしてくれればいいんだけど・・・

結構コマンド間違えたりしてるドジっ子っぽい?

まぁ、可愛いキャラとチャットでの話題に意気投合したりでなんだかんだ一緒にいることが多くなっただけだ。

たまにリアルはどういう子がやってるのかと気になるが、ネトゲの世界の話だし今はネカマ(*注:リアル男性だがネット上は女性キャラクターを使う人のこと)だって結構いるから、別にどうでもいいんだ、リアルの話は持ち込んじゃタブーなのがネトゲだから・・・。

そんなことを考えつつ、俺はモーニと洞くつから出てギルドへ向かう。

ギルドで報酬を受け取った俺は疲れたのでそろそろログアウトしようと思った。

ナイト「じゃあ、モーニ。俺はそろそろ落ちるから、またな」

モーニ「あ、そうですね。私、明日から少しの間インできなくなりそうなんです。2,3日くらいだと思いますが」

ナイト「そうなのか?じゃあ明日あさっては適当に簡単なクエストでも消化しておくか・・・」

モーニ「あ、私もそろそろ落ちますね。ではまた」

ナイト「またな」

と言って、2人は同時にログアウトするのであった。


ログアウトして俺は少し横になる。

AoGが始まって以来ほぼ毎日一緒に行動していたので2,3日でもログインできないとお互い心配してしまうのだった。

俺が風邪で寝込んでいるときAoGにログインできずすごく心配していたそうなので、モーニは同じ思いをさせたくなかったのだろう。

俺、小倉 星夜(こくら せいや)はアパートの一室に住んでいる春ノ咲高校2年生だ。中学3年のとき私立学園でうわさの春ノ咲高校へ受かってここHome Printemps(ほーむぷらんたん)で1人暮らしをし始めたのだった。2階建ての4部屋ずつ8部屋のアパートであるPrintempsの2階203号室に住んでいる。隣204号室は今は空き部屋で202号室はあまり帰ってこない住人なので静かである。

あ、でも来月4月の頭に引っ越してくる子がいるらしい。それも高校生が。

この時期に引っ越してくるとなると同じ春ノ咲高校へ通う生徒かなと思った。

このときはまだ知らなかった...引っ越してくる住民が俺のよく知る人物であったことを...



そんなこんなで3日経ったある朝、

星夜「今日は朝からトラックが出入りしてるな。そういえば隣に引っ越してくるんだったか」

俺は朝食に焼いたパンと目玉焼きを頬張りながら、今日1日のことを考えてた。

と言ってもAoGをしているだけなのだが、

今日は4月2日、学校が始まるのは6日からだからまだAoG三昧な生活なのである。

そうして朝ごはんを食べ終わったらいつも通りAoGにログインする。

今日もモーニはいないだろうと思い、ギルドのメンバーと話していた。

グラウス「ここ最近は一人で行動で採取クエストでも受けてるが、いつも一緒のプリーストと何かあったのか。」

ナイト「あぁ、いや相手がリアル用事あるみたいで少しログインできないって言ってた。だから今日も適当にクエスト受けてるかなー。」

そういや今日で3日目か、2,3日とは言ってたからそろそろ戻ってこれそうなのかな?

カナ「あら、忙しいのかしらね。4月だから色々あるのかもしれないでしょうけど・・・」

ナイト「まぁ、リアルの事情に突っ込むのはネトゲとしてタブーだからな。俺も風邪でログインできなかったときはすごい心配かけちゃってたし。」

グラウス「どうだ?採取クエストばかりも面白くないだろうし、3人でちょっと洞くつのドラゴンでも討伐しに行ってみるか?」

カナ「いいわね、私もドラゴンは何度か討伐してるけどこのレベルでも手ごたえあっていいのよね。」

ナイト「3日前にモーニと行ったばかりだが・・・ まぁたまにはこの3人ってのも悪くないな」

グラウス「決まりだな。じゃあちょっくら受けてくる。」

ナイト・カナ「あいよ(はーい)」

俺たち3人は洞くつのドラゴン討伐をはじめとして色々なクエストをこなしていったのだった。


夕方も過ぎたあたり、トラックの音も落ち着いてきた頃

俺はAoGを一息させ夕飯を作り始めていた。

ピンポーン

星夜「ん?来客か・・・」

ピンポーン

星夜「はいはい、今でまーす。」

と言って玄関を開けた。

朝月「あ、初めまして。今日204号室に引っ越してきた釘野 朝月(くぎの あさつき)と申します。」

星夜「初めまして。そうか君が引っ越してきたっていう。まだトラックいるみたいだけど落ち着いてはいるのかな?」

朝月「あ、はい。もう荷物運びは終わったので大丈夫ですよ。すみません朝から騒がしくて...」

星夜「あぁ、大丈夫大丈夫。家にいたけどそこまで大したことないし。あがって話していく?」

朝月「ありがとうございます。お優しいお隣さんでよかったです。でもこれから運び終わったダンボールの荷造りしないといけないので... これ、差し入れです。たいしたものじゃありませんがお菓子作ってきたので。」

星夜「そっか。ありがとう。これから学校でもたまに会うとおもうけどよろしくな。」

朝月「え、小倉さんって春ノ咲高校の方なんですか?」

星夜「うん、4月から2年生だけどね。」

朝月「先輩さんですか・・わわっ私失礼なことしてませんでしたか・・・? 今年から1年生で上京してきたばかりなので何も知らないので・・」

星夜「いや全然。むしろうれs・・・何でも聞きにきていいですよ。基本学校以外では家にいるので」

くぅ~。

朝月「あ、すみません・・・今日は朝から何も食べてなかったのでお腹すいちゃって・・・そろそろ他の方々にも挨拶してきますね。」

星夜「あ、202号室はあまり家にいないから後ででも大丈夫だとおもうよ、釘野さんさえ良ければ、お腹すいてるなら挨拶周り終わったあとうちで夕飯食べる?ちょうど作っていたところなんだ。ちょっと作り足せばいいだけだし」

朝月「それは是非お願いしてもいいですか・・・?私今日コンビニで済ませようと思っていたのですが、まだ地図もよくわからなくて...」

星夜「うん、じゃあ釘野さんは挨拶周りいってる間、準備しておくね。」

朝月「はい!じゃあまた後で。」

そうして急に2人で食べることになったので、俺は作りかけのカレーに具を足す。元々食材はちょっと余分に買ってあったので、量を1.5人分増やした。たくさんあってもカレーなら困らないし。


それから1時間ほどしたところで釘野さんが戻ってきた。


ピンポーン

星夜「入っていいよー。」

朝月「お邪魔します。小倉さんお待たせしました。」

星夜「もうすぐで食べれるからまぁそこに座ってて。」

朝月「あ、私も何か手伝いますよ!ただご馳走になるのは悪いですし・・・」

星夜「いいよいいよ、引っ越して疲れてるはずなんだしご馳走させてよ。」

朝月「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。」

星夜「あ、食べれないものはないんだよね?一応カレーを作ってみたんだけど。」

朝月「いえ、特に好き嫌いとかはないです。カレーは大好物ですよ!」

星夜「よかった。」

俺はカレーを2人分よそって小さなテーブルに配膳した。

星夜「じゃあ、一応釘野さんの引越しを記念してってことで乾杯!」

そう言って俺はジュースを掲げた。

朝月「なんか、色々とありがとうございます。乾杯、いただきます。」

俺たちはカレーを頬張り始めた。

釘野さんのカレーを食べている姿はがつがつ食べてて可愛らしくて、俺も食欲が湧いてくるくらい元気な食べ方だった。

星夜「釘野さんってほんとにカレー好きなんだね。お代わり、たくさん作ってあるから食べて食べて。」

朝月「むしゃむしゃもぐもぐ。 んっ、いえそんな小倉さんに悪いです。何もしてないのにこんなご馳走になってしまって・・・」

星夜「いいよいいよ、たくさん作っちゃったし余っても俺1人しか食べないからさ。釘野さんさえ良ければ・・・」

朝月「じゃあお言葉に甘えて...お代わりいただきます。」

星夜「はい。」

そう言ってお皿を受け取ると、俺はカレーをよそってまたテーブルにおいた。

星夜「そういえば入学式って4月7日からだよね。俺たちは6日から学校あるけど。」

朝月「もぐもぐ。んっ 7日からでしたっけ・・・入学の資料まださらっとしか見てなくて忘れてました・・・。」

星夜「そそ。入学式までまだ5日あるし荷造り手伝えることあるなら手伝おうか?女の子1人じゃ辛いと思うし。」

朝月「ええっ!? そこまで手伝ってもらっちゃ悪いので私1人で大丈夫です。でも小倉さんって優しいんですね。」

星夜「そう?同じアパートのよしみだし、釘野さんも気軽に尋ねてもらっていいんだよ?俺も普段はゲームやってるだけで暇だからさ。」

朝月「へぇ、小倉さんってゲームやるんですか。私も結構ゲームやりますよ。」

星夜「釘野さんもゲーマーなんだね。意外と気が合いそうかもしれないよ。今度一緒に遊ぼうよ。」

朝月「はい。機会があればご一緒しましょう。」

そんなことを話しつつ、1~2時間くらい2人で過ごして夜も遅くなってきたことで釘野さんは部屋へ戻っていった。

釘野さんの引越し初日、色々あったけど仲良くやれそうな人で良かった。あ、家にいないときのためにメールアドレス交換しとくんだった。まぁそれは追々でいいか。


だが俺はこのときまだ知らなかった。釘野 朝月さんがAoGのサービス開始当初からずっと遊んでたあの子だということを...


あ、この後俺は眠かったのでAoGにログインせず、そのまま寝ました。

モーニ「(あれ、今日はナイトはやく寝ちゃったのかな...。色々あったからログイン遅くなっちゃった。明日は早くからログインしよっと。荷造りもしなきゃだけどナイトに会いたいし)」



-第1話 引っ越してきたお隣さんは女の子!? 完-

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