死角を取る
拳が飛んでくれば、それを避けない人間はいない。いるとすれば己の頑強さに自信があるか、被虐趣味であるかだろう。
では避ける相手に攻撃を当てるにはどうするか?
避ける間もないほどの速度で繰り出すか、あるいは、そもそも攻撃が迫っていると認識させないことだ。
つまり、死角から攻めることだ。
死角とは、視界の外のことだ。真横より後ろは見えない。
相手の外側から背後に回り込めばこの死角を得ることができる。加えて、背後を攻める手段は限られる。自らが攻めやすく、相手は攻めづらい位置取りだ。
また、足元も死角だ。腰より下の動きは意外と見えていない。
カンフー映画で相手の足先を踏みつけて動きを止めるシーンを見ることがあるが、あれが正にそうだ。指先を踏みつけられれば激痛甚だしく、踏み込みもできない。
思わず視線が下向いた瞬間に上体を攻めるのも手だ。
要するに「相手が思いもしないような場所から攻撃を仕掛ける」ことが「死角を取る」ということだ。
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