身を以て知る

 想像だけですべて上手く描き出すのはつらい。私も見たことがない風景を描写するのは苦手だ。


 武術についても、かけたことのない技、かけられたことのない技を描写するのは難しい。

 ではどうすれば良いかと言うと、一番手っ取り早いのは自ら体験することだ。


 別に今すぐに最寄りの道場に駆け込めと言うのではない。少しだけで良い、実際に体を動かしてみるだけだ。

 徒手編「制圧する間接技」でやったように、ほんの腕の先だけでも動かしてみる。力がどのように作用して、どのような感覚になるのか。やるとやらないとでは理解が違う。実際に試してみた方ならば、あれが間接に大した痛みを与えない技であると知っただろう。


 技を創作するときも同様だ。私は自作中にオリジナル(すなわちでっち上げ)の技を登場させるにあたり、自ら物干し竿を手に動きを確認する。ひとつの動きからどのような変化が可能か、どのような動きが最も自然かを考察する。


 ただし、人目につく屋外は避けること。職務質問など受けたくもなかろう。そして室内でも周囲に気をつけること。照明器具やガラス戸を破壊したくはなかろう。

 経験者が言うのだ。気をつけたまえ。

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