181~185

181話

#twnovel

「我は人の肉は好まん。…近頃はお主のような人間が多いのだな」ドラゴンは呟くように言うと、咆哮をあげた。ひょこり。あちらこちらから、人の子が顔を出した。ドラゴンに駆け寄りじゃれつく。呆然とする少年に、ドラゴンは告げる。「仕方ない。お主も、今日からこの森の家族だ」


182話

(お題:『好きだったのは、嘘じゃないけど』)

#twnovel

「私、もうすぐこの世界とお別れするわ」女の唐突な言葉に、竜王は訝しんだ。「以前、この世界が好きだと言っておったが、あれは嘘か」「好きだったのは、嘘じゃないけど…。竜の血を得たからといって、不死になるわけでは、ないのよね」「――死ぬのか、クロユリ」女は微笑んだ。


183話

(お題:[夕暮れ時]の[山]で『さよなら』、『スマホ』を使ったツイノベ)

#twnovel

神隠しで有名な山がある。黄昏時に山に入ると連れて行かれてしまうよ、と。子供らは教わってきた。今時バカバカしい。皆は笑ったが、私は知っていた。「――様、わたくしです。参りました」年に数回、彼方へ開く道。これはもう要らない。捨てたスマホの画面には、さよならの文字。


184話

#twnovel

「今日の絵も、見事なものだなぁ。君、絵描きとして働けるんじゃないか?」「まさか。それほどのモノじゃないさ。キミこそ、その文才で食べていけるだろうに」「ははっ!面白いこと言うなぁ。わかってるんだろ、僕の、僕たちの、答え」「まあね。それで稼ぎたくない。それだけさ」


185話

(お題:「早朝の図書館」で登場人物が「嘘をつく」、「秘密」という単語を使ったお話)

#twnovel

この国には、二十四時間開館している図書館がある。と言っても、早朝は人影もまばら。今は僕と司書のお姉さんだけ。「お姉さん、この本は?面白かった?」「あら、読んで無いわよ」「嘘つき〜、この間読んでたの知ってるよ!」「そうよ、私は嘘つきなの。だから…感想は、秘密」

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