【体験レポ】流鏑馬体験 午後の部

 さて、午後はいよいよ騎乗して的を狙う。


 運悪くこの日は天気が悪く、あまり時間は取れない。

 参加者一人ずつ藤風くんに騎乗し、馬場の中央に設置された的をぐるりと周回しながら馬上から狙う。一回につき三矢を携え、都合三回分ほどを射た。

 初めは並足、後半は駈足かけあしを交える。


 弓を引くタイミングは的の正面から後方五メートルあたりから、そこからぐっと引き下ろし切ったところが的の正面直前あたりになる。

 気持ち後方に射るように、と教えられた気がするが、記録がなく定かでない。


 午前の終わりに散々矢のつがえ方は練習したはずだが、そうそう簡単に身につくものでもなく、左手で押さえていた矢先を離さずに弦を引いてしまい、はずを外してしまうこともしばしば。その場合でも焦って射ようとせず、見送って次の周回で射る。

 落ち着いて射れば割と的中する。もちろん、速度が出ていないから狙いやすいというのもあるが。

 などと得意になっていたら、最後の一矢を外してしまった。


 たまに友人と最後の一矢が的中するかどうかで賭けをする参加者もいるという。最初は難なく的中させていた人が最後で外して勝負に負ける、とはそれなりにあるらしい。


 この日は別の乗馬グループの方々も牧場を訪れており、熟練者らしき彼らは走路を疾駆しながら矢を射っていた。真横を射るスタイルの他にも、後方を振り返りながら射る、あるいは弓ではなく偃月刀のようなものを殺陣を演じるように振り抜きながら駆けていたりもした。

 なにあれやりたい。


 全員が射終わるころには雨足も強くなりはじめ、惜しくもこれで終了となった。

 荷物を置いていた小屋に戻り、ストーブを借りて濡れた衣服を乾かしながらいろいろと雑談をする。

 ……が、なんと私はこの時のメモをどこかへ失くしてしまったらしい。あるいは、そもそもメモを取っていなかったようだ。


 全力疾走できるようになるまでの練習時間や、和種馬の保存に対する取り組み、有名俳優が大河ドラマなどのため乗馬を学びに来たこと、他参加者の武術経験についてなど会話した気がするが、すべて忘却の彼方だ。実に惜しく、また申し訳ない。


 この流鏑馬体験は国内で新型コロナの感染がじわりじわりと確認され始めたころの参加だった。その後、いよいよ事態が悪化し緊急事態宣言などで外出や旅行が制限され、今回お世話になった紅葉台木曽馬牧場もまた随分な煽りを受けたと思う。

 本当は五月末までに紹介できれば早割りチケットの販売など実施されていたのだが、私が新作の完成やその後のガス欠期間に陥ったことでこんな時期になってしまった。

 もしこの記事を読んで興味が湧いた方は、ぜひ頃合いをみて足を運んでみていただきたい。


紅葉台木曽馬牧場 流鏑馬スクーリング紹介ページ

http://kouyoudaikisouma.g3.xrea.com/schooling/schooling.html


 私もまだ十分に乗馬を体験しきってはいないところであるし、状況が落ち着き次第、支援も兼ねてまた行ってみようと思う。その時にはまた新たな気づきを報告できるかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る