(補遺)身軽さの躍動感
カンフー映画を観ていて、登場人物がひらりひらりと壁をよじ登り、人の頭を飛び越え、数メートルもの距離を跳躍し、果ては水上を駆け抜けることに呆然としたことがあるだろう。
これらは
単なる誇張表現ではないのだが、それと知っていなければ「何だこの荒唐無稽ぶりは」となり兼ねない。かの有名(個人的主観)なハリウッド映画「グリーン・デスティニー」で縦横無尽に飛び回る登場人物らに衝撃を受けた方も多いだろう。武侠ファンタジーオンラインゲームでは技能の一つとしてパラメーター化もされているようだ。
軽身功は読んで字の如く、その身を身軽にする技だ。習得した人物は以下のような超人的身体能力を発揮する。
・数メートルの距離を跳躍する
・馬に劣らぬ速度で走る
・落葉や水滴など、ほんの僅かな足掛かりを元に空中を駆ける
・敵が掲げた槍の上に乗るなど、重力を無視した場所に立つ
以前テレビで紹介されているのを見たこともあるが、そこでは「豆腐の上に倒立する」という技を披露していた。――さすがに仕込みだと私も思う。
さて、そんな目玉が飛び出すような荒唐無稽な効能は武侠小説だけで使うとして、身軽な動きそのものを戦闘に活かしてみよう。軽功そのものは功防いずれの技術でもない。ではどうするかと言うと、ずばり間合いのやり取りに組み入れてみる。
間合いの重要性についてはすでに話した。ではその接近と後退はどうすれば良いか。現実ならば単に一歩踏み込み、一歩退く。
しかし我々が描くのは虚構の世界。せっかくなのだからもっと躍動的に動かしてみよう。
例えば敵の体を足掛かりに駆け上り、頭上を飛び越え背後の死角を取ってみる。
あるいは壁を蹴って跳躍したり地面を転がって移動して、敵の周囲を翻弄するように動き回る。
敵の武器を踏みつけつつ跳躍し、落下の勢い込みの一撃を振り下ろす。
瞬きする一瞬の間隙で数歩の距離を
現実的に人間がどこまで身軽に動けるのか知りたい場合は、「パルクール」「フリーランニング」の語で検索してみると良い。
私はあれを現代の軽功術と思っている。動画を再生するたびに、人間は斯様に軽やかに動けるものなのかと驚嘆し、陶然と見入ってしまう。
機会があればやってみたいものだが、はてさて。
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