土星が司る心の悩み
私自身が生まれた瞬間の星の配置を象ったホロスコープ(バース・チャート)では、その天頂に位置する場所に土星があり、その私の天の最も高いところである天頂の第10室は牡羊座♈にあたります。
生まれは牡牛座♉(太陽星座)なのですが、12星座のトップバッターである牡羊座は、フレッシュな生命力にあふれた有言実行のパイオニアです。誰もまだ足を踏み入れたことのない前人未到の地に、臆することなく走り出していく情熱の人。
ホロスコープのチャートにおいて10室(ハウスとも言います)MCは、その人が生まれた瞬間に日が昇る東の地平線でもある1室のアセンダント(生まれ持った気質や第一印象、体質などを司る)と共に重要です。いわば人生の到達地点や社会的キャリアなどを示し、その人が人生において達成すべき目標などがどんなものなのか、その入っている星座(サイン)や、そこに位置する惑星などで占います。
私はタレントの菊池桃子さんと生年月日が全く同じで出生時刻もそれほど変わりません。桃子さんも私と同様に10室が牡羊座で、そこには忍耐と努力の星、土星が位置しています。土星はマレフィック(凶星)と言われ、昔々の伝統的な星占いでは悪いことを運んでくるよくない星、と言われてきました。が、本来は長い時間をかけて何事かを成し遂げる、文字通りの大器晩成を意味する星でもあります。
土星は先生とか政治家などにも非常に縁があり、人生の正午をすぎ、その生まれた瞬間の10室の土星が指し示す通りの道筋を、今現在桃子さんが辿ってらっしゃるのには感嘆すら覚えます。
が、私は――などと、一介の一般人と著名な有名人である彼女とを見比べるのは、些かおこがましい話ではありますが、未だ何も芽の出ない自分自身に苛立つとともに、改めてこの土星の意味する所に思い馳せる今日この頃。
牡羊座と土星というのは、それほど相性がいいというわけではなく、むしろその人の苦手意識というものを如実にあぶり出します。それが10室にあるということは……。私自身、小さい頃から人前に出ることが大の苦手でした。というより、多分その頃から、重大な精神疾患の根を心身に宿していたのだと思います。
社会不安障害(社交不安障害とも)という心の病を自分自身が幼い頃より、長い間ずっと患っていたのだと知ったのは、ほんの10数年前。安全地帯のファンサイトにて知り合った女性にメールで指摘されたのが最初でした。その病気については、また後で記したいと思いますが、それを患っていたために、とにかく人の間に入って何かする(いや、ただそこにいるだけでも、ものすごい苦痛で生きている心地がしない……)ということがずっと苦手でした。
私自身のアセンダントは蟹座♋にありますが、その東の地平線である1室のはじまりであるアセンダントのすぐあとにくっついた形で蟹座の月があります。そしてその蟹座1室の月が前述の10室土星とスクエア(90度)という厳しい角度を取っており、多分それも関係しているんじゃないかなと。
1室は10室とは正反対で、まだ母親に守られている小さな子供の頃の自分自身を表します。月自体、その母親を示しており、さらにその月は蟹座が自分自身の実家である、蟹座の支配星でもあるのです。月は蟹座でよくも悪くも最もパワーアップし、ひとつの魔力を宿した満月そのもののように輝きが強まります。
まだよちよち歩きの自分と、社会的な責任を果たさなければならない大人になった自分。その両者の葛藤を、この土星とアセンダントとほぼ重なった蟹座の月とのスクエアというハードアスペクトが如実に表している。それはいわば、まだ右も左もわからない小さな幼子が、大人の責任の重圧に晒されているようなものです。
それは単に精神年齢が低いとか、本人が成長していないということではなく、おそらく誰もが心の奥底に持っている無邪気な永遠の子供心(月に関連してムーン・チャイルドとでも仮称しましょうか)が尽く抑制されてしまう。
個人的に幼少時代から今の今まで実感してきた、その人前で精神そのものを潰されるプレッシャーは相当のもので、人一倍の苦しみと、そして他人に理解されない悲しみとを同時に心に抱えて生きてきました。それはまるで、自分を外にさらけ出せない、自分が自分でいられない……、といった人としての根源的な辛苦。
せめて自分がそうした病気であることを自分自身もっと早くに知っていれば――。けれど、自分は単なる対人恐怖症で、そうした人見知りが少し酷いくらいの程度のものと考え、それが病院の精神科に通院してきちんと薬を貰えば、動悸息切れ吐き気などの具体的な人前での身体的症状も、ある程度治るものとは全く思いも及びませんでした。
そして親は勿論のこと、学校など周囲の誰にも、こういった病気であることを知って貰う機会も当然なく、それだけに様々な誤解が生じ孤立して、心を打ち解ける人もないまま本当にたった独りで苦しんで来ました。「いつもビクビクしている」「何を考えているかわからない」当時の私自身を客観的に振り返ると、きっとこんな風に見られていて、案外それは今現在も変わらないかもしれません。
学生時代は、交友関係などでは、それほどよい思い出もなく、学校にはしかたなく行っているという感じで、本当に心から話せる友達もなく――ただ、本当はもっと自分自身の殻を自分から破ることができれば、そのすぐ手が届く傍に誰かいたのだと思いますが、結局満足にそれもできなかった――。
今でも辛く思い出すのは、高校の卒業式の時。皆、友人たちとの別れを惜しんで涙していたのに、私一人だけは……。全く別の理由で独りきり誰にも理解されない涙を人知れず流すしかありませんでした。私にはそんな風に別れを惜しんで泣く友達もいない、と。在籍していた美術部の小さな部室で、卒業式当日、誰にも知られず、ひとりぼっちで泣きました。
それでも、そんな自分自身の心の辛さを和らげてくれ、唯一最大限にこんな自分自身を受け入れてくれたのが、子供時代からずっと触れ続けてきたアニメや音楽などの抽象的な心の世界でした。
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