第22話 乾城防衛戦エピローグ
俺達は転移魔法によって自城まで戻ってきていた。
乾たちの兵も一緒になんとか飛ばすことができて、一息をつく。
だが生きて生還できた乾兵は二十人にも満たなかった。
城の中庭で全員の手当てが行われ、あるものは傷にうめき、あるものは仲間の死を悲しんでいた。
俺はスマホを開いて王の勢力図を確認すると、乾領がなくなりドロテア領へと変化していたのだった。
これで乾王は消滅したことになり、チャリオットも強制解散となって、乾の兵達全員がフリーの戦士扱いになったのだった。
「乾、捕まったのかな……」
「王様はいるかにゃ?」
俺が顔を上げると、リリィの姿があった。
彼女は契約を切られて強制帰還されかかっているところで、そこに丁度俺が到着した為、俺と再契約を行ったのだった。
「どうした?」
「いや、お礼を言おうと思っただけにゃ」
「そうか……酷い被害が出たから、お礼を言われる気分じゃないけどな」
「それでも王様はこれだけの命を救ったにゃ。王様がきてくれなきゃリリも皆もきっと死んでたにゃ」
「…………これからどうする? 故郷に帰るなら帰還させるか契約切ってもいいが」
「リリはこのままでいいにゃ。エーちゃんの様子もみたいしにゃ」
エーリカは戻ってきてから、人格修復と失った両腕の復元をする為に魔力の高い地下のガチャの間に入り、それきり動かなくなってしまった。
「彼女が元の人格を取り戻せるときがくるのか心配だな」
「多分大丈夫にゃ。エーちゃんの記憶にはいっぱい王様の記憶があるにゃ」
「そうなのか?」
いまいちよくわからないが、リリィは根拠なく言っているようではなさそうだった。
俺は他の乾兵達にもこれからどうするか聞いて回ったが、ほとんどが田舎に帰るや、低ランクの冒険者として生きていくなど、チャリオットとしてこれからも戦うというものはほとんどいなかった。
「爺さんはどうするんだい?」
右腕がマシンガンの老年の騎士に尋ねると、爺さんは咥えていた葉巻から煙を吹きながら俺を見据える。
「友と約束しちまったからな。小僧、ワシがお前を鍛えてやる」
「いいのか? もう隠居しちまってもいいんじゃないか?」
「バカなことを言うな。きっちりお前を戦士にしてやる」
老年の騎士はニヤリと笑うので、俺もニヤリと笑い返す。
お互いの拳をぶつけあって、意思の確認をする。
ごつくて硬い拳だ、革手袋に隠れているが、恐らく鉄なのだろう。
「後はエーリカさんだけど、動かなくなってるしな……」
そう思い、俺は新たに加入したリリィとロベルトのステータスを表示させる。
リリィ クラス アーチャー レアリティ SR
筋力C ====
敏捷B =====
技量A ======
体力D ===
魔力B =====
忠誠B =====
信仰E ==
スキル コントロールボウ
一定距離の矢の軌道をコントロールすることができる
ロベルト クラス ガンナー レアリティ HR
筋力B =====
敏捷D ===
技量B =====
体力C ====
魔力F =
忠誠A ======
信仰F =
エーリカ クラス魔導鎧 レアリティ EX
筋力S =======
敏捷A ======
技量B =====
体力B =====
魔力A ======
忠誠
信仰F =
スキル 魔導砲 魔法と物理の同時攻撃
ウェポンラック 別次元より銃火器を呼びだすことが可能
リミッター解除 一時的にステータスを二段階上昇させる
スキル終了後、オーバーヒートが回復するまで行動不能
あれ? エーリカさんのステータスが俺のチャリオットの中に勝手に入ってる。
なんでだ? と思っていたが、ウチのキャラクターステータス一覧に入っているということはウチのチャリオットに入ったと見て間違いないだろう。
契約した記憶はないのだが、この事に関しては彼女が自己修復を終えてから聞くことにしようと暫定的に決める。
今回はディーもソフィーも特殊能力を使ってないので、恐らくそんな簡単にドロテア軍にバレることはないと思うのだが、十分警戒しておこう。
新たな仲間の加入と、ドロテアという大きな敵の存在に俺は今の弱小チャリオットに危機感を覚えていた。
もしドロテアとぶつかれば、俺達程度では戦いにもならず負けてしまうだろうと。
新たな仲間の加入と、ドロテアという大きな敵の存在に俺は今の弱小チャリオットに危機感を覚えていた。
もしドロテアとぶつかれば、俺達程度では戦いにもならず負けてしまうだろうと。
「王よ、新規加入者の部屋割りなのですが」
「さーきーお腹すいたー!」
「王様、出前取りましょう! わたし今巷で有名なピッツァが食べたいです」
「そんな金あるか! 元気な奴は裏山で今日の晩飯とってこい。残りは新規組の部屋作るの手伝え!」
「にゃ! この壁ちょっと触っただけで崩れたにゃ!」
「小僧、まず一杯飲まんと始まらん。酒はどこだ」
問題児ばかり増えていくが、寂れたボロ城は着実に活気を帯び始めていた。
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