176~180

176話

#twnovel

壁面には一定間隔で、液晶パネルが埋め込まれていた。「なんだこれ?」僕達が通ると、液晶に映像が流れる。それは、幼い頃の僕と友人の姿だった。階下へ進むにつれて、映像の中の僕達は成長する。そして。階段が終わった、と思ったら、眩しい光。入り口に、戻ってきていた。


177話

#twnovel

「良い夢をみれましたか?」「あぁ。…あいつとの思い出は、こんなにたくさんあったんだな。忘れてたよ」「では、亡き友人との思い出を与えた分、対価をいただきますね。そうですねぇ…」「対価に見合う分だけ、僕の寿命を」「いいのですか?早死にしますよ」「いいんだ。もう」


178話

#twnovel

それは、目には見えないのに、確かに存在していて。ある時は、鋭利な刃物のように私の身を切る。ある時は、シルクのような柔らかさで私を包み込む。不思議ね。元を辿れば、空気の振動なのに。「いつも、ありがとう」小さな空気の震え、どうしてこんなに嬉しいのかしら。


179話

(お題:[午後]の[舞台裏]で『笑う』、『魔法』を使ったツイノベ)

#twnovel

午後の開演まで、間もなくだというのに。彼女はギリギリの時刻まで、楽屋で眠っていた。こんなんで大丈夫なのだろうか…。僕が心配していると、彼女は目を覚ます。「ふわぁ、よく寝た〜。さて、魔法をかけに行きますか!」数時間後、客席には楽しげに笑う観客の姿。魔法、か…。


180話

(お題:最果ての森)

#twnovel

最果ての森には凶悪なドラゴンが住むと聞いて、少年は足を踏み入れた。草をかき分け、ようやく見つけたドラゴンは人の言葉で少年に言う。「喰われたくなければ今すぐ去れ」少年は虚ろな瞳で答えた。「喰われて君の血肉となりたいな。その方が、幸せだ」ドラゴンは溜息をついた。

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