【体験レポ】戦国体感セミナー城内脱出戦 実技

 動ける服装に着替えて、まずは甲冑を身に着ける。今回は配布資料に装着方法の図解が入っていたので、それをしっかり読んでおけば簡単だ。そうでなくても主催側の方々が懇切丁寧に教えてくれる。

 前回と違ったのは保護メガネの支給があったこと。顔面への攻撃はしない前提だが、万が一に備えてということだ。もともと眼鏡を付けている人でもその上から被せられる。


 前回のセミナー時に「合戦場では刀の出番は少なく、槍と短刀がメインだった」と習った。しかし今回は屋内戦である。槍では長すぎる。もちろん短い槍も使われはしたが、この実技演習では刀をメインに使用した。


 まずは前回と同じく構えから。完全な半身、横一文字になって片手で刀を構える。先端の延長線上に相手の顔を捉える。体重は六割を後ろの左足に、四割を前の右足にかける。相手の肩より下に視線を据えて出方を見る。

 打つときはわずかに前の足を踏み出して打つ。受ける側はその攻撃の軌道から避けつつ、腕を伸ばして喉を突く。これは徒手編「線を制する」の攻撃線の話そのままだ。相手の攻撃の軌道から逸れて、自身の攻撃線に相手を乗せる。


 次に攻めの応用。相手も横一文字に構えて、しかも甲冑をまとっているとなるとそのままでは攻め辛い。

 そこでまず相手の刀を左へ打ち払う。これは線ではなく下から上へ半円を描くように振る。すると相手の正面側を打つ準備ができる。ここで相手の反応が遅れていればそのまま胴なり喉なりを斬る。相手が反応して刀を押さえようとしてきたなら、手首を返してこれを避け、背面側からうなじを斬りつける。


 これらの攻防練習を二人一組で行った後、続いて二メートルはありそうな衝立が出てきた。二つ折りで、L字型に立てて配置する。参加者と会場を二つのグループに分け、各グループで三つの衝立を設置する。

 ここからが今回のセミナーの主題、「物陰から奇襲を仕掛けてくる敵を回避しながら目的地へ到達する」方法の練習である。


 脱出者は左右に配置された三つの衝立を警戒しながら反対側の壁まで、およそ五メートル程度の距離を警戒しながら歩く。衝立のどれか一つには敵兵が隠れており、脱出者が見えたら奇襲を仕掛ける。脱出者はその存在をいち早く察知し、攻撃を回避、目的地まで逃走することをゴールとする。


 視線の位置と衝立との距離が重要になってくる。どこを見てどの程度の距離であるべきかについては、参加者だけの特権ということでここでは触れないでおこうと思う。

 なお、私は敵兵が潜む衝立に接近しすぎたため、とっさに打撃を回避することができなかった。


 ひととおり訓練したところで難易度を上げる。会場すべてを使って計五つの衝立を配置し(本当は六つあったが一つが用をなしていなかった)、およそ十五メートルほどの距離を移動する。しかも途中で印地による妨害が入るというおまけ付き。

 私は印地に気を取られた直後に奇襲を受け、あえなく討ち取られた。実にザコである。


 最後に三人一組での移動。三人が隊列を組んで衝立の間を進む。先頭はこれまで通りだが、二人目三人目はそれぞれ前を行く仲間の左肩に左手を置く。前の二人で前方および側面を警戒し、三人目は後方からの攻撃に備える。

 もはや私の結果については訊かないでいただきたい。


 余談として「護衛対象がいる場合の連れ歩き方」が紹介された。たとえばその城の若君や姫を連れて脱出しなければならないとして、敵に攻め入られた状態で非戦闘員が思い通りに動いてくれるはずがない。暴れ回ったり足が竦んでしまったり、逆走しようとするかもしれない。そんな相手をただ手を繋いだり手首を掴んだりしただけで連れ歩けるはずがない。

 なので、片腕をがっちりと拘束してしまう。左手で護衛対象の右手首を掴み、さらに二の腕部分を腋で絞めて固定する。こうするとちょっとやそっとでは振り解けず、また緊急回避でしゃがむ場合も自分もろとも護衛対象を無理やり伏せさせることができる。


 一連の訓練(そう、これは訓練なのである)が終了すると受講証明書が配布された。前回の証明書では「小頭(伍長)の資格を与える」とあったが、今回は二回目だからか「組頭の資格を与える」となっていた。階級制度はよくわからないが昇進したらしい。


 最後に宣伝をば。

 この「戦国体感セミナー」と「ガチ甲冑合戦」の合体イベントが、11月に伊勢忍者キングダムで開催される。タイムテーブルを見た限りでは午前の部がこれまでと同等の内容のセミナー、午後の実技が模擬合戦のようだ。

 セミナーを受講していない方でも参加できるので、興味がある方は申し込んでみてはいかがだろうか。


「戦国体感セミナー&サバイバル戦! 織田軍VS伊賀忍者軍」

https://samuraijp.jp/event.html

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