211~215

211話

(お題:[正午]の[グラウンド]で『雨』、『文章』を使ったツイノベ)

#twnovel

文芸部だからと言って室内に引きこもっていては良くないだろう。そう思い正午の暑い日差しの中、グラウンドの片隅へ。誰も使っていないベンチへ腰掛けて、膝の上にノートを広げる。日陰でよかった。ボールペンを走らせる。数刻後。じわり。書いた字が滲んだ。「あ…」夕立だった。


212話

#twnovel

「花火大会に行きましょうか」「え、でも」師匠は先の大戦で、失明している。以来、大きな音や人混みは苦手だとも公言していたし…。僕が返答に困っているのが空気から伝わったのか、師匠は微笑んだ。「いいのです。今夜の花火は平和を喜ぶもの。――恐れる必要は無いのですから」


213話

(お題:[深夜]の[塔]で『風』、『緑』を使ったツイノベ)

#twnovel

日付も変わったばかりの深夜、城内は静けさに包まれている。そっと部屋を抜け出して、王城の中心部から最も離れた塔へ向かった。息を切らして階段を登り最上部へ。扉を開けると、夜風が頬を撫ぜる。そこには、緑の衣を纏った君がいた。「やあ。今年も来てくれたんだね、女王陛下」


214話

(お題:「夕方のスーパー」で登場人物が「夢中になる」、「糸」という単語を使ったお話)

#twnovel

「夕方のスーパーはすごいわね〜!母さん、夢中になって買ってきちゃったわ!」「だからってタイムセールで糸こんにゃく箱買いしないでよ…」


215話

(お題:誰のものでもない)

#twnovel

「さすがは竜使いだのう」褒め称えた依頼人の村長へ、ホノカは冷ややかな視線を向けた。「どーも。一応言っておきますけれど、私は竜使いなんかじゃありませんよ。…この青空が誰のものでもないように、竜たちだって誰のものでもないんですから」


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