演武編

映像作品に学ぶ

 私が戦闘場面を構築するに際しては、まず映画やドラマを参考にする。ジャンルは問わないし、それらの戦闘場面のすべてを理解する必要はない。

 ただし少しでも「おっ、これは!」と思える瞬間があったなら、それをメモしておく。これを常日頃から溜めておくのだ。


 それはほんの一瞬の手先の技かも知れないし、意外な武器の取り扱い方かも知れないし、あるいは戦闘場面そのものの流れに関するものかも知れない。


 例えば、

「一方が手にする武器を次々と変えて攻め立てる進行」

「その武器をことごとく一振りの剣で破壊していく爽快感」

「掴まれた武器をわざと一度離して、そして奪い返す意外性」

「武器を破壊された側がその折れた剣を突きつけて勝利する、実力の差を表現した決着」

 といった感じだ。

(なお、これは「グリーン・デスティニー(臥虎叢龍)」の鏢局練武場での決闘シーンから引いたものだ)


 映画やドラマのほかにもおすすめなのが「wushu」だ。これは「武术」、すなわち「武術」のピンインである。この「wushu」をキーワードに動画サイトで検索をしてみると、表演武術(見せるための武術)の映像が多くみつかる。こちらも非常に参考となるだろう。


 そしていざ自らが筆を執って戦闘を描くとき、溜め込んだメモから使えそうなもの、あるいは使いたいものを選び出すわけだ。映像的イメージの下地があるとそれを文字に落とし込むのも易くなる。

 要するにネタ帳である。

 何を見せ場にするのか、どこで優勢劣勢を入れ替えるか、決め技を何にするか。それらの選択肢とするのだ。

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